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グラフィックスとパフォーマンスのアップデートを盛り込んだ Unity 2023.3 が 2024 年 4 月に公開されます

2023年8月22日 カテゴリ: Engine & platform | 9 分 で読めます
Central Computer Processors CPU concept. 3d rendering, conceptual image. (credit: Shuo - stock.adobe.com)
Central Computer Processors CPU concept. 3d rendering, conceptual image. (credit: Shuo - stock.adobe.com)
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編集部注(2023 年 12 月 1 日):11 月の Unite 2023 で、Unity エディターとランタイムの新しい名前が公開されました。Unity 2023 サイクルの 3 つ目の TECH ストリームは、Unity 6 Preview と命名されます。また、Unity 2023 LTS は Unity 6 と呼ばれることになります。Unity 6 および Unity 6 Preview で提供される内容については、Unite 2023 基調講演 ならびに製品ロードマップのセッション(まもなく YouTube で公開予定)をご覧ください。

Unity 2023 のリリースライフサイクルに、本番環境に対応したグラフィックス、パフォーマンス、生産性の追加機能を盛り込んだ 3 番目の TECH ストリームが追加されます。

昨年 9 月に、私は Games Focus というブログシリーズを始めました。これは、クリエイターとパートナーの皆様のために最高のゲーム開発ツールを構築するという、Unity のコミットメントを改めて表明するものでした。そこで掲げた以下のビジョンは今も変わっていません。

Unity は、皆様があらゆるジャンルにわたって優れたゲームを制作し、あらゆる場所にいるプレイヤーにリーチできるようにします。

Unity 2022 長期サポート版(LTS)と 2023.1 TECH ストリームのリリース後にロードマップを見直したところ、スケジュールを調整すれば予定よりも早くご提供できる機能があることがわかりました。

Unity 2023.3 TECH ストリームのご紹介

そこで、Unity 2023 LTS 以降の開発サイクルまでお待たせすることなく、Games Focus で示した内容の実現をさらに推し進める素晴らしいアップデートをお届けするために、TECH ストリームリリースの追加を決定しました。

Unity 2023.3 TECH ストリームは 2024 年 4 月にリリースされ、その後、2024 年の末頃に Unity 2023 LTS がリリースされる予定です。Unity は最も堅牢で生産的なバージョンのエディターを提供できるよう取り組んでいるため、2023.3 から LTS までの時間を使って、体験の残りの部分にさらに磨きをかけていきます。

この TECH ストリームの追加により、特にユニバーサルレンダーパイプライン(URP)、アーティストワークフロー、プラットフォーム統合、DOTS、クロスプレイマルチプレイヤーの分野で、いくつかの重要な開発成果を皆様にお届けできます。この追加が決定する以前には Unity 2023 LTS への搭載予定がなかった機能も存在するのですが、エンジニアリングチームは、そのような機能にさらに磨きをかける機会を得ることができました。

Unity 2023.3 で提供される追加機能のいくつかをご紹介する前に、Unity 2023.2 のリリースに向けた動きがすでに始まっていることを改めてお伝えしておきます。このリリースに盛り込まれる内容にご関心がある方は、機能ハイライトに関するフォーラム投稿をご一読ください。

Visualization of Unity 2023 release milestones
Unity 2023 のリリースマイルストーン

Unity 2023.3 TECH ストリームで予定されている内容

ここでは、Unity 2023.3 TECH リリースで盛り込まれる予定のアップデートのいくつかを簡単にご紹介します。

プラットフォーム統合の拡張

まず、7 月に Unity の visionOS ベータプログラムが発表され、その規模は拡大し続けています。Unity の新しい PolySpatial テクノロジーと visionOS の緊密な統合により、アプリケーションを Apple Vision Pro 上の Shared Space 内で他のアプリケーションと一緒に配置できるようになりました。

プラットフォームサポートへの取り組みを精力的に続け、私たちは新型デバイスでのレンダリングを改善する機会を検討してきました。この取り組みを元に、Unity 2022 の PlayStation VR2 をサポートするための Foveated Rendering API をベースとして、それを Meta Quest 2 やその他のデバイスに拡張して、Oculus XR および OpenXR プラグインとの完全な統合を実現します。これによって、より高い没入感と忠実度を持つ XR 体験の作成が可能になります。

新たに導入された Split Graphics Jobs スレッディングモードは、もともとは以前のリリースで DX12 プラットフォームと PlayStation 4 向けに提供されていたものであり、レンダースレッドに制限があるアプリケーションの CPU パフォーマンスを改善します。Unity 2023.3 では、Split Graphics Jobs のサポートが PlayStation 5 に拡張され、将来的にはさらに多くのプラットフォームに拡張される予定です。

Unity 2023.2 では、PlayStation5 のグラフィックスのバックエンドに Adaptive Vsync プレゼンテーションモードのサポートが含まれています。Unity 2023.3 では、これを Xbox Series および Vulkan デスクトッププラットフォームでも利用できるようになります。この機能は、レンダリングのパフォーマンスに基づいて Vsync レートを動的に調整することによって Vsync 関連のフレームのスタッターを減らし、よりスムーズな視聴体験を提供します。

クロスプレイマルチプレイヤー

Unity 2022 LTS では、カジュアルな協力型ゲームや対戦型アクションマルチプレイヤーゲームタイトルを作るための重要な基盤を提供しました。皆様が素早く制作に入れるように、64 人以上のプレイヤーをサポートする野心的な対戦型ゲームプレイのサンプル『Megacity Multiplayer』を公開しました。私たちは、モバイルデバイスを含むクロスプレイ環境で、同時接続ユーザー数も大幅に増やした条件下で、それらの機能をどのように実装できるかを示すサンプルを提供することにより、レベルを向上させることを目指しています。

Unity 2023.3 では、制作ワークフロー全体の大幅な簡素化を進める予定です。開発チームは、エディターの一連の改善、専用サーバーのターゲットの管理、コードのストリッピングとデプロイ、再生モードのテストのためのツール、より迅速な制作開始を支援するためのサンプルと教育コンテンツに懸命に取り組んでいます。

グラフィックスのパフォーマンスの改善

パフォーマンスと品質に重点を置いたレンダーグラフの URP への統合により、URP のフレームリソースへのアクセスが広がり、レンダリングのカスタマイズとカスタムレンダー機能の作成が容易になります。レンダーグラフを使用すると、URP のソースコードを変更することなく、より高度かつ高パフォーマンスな URP の拡張機能を作成して、ゲームで独自のビジュアルスタイルを作り上げることができます。

レンダーグラフは GPU メモリをシームレスかつ自動的に最適化しますが、より重要なのは、NativeRenderPass API を自動的に適用しながら GPU 帯域幅の使用率も最適化するように改善されているという点です。これにより、スタンドアロン型のタイルベース GPU デバイスで、最適なパフォーマンスと最小限のエネルギー消費量が保証されます。

すべての URP レンダーパスでレンダーグラフフレームワークが活用されるようになりました。これにより、URP をレンダーパイプラインの中心に据えて、スタンドアロン型デバイスとサポートされている多様なプラットフォームでのパフォーマンスのスケーラビリティを実現するための基盤と Unity のビジョンが強化されます。この追加の TECH リリースでは、レンダーグラフがシステムの CPU コストを最小限に抑えながら上記のすべて(およびそれ以上)のメリットをもたらすことができるように、グラフのコンパイルにかかるコストの最適化に重点を置いています。

カスタムポストプロセスを作成する際の複雑さに対処し、履歴バッファ(色と深度)などのリソースへのアクセスを改善することで、URP での API のアクセスとカスタマイズ性はさらに向上しています。HD レンダーパイプライン(HDRP)に関しては、引き続き、パフォーマンスの強化と NVIDIA DLSS3 のサポートの統合が主眼となっています。

アーティストワークフローの強化

これらの改善されたグラフィックス機能を利用して、それらをゲームに統合するために使用するワークフローを検討しています。

アーティストの体験は、SRP のミップマップストリーミングデバッグビューの改善によって強化されています。Visual Effect Graph の URP サポートをさらに改善する一方で、シェーダーグラフではキーボードショートカット機能スコープ、および表示設定の強化を行っています。 

さらに、シェーダーグラフと Visual Effect Graph の両方で、より良いオンボーディング資料とサンプルを提供するための取り組みを進めています。また、ライトのベイク処理の安定性とユーザビリティを改善して、よりシームレスで信頼性の高いライティング体験をユーザーに保証することに引き続き注力していきます。

DOTS Entity Component System(ECS)の基盤の強化

Unity 2022 LTS では、ECS for Unity をベースとした強力なパッケージのセットが導入されました。これは、すべてのプラットフォームで本番環境での使用が完全にサポートされており、より野心的なプロジェクトをターゲットにできるようにするものです。皆様からの初期のフィードバックに基づいて、ワークフロー全体で開発体験の改善をすでにいくつか加えています。 

これにより、TypeManager、ベイク処理、またはソース生成に関連する、エディターの全般的なイテレーション時間が短縮されます。ドキュメントやエラーメッセージをより明確にし、いくつかの API のパフォーマンスをさらに向上し、より迅速に Entities を作成するための新しい API を追加しました。

それらの改善点は、Unity 2022 LTS と Unity 2023.3 の両方で提供されます。

追加情報

Unity の新しいリリースサイクルについてさらに詳しく知りたい場合は、こちらのフォーラムスレッドに質問を投稿してください。

Unity エディター、エンジン、ランタイムの開発の未来には、明るい光が射しています。他にもまだお知らせできない開発内容があり、来年は非常に重要な年になる予定です。次のメジャーアップデートに関して知りたい方は、ぜひ Unite 2023  にご参加いただき、基調講演と 2024 年に向けたセッションで今後の予定についての詳細をお聞きください。

2023年8月22日 カテゴリ: Engine & platform | 9 分 で読めます

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