仮想現実(VR)は、ゲームチェンジャーであり、今後もその地位を占め続けるでしょう。VR は、もはや新興技術やニッチな趣味ではなく、車、建物からゲームや映画まで、あらゆるものについて、デザイン、制作、シェアの方法を急速に変化させています。
世界中のあらゆる種類の産業が VR の潜在能力を認識しており、未来の働き手にとってエキサイティングな新しいキャリアパスを作り出しています。実際、PWC の試算では 2030 年までに全世界で 2300 万件の仕事が AR と VR を使ったものになり、現在すでにある多くの職種を拡張するようになるとされています。
ユースケースの拡大に伴い、VR 人材への需要も高まっています。しかし、機器へのアクセスや教育者のトレーニングが行き渡っていないため、多くの教育機関では学生に VR ブームに乗って出現したキャリアに対する準備をしてもらう上で苦労しているのが現状です。
今年、Unity と Meta イマーシブラーニングが提携して、教育関係者や教育機関にこれらの課題を克服してもらうための支援を開始しました。この記事の続きをお読みいただき、詳細をご覧ください。
仮想現実は今後 10 年間で世界で 170% 成長すると予測されています。しかし、現状では教育者や学生が VR を始めようとした時に、出だしで困難を抱えることがしばしばあります。
その理由の 1 つは、教育機関の資金調達に大きな格差があることです。VR はハードウェアとソフトウェアに依存しており、その入手に法外なコストがかかることもあります。多くの中等・高等教育機関が構造的な資金不足に陥っている現状において、これらの学校に通う低所得者層出身の学生は、VR スキルを身につけるために必要なツールへのアクセスを得られない可能性が高くなります。
適切な機器の確保は必要なことの半分に過ぎません。質の高い VR 教育を提供するためには、講師が自信を持って教えられるようなトレーニングやリソースも必要です。VR は、生徒と同様に多くの教育関係者にとっても新しいフロンティアであり、最高の成果を得るためには、両方のタイプの学習者に対応するリソースが必要です。
これらの障壁に対処するため、Unity と Meta イマーシブラーニングは共同で、以下に挙げるような VR 学習のギャップを縮小することを目的とした Create with VR 助成金プログラムをデザインしました。
今春、助成プログラムに応募した中等・高等教育機関に、Meta Quest 2 VR ヘッドセットが提供されました。申請は、申請した機関の VR 教育に関する現在および将来の計画、学生の人口構成、資金調達に関する各教育機関に特有の課題などに基づいて吟味されました。
VR ヘッドセットの配布に合わせて、VR を効果的に教えるための技術的スキルと教育的アプローチを学ぶことができる専門家育成トレーニング「Create with VR for Educators」の受付が 2022 年 4 月に開始されました。
このトレーニングは、学校の代表者、教育関係者、IT 管理者、研究室のリーダーなど、あらゆるレベルの方に参加を呼びかけ、ライブのオンラインセッションに加え、自習用の教材やバーチャルオフィスアワーで構成されています。
「Create with VR 助成金はデジタルデバイドを解消し、本学の学生が有意義な形で VR に触れたり、これを体験することを可能にします。クリエイターであれ、ゲーマーであれ、また没入型学習に従事している人であれ、Create with VR 助成金によって、分野やプログラムを超えて VR/AR/XR のレッスンを統合することができます。このようにアクセスを提供することが、技術的なリテラシーを高め、イノベーションを呼び起こします。私たちはいま出来るようになったことをとても喜ばしく受け止めています。」- Jenny Hanson 氏(アウグスブルク大学映像・ニューメディア部門ディレクター兼オンライン・ブレンデッドラーニング教育学部門ディレクター)
この助成金プログラムは、ハードウェアへのアクセスと教育者の育成に共同で取り組むことで、これまで質の高い VR 教育を享受できなかった教員や生徒がこれを受けられるようにすることを目的としています。
パートナーシップの発表から 7 か月、Create with VR 助成金プログラムは、すでに何千人もの学習者や教育者が、バーチャルリアリティによる創造というエキサイティングな世界への第一歩を踏み出す手助けをしてきました。しかしこれはまだ始まりにすぎません。2022 年 11 月現在の同プログラムの実績は以下の通りです。
「Create with VR プログラムは、私たちの VR 教育へのアプローチに大きな変化をもたらしました。以前は、20 人のクラスで 1 つのヘッドセットを共有していました。現在では、学生一人ひとりが学期中、ヘッドセットを占有できるようになりました。これにより、VR に完全に没入する機会が増え、有意義な体験の制作に時間を割くことができるようになります。」- Wojciech Lorenc 氏(サム・ヒューストン州立大学マスコミュニケーション学科長)
Unity と Meta は、VR に取り組む準備ができた働き手を育てることに貢献できることを誇りに思います。ツール、専門家の育成、教育コンテンツの適切な組み合わせにより、教育関係者はカリキュラムをうまく構築し、未来のクリエイターに力を与える準備をすることができます。このプログラムの詳細はこちらからご確認ください。
「Create with VR 助成金プログラムが、この国全体の学校やコミュニティに与えた影響についてお聞きし、身が引き締まると同時に大変嬉しいことだと思っています。教育関係者の皆様に、学生に未来の労働市場における競争力を身に着けてもらうために必要なツールを提供することは常に私たちのミッションであり続けてきました。また、このような機会が与えられれば、学生の皆様の活躍を目にする機会も出てくると心から信じています。」 - Jessica Lindl(Unity ソーシャルインパクト担当役員)
「昔は YouTube サーフィンをするのが楽しみだった学生たちが、今では動画を作る側に回っています。ノートパソコンで『Fruit Ninja』を遊んで喜んでいた子どもたちが、今では自分たちでゲームやアニメーションを作っています。彼らは VR を愛していますが、今まで 3D や仮想世界で創作できることを考えたことはありませんでした。」 - Darlene Bowman 氏(AusomeTech Industries 創設者)
VR と AR は、2030 年までに世界経済の規模を 1.5 兆ドル拡大させる可能性を秘めています。現代の学習者は、没入型技術のブームから恩恵を受けるために必要なトレーニングにアクセスする権利があります。すべての人が VR 教育にアクセスできるようにするという共通のミッションを掲げ、Unity と Meta の活動に今後ともご支援をいただければと思います。
始める準備はできましたか?Unity Learn にサインインして、オンデマンドの Create with VR for Educators セッションにアクセスして、学生を教えるための準備を整えましょう。また、Facebook や Discord のコミュニティに参加して、VR のために Unity を活用している世界中の教育者仲間と交流することができます。