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Unity 初のレベルデザイナー向け e ブックの提供を開始

2023年11月8日 カテゴリ: ゲーム | 15 分 で読めます
Sample game environment showing a tiled space with multiple levels, or floors, and pill-shaped objects placed at different tiers
Sample game environment showing a tiled space with multiple levels, or floors, and pill-shaped objects placed at different tiers
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レベルデザイナーはゲーム開発におけるストーリーテラー兼マスタービルダーで、ゲームデザイナーと共にゲームの筋書きや原型を提供します。彼らは多くの役割を持ち、紙や物理的な素材での構成要素作りから画面上でのプロトタイピングまで、複数のメディアを使いこなします。

今回、当社初となるレベルデザイナー向け e ブックの提供が開始されたことをお知らせします。ゲームステージデザイン入門には、仕事やキャリアのヒント、そしてワールド構築に最も関連する Unity ツールを使うための解説が詰まっています。ゲーム業界で働くプロのレベルデザイナーと、ゲームデザイナーやレベルデザイナーとしての経歴を持つ Unity 製品のエキスパートによって執筆されています。

デザインのヒントと Unity ツールの詳細解説

A gym level made with interactable elements of a prototype and obstacles for testing purposes
インタラクト可能なプロトタイプの要素と障害物を使用して作成されたテスト用のジムステージ

このガイドには 3 つのセクションがあります。パート I は、ゲーム業界で 10 年以上の経験を持つプロのレベルデザイナー、Stefan Horvath 氏と Christo Nobbs 氏により執筆されました。ゲーム開発のプリプロダクションおよびプロダクション段階におけるレベルデザイナーの責任とワークフローについて詳しく説明しています。

説明の内容には以下の事項が含まれます。

  • ゲーム開発の準備として、リサーチおよびリファレンスドキュメントを用意する
  • メインカメラ、キャラクター、ゲームコントロールをレベルデザインに組み込む
  • トレーニング環境でアイデアをテストする
  • ペースとゲームプレイの展開を設定する
  • 3D アセットでステージのブロックアウトを作り、テストとイテレーションのためにアセットを整理しておく
  • 「プレイヤーの動線」を中心にゲームプレイを構成する
  • プレイヤーの期待を裏切り、惹き付ける
  • 大規模な環境にはプロシージャルデザインの使用を検討する

パート II は、Unity の経験が浅い、あるいは全くないものの、Unity の使い方を学んでみたいレベルデザイナー向けに執筆されています。このセクションでは、Unity ビジュアルスクリプティング、物理演算システムやアニメーションシステムなどのツールを取り上げ、Unity Asset Store の基本を紹介します。

A Unity component highlighted in the Inspector (left) and how it looks in code (right)
Inspector でハイライトされた Unity コンポーネント(左)と、それに対応するコードの記述(右)

パート III では、ProBuilder や Terrain システムなど、デザイナーが同僚や関係者と共有するクオリティの高いレベルのプロトタイプを作成する際に使用可能なデザインツールについて詳しく解説しています。

さらにスクロールすると、パート I から抜粋したデザインのアイデアの効果的なホワイトボクシング/グレーボクシング方法、パート III から抜粋したデザインのブロックアウト作成に活用できるいくつかの ProBuilder ツールの紹介を読むことができます。

レベルのブロックアウトを作成する(パート I からの抜粋)

ホワイトボクシング(別名グレーボクシング)とは、実現したいレベルデザインとスタイルに最適なレイアウトを特定するために、シンプルな 3D 形状を作成して配置することです。

ホワイトボックスをシンプルに保つことで、アートやライティング、その他の細部を調整することなくレベルを操作でき、結果的にイテレーションプロセスの迅速化につながります。

レベルデザイナーの中には、3D 空間で作業してゲームエンジンのワークフローに慣れるために、最初に紙のデザインを作成せず、直接ホワイトボックス作業に入ることを好む人もいます。デザイナーは、自分に合った最適なアプローチを自由に決められます。

An example of a blocked-out level using ProBuilder, posted by a user called niv-vada on Reddit
「niv-vada」というユーザーが Reddit に投稿した、ProBuilder を用いたブロックアウトステージの例

ブロック状のアセットに説明的な名前を付ける

各ブロック状のアセットには、その用途を特定できるよう、説明的な名前を付けましょう。これにより、環境アーティストが、実際のゲームアセットへの置き換えを行う際に、それぞれのオブジェクトにどのような意図があるのかを理解しやすくなります。

例えば、ブロックは壁を表しているのか、その場合、プレイヤーの視界を遮るために最低限の高さが必要になるのか、といったことです。このアセットは、「wall_interior_w2_h4_l6」と名付けるのがいいかもしれません。このラベルからは、アーティストに伝えるべき重要な詳細であるオブジェクト、その位置、そして寸法を識別できます。また、名前の書式を統一することで、同僚が意味を理解しやすくなります。

A blocked-out scene with assets labeled with helpful names, such as “P_GenericWall_200x300cm” – the P prefix indicates that it’s a Prefab, followed by what the asset is (a wall), and then its measurements.
「P_GenericWall_200x300cm」など、分かりやすい名前が付けられたアセットで構成されているシーンのブロックアウト。プレハブを示す P の接頭辞の後に、アセットの内容(壁)、そして寸法が続いている。

利便性のため、3D スペース内にフローティングテキストを使用して意図を示すこともできます。これにより、同僚がエディターにアクセスしなくても、ビルドを実行してプランを見ることができます。

最後に、アセットをラベル付けすることで、作業中のタスク管理が容易になるため、シーンを見る他の人だけでなく、自分自身にとっても便利です。

意図を視覚化するため、ブロック状のアセットにマテリアルを追加する

アセットに説明的な名前を付けるだけでなく、ブロックにマテリアルを適用して意図を明確にすることもできます。これは、インタラクティブなオブジェクトと静的なオブジェクト、プレイできる空間とできない空間、破壊できるものとできないものなどを区別するための便利な方法です。

詳細なアートアセットの作成は避ける

ホワイトボクシングの意義は、アイデアを試してイテレーションを回すことにあります。最終決定されていないアセットの変更に時間を費やすのを避けるため、デザインの承認が下りるまで、チームは 3D アセットを作成すべきではありません。

他の関連チームのメンバーからの賛同を得て、満足のいくレベルデザインができた後、アーティストはレベル全体で、3D アセットを追加してホワイトボックスの置き換え作業を開始することができます。

コンセプトアーティストに助けを求める

チームメンバーは、ホワイトボクシングされたシーンから最終的なシーンを想像するのに苦戦するかもしれません。コンセプトアーティストは、ホワイトボックスにペイントオーバーを行うことで、ビジョンの具体化を手助けしてくれます。これはレベルの 2D 表現なので、3D アセットの作成は必要ありません。一般的に、ペイントオーバーは、レベルのスクリーンショットを撮り、それをペイントしてスタイルやムードを表現します。

実際のシーンをコンセプトアーティストと共有してもいいでしょう。それぞれのブロックが何を表しているかをドキュメント化しておけば、コンセプトアーティストが全体的なビジョンに沿った表現をしやすくなります。

A blocked-out level before being painted over. The image is from the development of the game Crown, by FMPONE and Volcano, and was included in an article on Radiator Blog.
ペイントオーバーを施す前のレベルのブロックアウト。この画像は、FMPONE と Volcano が手掛けたゲーム『Crown』の開発時のもので、Radiator Blog の記事に掲載されたもの。
The same scene as above, now with a paintover. The image is from the development of the game Crown, by FMPONE and Volcano, and was included in an article on Radiator Blog.
上記の同じシーンにペイントオーバーを施した結果。この画像は、FMPONE と Volcano が手掛けたゲーム『Crown』の開発時のもので、Radiator Blog の記事に掲載されたもの。

既製のアセットも活用する

ホワイトボックスシーンを豊かにするもう 1 つの効率的な方法は、既製のアセットを使用することです。

Unity Asset Store には、アイデアを視覚化するために、すぐに使えるアセットが沢山あります。例えば、Synty Studios の POLYGON Prototype Pack は、「組み込まれたメモとマーカー機能を使って、デザインの決定をチームに伝える」のに役立ちます。

POLYGON Prototype Pack by Synty Studios, available on the Unity Asset Store
Synty Studios の POLYGON Prototype Pack は Unity Asset Store で入手可能

ProBuilder でレベルのブロックアウトの作成を開始する(パート III からの抜粋)

ProBuilder-made objects in Unity can be exported to DCC software so 3D artists can work on them in their preferred creation tool.
ProBuilder で作成した Unity のオブジェクトは、DCC ソフトウェアにエクスポートできるため、3D アーティストは任意の作成ツールでの作業が可能。

ProBuilder を使用すれば、3D モデリングソフトやプロの 3D アーティストに頼らず、Unity でレベルのデザイン、グレーボクシング、プロトタイピング、プレイテストを行うことができます。オブジェクトのスムージング、引き伸ばし、反転、ミラーリング、押し出し、分割、カラーリング、テクスチャリングなど、オブジェクトの作成や操作を行うための数多くのツールが用意されています。

e ブックには、各ツールとその使い方をリスト化した詳細な表が含まれています。この抜粋では、ProBuilder やこれらのツールのうちのいくつかを紹介します。

Remember to install the support files for either URP or HDRP if your project uses those render pipelines.
プロジェクトでこれらのレンダーパイプラインを使用する場合は、URP または HDRP のいずれかのサポートファイルを必ずインストールすること。

ProBuilder パッケージをインストールしたら、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)または HD レンダーパイプライン(HDRP)のいずれかに対応するサポートファイル(マテリアル)をインポートしてください。これを行わないと、オブジェクトがレンダリングされない場合があります。ビルトインレンダーパイプラインを使用する場合は、特に必要な操作はありません。

A new project in Unity 2022 LTS using URP, a staircase created before and after installing the support file
URP を使用した Unity 2022 LTS の新規プロジェクト。サポートファイルのインストール前とインストール後に作成された階段。

トップメニューの GameObject > ProBuilder > Cube から、ProBuilder のプリミティブなオブジェクトを作成します(例)。ProBuilder には、素早いプロトタイピングに便利なプリミティブな形状が多数含まれています。物理用のメッシュコライダーコンポーネントも持つこれらの形状は、Scene view に追加することができます。

ProBuilder のメッシュは、Unity の通常の GameObject のように動作します。Transform 値を適用したり、コンポーネント、物理、スクリプトを追加したり、アニメーション化したりできます。ただし、標準的な Unity のメッシュは ProBuilder のメッシュとは異なり、ProBuilder オブジェクトに変換しないと、ProBuilder で編集することはできません。

A GameObject cube before and after becoming a ProBuilder mesh with the ProBuilderize action
ProBuilderize アクションで ProBuilder メッシュに変換する前と後の GameObject キューブ

ProBuilder メッシュは、ProBuilder ツールやアクションを一貫して使い、作成や編集により構築するのが一般的ですが、既存アセットの修正にも便利です。例えば、Unity Asset Store からアセットをインポートして、ProBuilder で修正することができます。

A tower asset imported from the Unity Asset Store; when you convert it via the ProBuilderize action it can be modified like a ProBuilder mesh
Unity Asset Store からインポートしたタワーアセット。ProBuilderize アクションで変換すると、ProBuilder メッシュのように修正できる

スムージンググループ

スムージンググループは、面と面の間にシャープまたはソフトエッジを作るのに役立ちます。隣接するポリゴンが同じスムージンググループに追加されていない場合、その間にハードエッジができます。車のフロントガラス、またはフロントウィンドウを構成するポリゴンを想像してみてください。これらが 1 つのスムージンググループを構成し、ボンネットを構成するポリゴンは別のグループになります。フロントガラスとボンネットのポリゴンがすべて同じメッシュの一部である場合、両方がスムーズ化されますが、同じサーフェスとしては扱われません。

The second sphere has the Smooth option disabled. You can change this setting in the Inspector by selecting the object.
2 つ目の球は Smooth オプションが無効化されている。この設定は Inspector からオブジェクトを選択することで変更可能。

ProBuilder では、新しい形状はデフォルトですべての面がスムーズ化されます。スムージンググループをより細かく調整するには、Smooth のチェックを外してください(上の画像参照)。

Smooth Group Editor ウィンドウには、さまざまなスムージンググループの設定やプレビジュアライゼーションに役立つオプションがあります。

When the Smooth Group Editor window is open, the mesh will show the different groups by color code.
Smooth Group Editor ウィンドウを開くと、メッシュは異なるグループをカラーコード表示する。

Preview オプションでは、スムージンググループごとの面のカラーコードの透明度を調整し、ディザ効果で馴染ませることができます。頂点の法線のプレビジュアライゼーションも可能です。

上述の例は、ゲームビューでは以下のように表示されます。

Notice how the top of the cylinder and its bottom half don’t have any smoothing, resulting in the edges of the faces being visible. The top two parts are smoothed, however, a seam is visible in the middle. This is due to the two parts belonging to different smoothing groups and therefore being treated as different surfaces.
円柱の上部と下半分がスムーズ化されておらず、面のエッジが表示されている。上の 2 つのパーツはスムーズ化されているが、中央には境目が見えている。これは、2 つのパーツが異なるスムージンググループに属していることで、異なるサーフェスとして扱われるために起こる。

UV エディター

This is the UV Editor window for a cylindrical shaped object and the default UV mapping.
円柱形のオブジェクトの UV Editor ウィンドウとデフォルトの UV マッピング。

UV Editor で、選択したメッシュのテクスチャマッピングを管理できます。主な作業エリアを確認しましょう。

  1. これは Scene view のものと同じツールバーで、頂点、辺、面を移動、回転、拡大縮小するオプションがあります。
  2. これらのボタンを有効にすると、Scene view から直接 UV マッピング座標を操作できます。これらのボタンは、有効化されている時は色付きで、それ以外の場合は灰色で表示されます。
    • 矢印のボタンは、Scene view で選択された要素(辺、頂点、面、オブジェクト)のトランスフォームの代わりに UV を操作できるよう、Scene view のトランスフォームツールをロックします。
    • 「brick」ボタンは、座標 0,0 のシェーダーのテクスチャのプレビューを有効にします。
    • カメラボタンは、DCC ソフトウェアで画像を編集する際の参照用に、ポリゴンワイヤーフレームをテクスチャに重ねて出力します。デフォルトでは、ファイルはプロジェクトの Assets フォルダに保存されます。
  3. シェーダーの UV マッピングを編集するには、UV を選択します。ベイクしたライトマップやリアルタイムライトマップを再生成するには、UV2(読み取り専用)を選択します。
  4. 選択したオブジェクトの UV マッピングを行うには、2 つの方法があります。
    • Auto:ProBuilder は、メッシュのサイズを変更しても、Actions パネルの設定に従ってテクスチャマッピングを管理します。これはデフォルトオプションとなっており、ステージデザイン作業の大半、とりわけプロトタイピング目的で繰り返しのパターンを扱うために使うだけであれば、これで十分でしょう。
    • Manual:この方法では、UV のアンラップや編集、UV のレンダリングなどを正確に行うことができます。詳細な画像に対して UV 要素を配置する際に推奨されます。このチュートリアルで、マニュアル UV による高度なテクスチャリングについて順を追って説明しています。
  5. 要素を操作して、シェーダーのテクスチャにフィットするようにきれいに配置できます。上の画像では、選択された面が青くハイライトされています。

ヒント:色分けでステージデザインを迅速化

レベルのボクシングを行う際に色分けを行うと、意図やアイデアをより明確に伝えることができます。例えば、破壊可能な要素を赤で色分けすることによって、チームの他のメンバーにどの要素が破壊可能かを伝えることができます。

Vertex Color 機能で、「プラス」アイコンを選択してカラーパレットを作成します。パレットをカスタマイズして、シーンに必要な色(と色の数)を定義します。

オブジェクトを色付けするには、Scene view でオブジェクトを選択して Apply をクリックします。個々の面にも色を適用し、保存した色のパレットをチームと共有することで、全員が同じ色分け基準を使用するようにできます。

A color-coded grey-boxed scene
色分けされたグレーボックスシーン

ヒント:ProBuilder で寸法オーバーレイを有効にする

Tools > ProBuilder > Dimensions Overlay から、Scene view で現在選択されているオブジェクトのサイズを示すフローティングラベルを有効化できます。

Handy visualization of the height, width, and depth of the selected object
選択したオブジェクトの高さ、幅、奥行きの便利なビジュアライゼーション

ProBuilder ステージを環境アーティストと共有する

Probuilder 内の Export 機能を使用するか、FBX Exporter パッケージをインストールして、ステージアセットのプロトタイプを正しい寸法で DCC アプリケーションにエクスポートし、アーティストにブラッシュアップしてもらうことができます。

When you install the FBX Exporter package, under GameObject > Export To FBX, you’ll have options to export your model to share with your artists.
FBX Exporter パッケージをインストールすると、GameObject > Export To FBX の下にモデルをエクスポートするオプションが表示され、アーティストとのモデルの共有が可能になる。

チームと明確な作業計画を定めることで、アーティストが 3D 環境オブジェクトの適切なサイズと形状に基づいてシームレスに作業できるようになり、スムーズで効率的なデザインプロセスが可能になります。

ProBuilder や Unity Asset Store のツールを使って、「キットバッシュ」(異なるアセットを組み合わせて独創的で新しいものを作ること)することもできます。このアイデアは、模型を趣味とする人たちが、鉄道模型や飛行機のキットをマッシュアップして、独自に作り変えたプロジェクトを構築するという手法に由来しています。

Key art that previews the contents of the Introduction to game level design e-book, featuring the cover and a pile of sample pages

Unity クリエイターのための上級者ガイド

Unity のレベルデザイン e ブックは、プロの開発者、アーティスト、テクニカルアーティスト、デザイナー向けの Unity 上級者ガイドコレクションに新たに追加されたリソースです。すべての e ブックは Unity のエキスパートによって執筆され、無料でダウンロードできます。Unity ベストプラクティスハブでは、上記を含め多くのリソースを掲載しています。

2023年11月8日 カテゴリ: ゲーム | 15 分 で読めます

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