先月、アムステルダムで開催された「Unite 2023」では、ヨーロッパ、オーストラリア、アフリカ、北米の大学から Unity 教育の第一線で活躍されている教育関係者の皆様にご参加いただきました。この革新的な教育者の皆様は、理論的な知識と実践的な実体験をうまく組み合わせて指導しています。
今回のディスカッションを通じて、注目すべき傾向が浮かび上がってきました。高等教育機関では、標準的な夏休みインターンシップに加えて、有給のインターンシッププログラムを4年制の学位プログラムに組み込んでいるのです。例えば、オランダの Saxion University of Applied Sciences の Hans Wichman 氏は、1 年間の有給インターンシップをクリエイティブメディアとゲームテクノロジーのプログラムに組み込んでいます。同様に、南アフリカの都市、ピーターマリッツバーグにある Midlands Computer Training Centre の Saihesh Maharaj 氏は、同大学が設立した VR 企業で有給のインターンシップを学生に対して提供しています。こうした取り組みにより、卒業生はアカデミックな学習を強化するだけでなく、就職に備えて包括的なポートフォリオや実践的な経験を積むことができるようになったのです。
要するに、未来の卒業生が 21 世紀のキャリアを築くための準備として、学びながら同時に収入を得ることがベストプラクティスとなりつつあります。このアプローチは、大学の Unity プログラムの学生だけに限った話ではなく、4 年制の学位授与プログラムの代替となり得る場合もあります。
クリエイターが質の高い Unity プログラムを利用できない場合、どうなるのでしょうか?あるクリエイターのお話から考察してみましょう。
私は幸運にも、オレゴン州ポートランド出身の Egodi Beloved Ulinwa (通称 Love)氏と会うことができ、トレーニング、親身なサポート、そして努力の組み合わせが、いかに 4 年制大学の学位に代わるものになりうるかを学ぶことができました。
「高校生の頃、数人の友人とクリエイティブ集団を結成し、『クリエイティブクルー』と名付けてゲーム作りを始めたのですが、卒業後、会計の勉強をするために大学に進学したときに、その活動からちょっと離れてしまったのです。会計学はあまり好きではなかったので、コンピューターサイエンスに興味を持ち進んでみましたが、まだ物足りないと感じていました。私はただクリエイティブな力を取り戻したかっただけだったので、クリエイティブクルーの元祖メンバーであり友人でもある Ben に電話して、僕らの仕事を再開できないか相談しました」。
Love 氏は学校を辞めた後、自宅近くで思いがけないインスピレーションの源を見つけました。弟の Liight 君です。Liight 君は当時わずか 14歳でありながら、驚くべき芸術的才能を発揮していました。Love 氏は弟の芸術的才能を育て始め、ゲームアートやアニメーションの方向へと導き始めたのです。
「私の人生には、次の一歩を踏み出し、現実のものにするよう背中を押してくれた人はいませんでした」と Love 氏は当時を振り返って語ってくれました。「私は Liight のためにそういう存在になりたいと思ったし、その日から Liight、Ben、そして私が一緒にゲームのデザインに取り組み始めたのです」。
Love 氏と Liight 氏は、自分たちのデザインを Unity エディターに組み込み始めましたが、彼らは、「それはひどいものだった」といいます。そこで、ゲームデザイン、アート、制作、プログラミングなど、あらゆることを独学で学び始めました。
彼らの独学のアプローチには、ネットワーク作り、業界のプロからのヒント、ユーザーからのフィードバックに基づいた数回にわたるゲームの作り直し、Unity Learn のチュートリアルによる無料学習などが含まれていました。
Love 氏は、Unity が COVID-19 パンデミックの初期にライブクラスを立ち上げたときの様子をこう振り返っています。「毎日、弟と一緒に動画を見て、ゲームを最適化する方法を学んでいました。Unity Learn は、私たちの生活に大きな影響を与えてくれました。お金の問題はゲーム開発においていつも課題でしたが、無料のクラスがあったおかげで、私たちのゲーム制作にとって非常に役に立ったのです」。
現在、Love 氏は Kickstarter、Microsoft、ソニーなどからの資金援助を受けて Kaizen Creed を 運営しています。同スタジオの初作品『5 Force Fighters』は、謎の人物から力を授かった 5 人のティーンエイジャーが、邪悪な悪役の支配を阻止しようと奮闘する姿を追った作品です。このゲームのユーザー層は、アニメやファンタジックな物語を好む有色人種の若者で、まさに「クリエイティブ集団」です。「ゲームでは、私たちのような人間がヒーローとして扱われることはなかったので、プレイヤーとしての私たちに向けて語りかけるようなものを作りたかった」と語っています。
「プレイヤーとしての私たちに向けて語りかけるようなものを作りたかった」
情熱、粘り強さ、そしてコミュニティの力が、Kaizen Creed にとっての夢を現実へと変えています。彼らは高校時代のクリエイティブな活動から、ゲームのスターダムへの道を切り開きました。Love 氏と彼のチームは現在、積極的にパブリッシャーを探しているので、もし何か情報があればぜひお知らせください。結局のところ、大事なのは、私たちのコミュニティの力なのです。
新年も引き続き、クリエイターのストーリーをご紹介していきたいと思います。ワークフォースの変化や Unity がソーシャルインパクトの原動力となることについて詳しく知りたい方は、次世代、AI、グローバルインパクトに関する過去のコラムをご覧ください。
Is this article helpful for you?
Thank you for your feedback!