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多様性、インタラクティブ性、アクセシビリティ:3 つのスタジオに教えてもらった、インパクトのあるゲームデザインに取り組む方法

2022年8月4日 カテゴリ: ゲーム | 12 分 で読めます
Cartoon witch, man and abstract circle
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Soft Not Weak、Kitfox Games、Tribe Games の 3 社から、プレイヤーの心に響く有意義な体験の作り方を教えてもらいました。

人は、自分がプレイするゲームに自分を反映させたいと思うものです。しかし、本当にインパクトのあるゲームをデザインするにはどうしたらいいのでしょうか。GDC で行われたインパクトのあるゲームデザインに関するパネルでは、この問題が検討されました。Intelligame の Josh Boykin 氏と Unity の Kal O'Brien をホストに、このトークセッションには Kitfox Games の Tanya X. Short 氏、Soft Not Weak の Réjon Taylor Foster 氏と Alex Abou Karam 氏、Tribe Games の Charles McGregor 氏が招かれました。 

配信では、ここに挙げた Unity クリエイターたちが、自分たちが見られていると感じたゲームについて語り、彼らにとって意味のあるゲームプレイやストーリーテリングとは何かを共有し、将来のインディーイノベーターにインスピレーションを与えました。

プレイヤーを自分の世界へ誘う

Soft Not Weak の『Spirit Swap: Lofi Beats to Match-3 To』は、『パネルでポン』や『Tetris Attack(パネルでポンを海外向けにローカライズしたゲーム)』のようなレトロゲームにインスパイアされた近日発売予定のマッチ 3 パズルゲームです。このゲームは、その包摂的なキャラクターデザイン、クィアな美学、そして限りなくポジティブであることが評価されています。Soft Not Weak が、個人として、またスタジオとして、自分たちを本当に表現できるようなゲームを作ろうとした結果出来上がったものなのです。

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共同設立者でクリエイティブディレクターの Alex Abou Karam 氏は、「これがデビュー作なので、見たこともないようなことをやりたかったんです」と語ります。『Spirit Swap』の舞台は、レバノンの建築と気候からインスピレーションを受けた部分もありますが、Abou Karam 氏は、このゲームがスタジオ全体を代表するような作品になることを望んでいました。 

「私はレバノン出身なので、それをさりげなくゲームに盛り込みたかったんです」と続けます。「しかし、ゲームというのは共同作業の成果物なので、私ののビジョンだけを形にしても意味がありません」。

完成したゲームに全員の視点を反映させるため、Abou Karam 氏はチームメンバーひとりひとりにキャラクターをデザインするよう依頼しました。その結果、『Spirit Swap』に登場する多様なクィアの魔女のキャラクターたちは、さまざまな体型やバックグラウンドをありのままに表現したものとなり、そのためすぐに熱心なファン層を獲得しました。このゲームは、わずか 35 時間で最初の Kickstarter の目標を達成しました。「『Spirit Swap』は、私たちのチーム全員の見た目と気持ちを、美しく、とても幸せなパッケージに包み込み、表現したものです」と Abou Karam 氏は語ります。

Spirit Swap』が他のクィアの物語と比べて際立っているのは、純粋にポジティブなことに焦点を当てている点です。「テレビゲームというのは、とても素敵な逃避のためのメディアなんです。多くの人は、直感的で理屈抜きのインパクトを与えることが必要だと考えています」と Abou Karam 氏は続けます。「これは真実ですが、自分自身が反映されていると分かれば、逃避もまた直感的で心の底から行うものになると思います」。

ローファイなマッチ 3 ゲームである『Spirit Swap』 はノスタルジーを訴求しており、これもプレイヤーにとって大きな魅力となっています。チームのユニークな経験を取り入れることで、Soft Not Weak は豊かで記憶に残るゲーム世界を作り出し、その表現がすでに本物であることを感じさせます。Soft Not Weak の共同経営者であり、UI/UX をリードする Réjon Taylor-Foster 氏は、「私たちは、故郷のように感じられるゲームを作りたかったのです」と語る。「一緒に大きくなった人、大好きな人ほど懐かしいものはない。それが私たちにとって一番大切なことなんです」。

Josh Boykin 氏は『Spirit Swap: Lofi Beats to Match-3 To』がノスタルジックな雰囲気を醸し出すのに成功したのは、大衆に迎合しようとしなかったからだ、とコメントしています。「あなたたちは具体的なストーリーを語り、具体的な 感情に結びつけた。それが心に響いたんです」と彼は言います。「チームメンバー全員が持ち寄ることのできる経験のパスティーシュ(模倣芸術)、それらが混じりあって出せる味が、ゲームに非常に強く出ているのです」。

デートシムの概念を現代にアップデート

Kitfox Games の『Boyfriend Dungeon』は、ダンジョン探索とデートシムの仕組みを融合させた斬新な作品で、2021 Game Awards の Games for Impact 部門にノミネートされるなど、高い評価を得ています。魅力的な人間の姿をした兵器と仲良くなり、関係を築きながら、主人公と兵器の距離を縮めていき、兵器の力を高めていきます。

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Spirit Swap』と同様に、『Boyfriend Dungeon』もレトロゲームからインスピレーションを受けており、ゲームデザイナー兼ライターの Tanya X. Short 氏は、コナミの『Azure Dreams』に大きな影響を受けていると述べています。 

「デートシムには興味があったのですが、それがビジュアルノベルでしかなかった頃はなかなか手が出せませんでした」。と Short 氏は言います。「PS1 版の『Azure Dreams』では、デートもできて、モンスターとの戦闘やクラフトなど、他のことも少しずつできるので、とても気に入っていました」。

Short 氏は『Azure Dreams』で楽しい時間を過ごしたが、その体験にまだ何か物足りなさを感じていました。「しゃべらない無口な主人公を操り、ある種の人としか付き合えないということから、自分自身が疎外されているように感じたんです」と説明します。『Boyfriend Dungeon』では、彼女と Kitfox Games のチームが、プレイヤーが好きなキャラクターと、何人でも好きなだけデートできる体験を作り上げました。

Soft Not Weak と同様、Kitfox Games も多様性に富んだスタジオであり、ゲームにもそれを反映させたいと考えていました。各チームメンバーは、キャラクターデザインやストーリーテリングなどについて意見を出し、スタジオでは、あまり社会から支持を得られていないグループのために多様性コンサルタントを雇いました。「『どうすれば、もっと歓迎され、もっと仲間に入れてもらえていると感じてもらえるか、そして、自分のためのものではない、他の人のためのものだと言われるようなものを作らないようにはどうすればいいかと問うことを始めました」と、Short 氏は言います。

その結果、触れ合うことへの同意からポリアモリーまで、さまざまな人間関係のトピックに関わる、テーマ性のある複雑なゲームに仕上がりました。オーディエンスの反応は全体的にポジティブですが、このジャンルの一部の純粋なファンからは、このゲームの最終目標が恋に落ちる 1 人の相手を見つけることではないため、「真のデートシムではない」という意見も受けています。

「2 種類のポジティブな反応がありました」と Short 氏は言う。「1 つは今までできなかった自分らしさを、デートシムで実現できたという声です。ロマンティックだけどアセクシャルだったり、ポリアモリーだったり、これまでのゲームでは封印されていたようなことができるんです」。

また、このゲームは、一部のプレイヤーに内省と実験の場を提供しました。「もう 1 つ、とてもポジティブな反応として、普段より多くの種類の愛を探求できるようになったというものがあります」と Short 氏は続けます。「ストレートの人でも、いろいろなことにチャレンジできるんです。これにやりがいを感じる仲間もいます。私もこうしたことが実現できることをうれしく思っています」。

アクセシビリティでインパクトを与える

2020 年に『HyperDot』が発売されたとき、このゲームは話題を呼びました。 この「すべてをかわす」ゲームは、 これまでで最もアクセシビリティのあるゲームの 1 つとして頻繁に 宣伝されており、Can I Play That? からは、モビリティアクセシビリティ部門で満点の 10 を獲得しました。しかし、一般に信じられている内容とは裏腹に、『HyperDot』は最初からアクセシビリティを考慮して設計されていたわけではありません。

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「『HyperDot』を作っていたとき、私は 2 つのデザイン原則を持っていました。ミニマリズムと柔軟性です」。と Tribe Games の Charles McGregor 氏は言います。「プレイヤーには動きという 1 つのことだけを考え、それ以外のことは考えないでほしいという思いがありました。余計なボタンもありません」。

McGregor 氏は、1 枚のスクリーンショットを見れば何が起こっているのかがわかるようなシンプルなデザインで、どんなタイプのコントローラーでも遊べるものを作りたかったのです。『HyperDot』にはアクセシビリティが最初から組み込まれていたということですが、McGregor 氏がそれに全力に取り組むことを決意したのは、視力が低下したプレイヤーがこのゲームに取り組もうとするのを見たときでした。「彼らが身体的な困難と闘いつつプレイしているのを見ると、ただただ胸が締め付けられる思いでした」と彼は言います。「『HyperDot』は難しいゲームですが、みんながプレイできなくなることを妨げるような障壁は存在させたくありませんでした」。

視力の弱い方にも楽しんでもらえるよう、McGregor 氏はハイコントラストモードを追加し、ステージ周りのインジケーターを大きく強調して、より見やすく、太くしました。 

ステージの並べ方がもう 1 つの大きなチャンスとなりました。McGregor 氏が障がいを持つストリーマーのコミュニティでアクセシビリティの研究を始めたとき、あるロービジョンのプレイヤーから「ある地点から先に進めない」というコメントがありました。ゲームモードの 1 つに、プレイヤーが操作するドットだけが光っている暗闇の中でプレイするものがあります。このセクションは、ゲームの進行上固定されたポイントにあるため、目の不自由なプレイヤーにはどうしてもクリアできないものでした。

そこで McGregor 氏は、ゲーム進行の硬直性を減らし、プレイヤーが好きな順番でさまざまなゲームモードに取り組めるようにしたのです。「この変更により、結果的に全員がより柔軟にゲームをプレイできるようになりました。」

さまざまなコミュニティと関わり、相談することで、McGregor 氏は『HyperDot』をアクセシブルなゲームデザインの模範となるレベルまで作りこむことに成功し、その結果、ゲームはより多くのプレイヤーへとリーチしたのです。「普通ならこのようなスタイルのゲームをプレイできない人にもプレイしていただけるようになったことは、間違いなく喜ばしいことです」と語っています。「この手のことを本当に心配している人たちに話を聞きに行きましょう。コミュニティに働きかけ、ベストプラクティスを見つけ、人々が何を嫌だと思うかを学び、違った視点を求めてください」。

ストリームからより多くの知見を得よう

下の動画で Creator Spotlight の全編をご覧ください。思慮深いゲームデザインによって影響力を最大化する方法について、より深い洞察を得ることができます。ゲームデザインはリアリティ番組から何を学べるのか、なぜ皆さんのゲームが「シングルマザーテスト」をパスしなければならないのか、そして、自分自身でプロジェクトに関わることが、いかに最も影響力のある決断の 1 つになりうるか、について学びます。

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