パーティクルシステムとは、パーティクルエミッターがついたゲームオブジェクトで、パーティクルエフェクトのデザイン・設定とコントロールが出来るようになっています。完璧なパーティクルシステムを作るには、多くの選択がなされなければなりません。パーティクルは2Dテクスチャとメッシュのどっちを使うべき?パーティクルのポリゴンはカメラに常に向くようにする?どのくらいの頻度で、どのくらいの長さで、どのくらいのスピードでパーティクルを出す?色やサイズ、透明度を時間で変更する?コライダーで跳ね返るようにする?パーティクルが消えたときに、別のパーティクルを出すようにする?
パーティクルシステムを実験しながらゼロから作り上げることはとても楽しいのですが、とても時間のかかる作業でもあり、また、ちゃんとしたものを作るにはコツが要ります。しっかりとしたパーティクルシステムは美しいアートワークとうまくチューニングされた振る舞いのプロパティ、そしてプラットフォームやパフォーマンスに対する配慮が絶妙なバランスで取り合わせられたものです。幸い、正しいパーティクルを作るためにあなたがパーティクル・サイエンティストになる必要はありません。なぜなら、アセットストアには膨大な量の最高のパーティクルシステムが揃っているからです。アセットストアにはゲーム産業の一流のアーティストやテクニカルディレクターの手によって生み出されたすぐに使えるパーティクルが、あなたが必要なほとんど全ての用途について存在しています。設定済みのパーティクル(Prefab)集に加えて、アセットストアからは完璧なパーティクルのシンフォニーを作るのに使えるサードパーティーのフレームワークも見つけることができるでしょう。
耐火スーツ、耳栓、安全ゴーグルは装備しましたか?ビデオゲームで何かをブッ飛ばすのは、疑いようなくすっごく楽しいものです。なぜなら、あなたは自然の法則に縛られることなく(あと地元の消防署にも迷惑をかけずに)地球を揺るがし、破片をブッ飛ばし、脳みそが蒸発するような爆発を作って楽しむ事ができるからです。最高ですね!
私の最初のオススメは日本の Flying Teapot です。 Flying Teapot はアセットストアの中でもスプライトシートベースのパーティクル師として最高の制作者の一人です。 FT Explosion Master は20のPrefabが含まれていて、ひとつひとつの爆発が美しい煙の雲と噴出物、黒焦げになったデブリと踊る火炎で作り込まれていて、どんなパイロマニアのこころも揺さぶる出来になっています。
このパーティクル集へのフィードバックはおおむね好意的ですが、スプライトシートを使ったシステム特有の問題として、このパッケージのパーティクルは他のものよりもカスタマイズ性に難があるという側面が指摘されています。しかしながら Flying Teapot はディティールやエネルギーの流れに対して細心の注意を払っているので、このパッケージのどのエフェクトを使ってもAAAクオリティのディティールとインパクトをゲームに加えることができるでしょう。
MASSIVEART はアセットストアではわりかし新参ですが、わたし個人としては最高の爆発エフェクトを提供していると思います。先の Flying Teapot と同じく、MASSIVEART もスプライトシートをベースにしたパーティクルを作っており、流麗でフォトリアリスティックな表現を実現しているというメリットがあります。しかし、反対にカスタマイズ性の難についても同じです。小さな爆発、大きな熱核融合爆発、キャンプファイヤー、火炎放射器、さまざまな煙、ファイアウォール…このパッケージで遊ぶのは楽しいですよ!
アセットストアパブリッシャーのUnluck Software はアセットストアコンテンツの中でももっとも多作なパブリッシャーの一角です。彼らの作品はモデルデータ、パーティクルシステム、鳥・魚・コウモリ・ねずみ・蝶の群衆シミュレーション、そしてオーディオデータなどに渡ります。そして驚くべくもなく、彼らは最もメジャーで人気のある炎と爆発のパーティクルシステム Fire FX の制作者でもあります。このパッケージは放火魔のみなさんがやりたいと望むことのすべてがクリーンなPrefabの形で含まれています:スパークや煙のついたリアルな炎、ショックウェーブやバックドラフトのついた爆発、破裂して燃え上がるガス管、炎の輪、地中の焦土、轟々と激しく燃え上がる炎… 先に紹介したいくつかのパッケージと違い、Unluck Software の Fire FX はスプライトシートに依存しないため、他のものよりもう少しフレキシブルです。もし爆発エフェクトを自分用にカスタマイズしたいのであれば、このアセットが良い選択になるかもしれません。
多くのデザイナーがフォトリアリズムをリアルタイムCGの聖典のように考える一方で、私たちはゲームが実世界では不可能なことを実現するためのものとしても見ています。マンガのような世界観はリアルと非現実の真ん中に通る素晴らしい道で、シンボルと現実の要素を統合し、誇張やスタイル化を通して、現実の退屈な制約から自由になれます。任天堂は - 彼らが最初というわけではありませんでしたが - 2002年にリリースした「ゼルダの伝説 風のタクト」で美しくハイクオリティなマンガ的パーティクル表現を使用し、その効用を広く知らしめました。スタイル化されたホコリのパーティクル、剣戟、炎、はねる水、突風などは本当に傑出した表現で、ひょっとするとゲームプレイ自体よりも鮮明に覚えているのではないでしょうか。風のタクトの影響は今日日の多くのゲームに見ることが出来、またスタイル化されたパーティクルへの要望も依然健在です。
アセットストアにはマンガ的表現のパーティクルも同様に多くありますが、その中でもマンガ的なパーティクルの王様といえば、まちがいなくJean Moreno でしょう。彼はフランスのアーティスト兼ゲーム開発者で、アセットストアですばらしいCartoon FX Pack シリーズをリリースしています。
Morenoの最初のアセットである Cartoon FX Pack, Volume 1 はコミック本のビジュアル言語からの強い影響を受けていて、複雑なパーティクルの繋がりとアクションワードを組み合わせた作りになっています。KA-POW! (かぱぅ!) Moreno は彼の CartoonFX Easy Editor というカスタムエディター拡張をキットに含めるという画期的な試みを行い、彼の作ったエフェクト集をローレベルな部分に踏みこむことなくカスタマイズやリファイン出来るようにしました。
もう一つのポピュラーなアセットはUnluck SoftwareのFX Megapack です。この手軽なパッケージは$10以下のアセットに125以上のパーティクルPrefabが含まれています。パーティクルは大体マンガ的なスタイルものです。パーティクルは自由にカスタマイズできるので、マンガのアクションワードを削除したり変更したりといったことも自由にできます。
もしあなたが日本のRPGゲームのスタイルを愛しているなら、G.E. TeamDev の FX Questは試してみた方がいいでしょう。彼らは沢山の技術と時間、エネルギーを投入して、このジャンルのゲームジャンルの雰囲気を忠実に再現したビジュアル表現を187以上のパーティクルエフェクトにまとめました。魔法攻撃やスペル、高エネルギーのファイアボール、自然のフォース… どれも明るく際立った表現で、カスタマイズも容易です。このアセットにはスマートなスケーリングツールや、ゲームのユーザー体験を強化する22のUI用パーティクルエフェクトも含まれています。
ここまでいくつかの素晴らしいパーティクルエフェクト集を紹介してきましたが、もしさらにカスタマイズしたい!という場合はどうすればいいでしょう?あるいはさらに洗練されたパーティクルシステムを自作したい、という場合は?もしあなたが自分で作ることを信条とするパーティクルのエキスパートならば、アセットストアにはあなたのお手伝いが出来るであろう、いくつかの素晴らしいフレームワークとツールがあります。
Particle Playground 2 は直感的で簡単に使えるパーティクル作成フレームワークで、Unityの基本機能のShurikenパーティクルシステムを拡張するものです。 Polyfied はシステムを拡張して新しいプロパティ、たとえば乱流フォースや他の要素に対する引力・斥力などを追加し、それらを他のパーティクルシステムやゲームロジックとコミニュケーション出来るようにしました。
Particle Playground 2 はパーティクルの状態のスナップショットを取って、セットしたパーティクルのスナップショット間を遷移するような作り方が出来るようにしてくれます。 さらに付属するPreset Wizardを使えば、作成したパーティクルを再配布可能な形で自由にエクスポートすることも出来ます。このシステムはすべてC#で書かれており、マルチスレッド対応もしていて、いくつかの初心者用のシーンも同梱されています。Particle Playground 2 は嬉しいことにUnityがサポートする全てのプラットフォームで動作します。
PopcornFXによるパーティクルをUnityで使用するには、まず始めにPopcornFX Particle Effects Pluginを デスクトップ/コンソール、 Android 、iOSなどそれぞれのプラットフォーム向けに購入する必要があります。PopcornFXのクールなところは、彼らの作った専用のパーティクル作成アプリケーションを使ってエフェクトを作れるという点です。これはおおむねAAAのゲーム開発でこの手の仕事をするときの業界標準ツールでもあるのですが、費用がかかる点が難点です。個人的にはUnityのパーティクルレンダラーは十分な仕事をすると思いますが、多くの人々がそれ以上の機能を求めて費用を支払う価値があると感じているようです。
本質的には、パーティクルシステムとは小さな要素が変化・変質することで自然の力を表現するものです。その”自然”が我々の世界で起きるものとは全く違うものであったとしても、一定のルールにしたがっています。これらのルールが、普段パーティクルだと思わない現象、たとえば液体を表現するためにも適用できるというのは面白いことだと思います。流体力学はとても複雑ですが、パーティクルをうまく使うことで、けっこう効率的に表現することができます。
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