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Games Focus:複数のプラットフォームとフォームファクターをまたいで、より多くのプレイヤーにリーチする

2022年10月5日 カテゴリ: Engine & platform | 10 分 で読めます
Games Focus blog 04, hero image
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この記事は、すべてのゲーム開発者のために、現在、来年、そして将来にわたってUnityが何を行うかを共有するために開始するブログシリーズの第 4 回の記事です。今回のブログでは、複数のプラットフォームやフォームファクターでより多くのプレイヤーにリーチできるようにするために Unity プラットフォームで進めている開発について、その状況、今後のリリース計画、および将来のビジョンの説明を行います。

こんにちは、Nick Rapp です。Unity でプラットフォームエンジニアリングチームのシニアディレクターを務めています。私は Unity で 7 年間働いており、直近 12 年間はゲームプラットフォームに携わってきました。私はキャリアの多くの部分で開発者が素晴らしいゲームを作って出荷できるようにすることに携わってきたので、ここでこれまで私たちが取り組んできたことを共有できて嬉しく思います。

皆さんの素晴らしいゲームを見てプレイすることが私たちのモチベーションであり、私が今の仕事に取り組んでいる理由でもあります。この記事は私と、私の製品管理チームの同僚である Martin Best、James Stone、Frederic Garnier との共同で書かれたものです。

私たちが Games Focus シリーズに寄せた内容は、ターゲットとするプラットフォームと、Unity を使い、これらのプラットフォームやフォームファクターを通じてより多くのプレイヤーにリーチする方法に焦点を当てたものです。これには、新しいプラットフォームを追加し、既存のプラットフォームへのアクセスを容易にするために昨年行った作業のレビューも含まれています。現在、すべての主要なプラットフォームへのデプロイを行うことが可能ですが、皆さんからのフィードバックを読むと、まだまだ改善の余地も多くあると考えさせられます。そこで、今後どのようにこの分野が進化していくかの概要をお伝えできればと思います。それでは、今回の内容に入っていきましょう。

プラットフォーム

Unity は、長い間皆さんがゲームを提供したいと思うプラットフォームをサポートしてきました。私たちは、プラットフォームホルダーと深いパートナーシップを結び、皆さんと皆さんのゲームにとって最良の結果が得られるように努めています。私たちの目標は、皆さんのゲームを抜きんでた存在にするために必要なプラットフォーム独自の機能を活用し、できるだけ多くの人に、できるだけつまづきのない形で、できるだけ多くのパフォーマンスを引き出してもらえるようにすることです。

Unity は、プラットフォームのサポートとテクノロジー統合について、幅広いエコシステムを提供します。現在では、20 以上のプラットフォーム統合をサポートしています。そして、新しいプラットフォームが登場したその日にサポートされているということが、Unity の重要な強みの 1 つとなっています。

Still stock image of gaming technology: keyboard, headphones, console, mouse and mousepad, mobile smartphone.

Unity エンジンはモバイルに強いことで知られていますが、モバイル、ハンドヘルド、デスクトップ、コンソール、XR など、主要なプラットフォームすべてにコンテンツを提供したいと考えている方も多いと思います。

いま皆さんが使えるもの

Navegante’s first game, Greak: Memories of Azur, released online and in-store for next-gen console and PC platforms simultaneously.
Navegante の最初の作品『Greak: Memories of Azur』。次世代ゲーム機と PC 向けにオンラインと店頭で同時発売された。

このセクションで取り上げるものはすべて、Unity 2021 LTS、Unity 2022.1 TECH ストリームにすでに取り込まれているか、次の TECH ストリームとなる Unity 2022.2 のベータ版で現在利用できるものです。Unity ベータ版の詳細とリアルタイム開発プラットフォームとしての Unity の未来を形作るためにご協力していただく方法については、ベータ版のフォーラムをご覧ください。

私たちは、新しいプラットフォームが市場に登場する際には、そのプラットフォームが動き始める初日から参加できるようにすることが重要だと考えています。Unity 2021.2 および Unity 2021 LTS では、Apple シリコンのネイティブサポートをエディターに導入し、Apple が新しいアーキテクチャに移行する中で、できる限り快適なオーサリング体験を提供できるようにしました。Unity 2022.2 では PlayStation®VR2 のサポートも追加されています。皆さんのゲームがこのプラットフォームで輝く様子を目にする日を楽しみにしています。

モバイル開発者の皆さんに向けた改善にも継続的に投資しています。皆さんのモバイルでの成功を支援することは、私たちの成功の礎でもあります。私たちは皆さんが時間、資金、労力を節約できる方法を常に探しています。今年は、デバイスへのデプロイを高速化する Fast Deploy for Android、エディター内での Gradle 設定、最新のデバイスとの互換性を確保するための Android および iOS ツールチェーンのメジャーアップデートへの対応強化などの改良が施されています。

モバイルゲーマーにリーチする方法を選択できるようにする取り組みの一環として、モバイルウェブサポートに引き続き注力しています。Unity 2022.2 では、タッチキーボードのサポートと、WebGL デプロイターゲット向けのモバイルテクスチャ圧縮フォーマットを追加する予定です。また、モバイルブラウザーの警告ラベルがついに削除されます。これは、すでに多くの方がモバイルデバイスで成功を収めていることを踏まえた、モバイルデバイスでのウェブ機能を正式にサポートするための大きな一歩です。

Boss Room demo project running on mobile browser with the new web diagnostic tool
新しいウェブ診断ツールを使い、モバイルブラウザー上で動作する『Boss Room』デモプロジェクト

モバイルでもウェブでもメモリ管理は常に課題であり、私たちはこれまで、皆さんにより良いインサイトを提供するための方法を考えてきました。WASM と JS のメモリ使用量を測定する新しい診断オーバーレイツールや、WASM の初期メモリヒープサイズとメモリ使用量の増加傾向を調整する新しいプレイヤー設定を用意し、ブラウザーでのメモリフットプリントをより精密に管理できるようにしました。

最近、Unity のレンダーパイプラインを取り上げたグラフィックス関連のブログをご覧になった方もいらっしゃるかと思います。このセクションでは、皆様の開発体験をより良くするために、私たちが行ってきたプラットフォームレベルのグラフィックス関連の仕事をいくつかご紹介します。

その中でも特に力を入れているのが、すべてのプラットフォームをまたいでグラフィックスのパフォーマンスを確保することです。その仕事の一環として、パフォーマンスと安定性に多大な投資を行った結果、Unity 2022.2 では DirectX12 バックエンドはプレビュー版から正式版に移行することになりました。Windows や Xbox の開発でも推奨となります。プロジェクトにもよりますが、特にドローコールの多いシーンでは、DX11 と同等以上のパフォーマンスを期待できます。

CPU performance test results for heavy draw call submission, DX11 vs DX12 (version 2)
重いドローコールを送信した場合の CPU パフォーマンステスト結果の DX11 と DX12 での比較

すべてのプラットフォームで実行時のシェーダーの性能とメモリ管理を改善するために、まず非同期 PSO 作成によるシェーダーのウォームアップの改善から着手しました。最新のグラフィックス API を使うと、パイプラインオブジェクトの作成の一部としてシェーダーの実行時コンパイルが実行されますが、これはシェーダーをウォームアップするときにスタッターやスローダウンの原因となることがあります。この最適化により、パイプラインオブジェクトのマルチスレッドによる生成を通じて、最新のグラフィックス API におけるシェーダーのウォームアップを高速化し、実行時のスタッターやスローダウンを低減します。

さらに、シェーダーリソースの重複排除と動的なシェーダー読み込みに関する改良も行っています。動的なシェーダー読み込みは、ユーザー定義のメモリ予算に基づいて、シェーダーのデータチャンクのメモリへのストリーミングや、不要になったシェーダーデータの排除を可能にします。

これらは、皆さんが高品質なゲームを世に出し、それができるだけ多くの情熱的なゲーマーに、できるだけ多くのプラットフォームでリーチするようにさせるためのプラットフォームサポートの改善に貢献した、私たちをワクワクさせる機能と投資のほんの一部です。安定性とゲームをリリースする能力は皆さんによって依然として最優先の事項であり、それは私たちにとっても同じです。私たちのチームは、バグ修正、SDK のアップデート、認証要件に大半の時間を費やしています。そうすることで、現在サポートしている 20 以上のプラットフォーム統合にわたって、エンジンが円滑に動作できるようにしています。

今後の予定

すでにサポートしているプラットフォームについてさらにそれを強化し、またデプロイ能力を向上させるための継続的な取り組みに加えて、私たちは長期的なビジョンの見通しを提供し、また皆さんにも対話に参加していただきたいと考えています。

ゲームを他のプラットフォームで展開する際に、デプロイ能力があるだけでは中途半端ということは承知しています。ゲームを世に送り出すためには、デプロイの後にも膨大な作業が必要であることも理解しています。今後はこの問題を解決し、本当に「一度作れば、どこにでも出せる」状態を目指します。

私たちは認証プロセスの準備を支援するプラットフォームを改善し、申請を行う寸前で慌てることになる可能性を最小化するために投資を行っています。そのために、まずこの分野における皆さんの最大のペインポイントについて聞くことから始めます。

このギャップを埋めるために、年末までにヒアリングの結果を製品計画に落とし込みます。今も、皆さんからいただいたご意見にあるニーズから優先事項を抽出し、整理しています。しかし、ユーザー管理や実績など、プラットフォームに共通する要件を抽象化し、プラットフォーム固有のコードを減らすのに役立つ API が望まれていることは、すでに把握しています。また、申請前に問題を確実に発見し、出荷までに必要な認証作業の回数を減らすのに役立つ統合された認証ツールも必要です。

さらに、常に新しい革新的なプラットフォーム、ストアフロント、流通チャネルが立ち上がっていることも認識しています。このため私たちは、こうしたさまざまなエンドポイントをサポートする上での複雑さを管理可能なものにするためのツール開発に取り組んでおり、これらの新しいプラットフォームを標準的な方法でサポートできるような新しい開発モデルについても調査を進めています。目標は、プラットフォームと関連技術の幅広いエコシステムへのアクセスを提供すること、そして皆さんのゲームのプレイヤーがどこにいても皆さんのゲームを楽しめるようにすることです。

この件に関する対話に参加したい方は、フォーラムでぜひご意見を共有してください。

リソース

コンソールでの開発に着手するにあたり、Unity プラットフォームモジュールを入手するためには、各プラットフォームホルダーの承認が必要です。これが最初のステップとなります。Unity のリソースだけでなく、開発者が XboxPlayStationその他さまざまなプラットフォームについて、それらのプラットフォームをターゲットとしたゲームを発売できるようにパートナーが共有してくれた資料も活用することをお勧めします。

Subnautica』、『Ori: Will of the Wisps』、『Crying Suns』、『Last Stop』、『Greak: Memories of Azur』、それに『Rollerdrome』などのゲームをカバーするケーススタディを通じて Unity でのマルチプラットフォーム開発について学び、Unity がサポートするプラットフォームのエコシステムを最大限に活用して成功を収めたクリエイターたちの物語に触れましょう。

最後に、Unity の提供する e ブック「Five foundations for successful multiplatform games」をご覧いただき、高く評価されている開発者たちが、利用可能なすべてのプラットフォームのゲーマーをターゲットにすることが最善であると考える理由に触れてください。この e ブックには、業界のベテランたちが、潜在的な開発コストの予測、主な障害の特定、開発パイプラインの優先順位付け、各プラットフォームでのプレイヤー体験の最適化、マルチプラットフォーム市場のポテンシャル最大化について学んできたことが数多く収められています。

LEGO: Builder’s Journey by Light Brick Studio launched on iOS first, then maximized the reach of their title across PC and console platforms.
Light Brick Studio の『LEGO: Builder's Journey』は、最初は iOS でローンチし、その後、PC とコンソールの各プラットフォームに進出してタイトルのリーチを最大化させた。

ご意見をお聞かせください

皆さんの日常の開発環境を向上させ、皆さんのゲームをより良いものにし、皆さんがビジネスでより大きな成功を収められるようにするために私たちが何ができるかを知るために、皆さんの力をこれからもお借りしたいと思います。長年にわたって皆さんからご支援とご意見をいただいてきたことに感謝するとともに、今後とも変わらないご支援とご意見をいただければと考えています。

Games Focus シリーズへぜひ皆さんのご意見をお寄せいただきますよう、お願いいたします。このブログに関するご質問やご意見は、フォーラムまでお寄せください。

Unity の今後の展開については、プラットフォームロードマップのウェブページをご覧ください。このページをご覧いただくには、Unity ID でログインし、機能性クッキーの使用を承諾していただく必要があります。ボードの各カードをクリックすることで各トピックの詳細を確認することができ、またフィードバックを送ることも可能です。カードをクリックし、自分から見た重要度を選び、自分の意見を入力し、送信します。フィードバックは、対応する製品チームに直接送られます。

ブログをチェックして、次回の Games Focus記事が掲載されるのを楽しみにお待ちください。

2022年10月5日 カテゴリ: Engine & platform | 10 分 で読めます

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