SIGGRAPH は一時期オンライン会議へと移行していました。この形式は便利ですが、やはりどこか物足りないところがありました。今回、SIGGRAPH が対面式の会議として、バンクーバーという素晴らしい都市に凱旋を果たしました。SIGGRAPH はコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術の進歩を祝う上で、業界では絶対に欠かせないイベントであり、今回の開催も、何千人もの情熱的なイノベーターが集まり、アイデアを共有し、互いに学び合う場となりました。
私たちにとっても、このイベントは旧友との再会や新しい技術の発見の機会となりましたが、それだけでは終わらせず、進化するクリエイターコミュニティに対して Unity の最新のイノベーションの紹介を行いました。1 週間にわたり、講演、講座、テクニカルペーパー、ブースでのデモなどを通じて、私たちの仕事の成果を公開してきました。技術的なアップデートやハイパーリアルなデジタルヒューマン、ゲームのリアルタイムレンダリングの進歩、バーチャルプロダクションやVFXのためのソリューションなど、あらゆることについて話し合うために、世界中のUnityの同僚が集まりました。
スタイル化されたキャラクターやリアルなデジタルヒューマンのためのフェイシャルオートリギングから、葉や植生のための VFX まで、多数のプレゼンテーションが行われましたが、その中から私たちが特に関心を持ったものをまとめてみることにしました。
イベントの様子を私たちのまとめと共に振り返りましょう。
SIGGRAPH 2022 で 最新のリアルタイム 3D デモ『Lion』を初公開しました。Unity と Monster Emporium Animation School の共同プロジェクトである『Lion』は、Wētā Digital、Ziva、SyncSketch、SpeedTree、Unity Graphics チームが初めて共同で制作したコンテンツであり、リアルタイム技術のイノベーションを強調するものです。
『Lion』は、リアルタイムのアーティストリツールや機能のエコシステムが拡大していく中、研究開発の現場から生まれてきたものです。これは、あらゆるツールが連携することで何ができるのかを明確にするものです。
最近のブログでは、『Lion』のデモで使用された技術について詳しく知ることができます。
賞が取れなかったとしても、「Real-Time Live!」にセッションが採用されること自体が名誉なことです。しかし、Unity Labs の ML アーティストリのチームは受賞までしてしまったのです。シニア機械学習開発者の Florent Bocquelet による発表「AI and physics assisted character pose authoring」は、機械学習によるキャラクターアニメーションとポージングに関する新しい研究として、観衆の票を集めました。
プレゼンテーションでは、アーティストの経験が乏しい Unity ユーザーでも、機械学習と物理エンジンの両方を活用して、自然なポーズを瞬時にオーサリングできるツールを紹介しました。チームがこのような賞を受けたことを非常に誇りに思います。また、魅力的な講演をされた他のすべての講演者に賛辞をお送りいたします。
私たちのデモ『Enemies』には、カンファレンスに向けてさらに改良を加えられました。Ziva の強力なフェイシャルアニメーションソフトウェアと、新しいストランドベースのヘアソリューション(現在、実験的パッケージとして GitHub からダウンロード可能)が追加されたおかげで、準備万端となりました。
これは「Real-Time Live!」と Electronic Theater プログラムの特集プロジェクトに選ばれ、私たちは『Enemies』のリアルタイムアニメーションワークフローと、デジタルヒューマン作成用の Unity の最新機能をデモしました。ライブセッションでは、Unity の Krasimir Nechevski と Daniel Gagiu が、『Enemies』の主人公 Louise の迅速な編集プロセス、より具体的には、Maya での彼女のフェイシャルパフォーマンスと Ziva の制御スキームを組み合わせて、新しいパフォーマンスを瞬時に Unity で展開する様子を示しました。そして、Louise から新キャラクターの Emma に切り替えて見せることで、Ziva が重要なデータにどこまで対応できるかを強調しました。
また、SIGGRAPH では、3D の人物やキャラクターのフェイシャルアニメーションを素早く作成するための最新ツールの 1 つ Ziva Face Trainer(ZFT)を発表しました。新しくリリースされたリアルタイム 3D の顔モデルに使えるオートリギングソリューションの解説を通じて、ZFT のディープラーニングで構築されたパラメーター空間、ARKit、表情制御の利点を紹介しました。
Unity のバーチャルプロダクションスーパーバイザー Habib Zargarpour は、Unity プラットフォームのバーチャルプロダクションツールを使用して制作した映画プロジェクト『Dark Asset』と『Comandante』において、いくつかのショットを取り上げ、それらをどのように計画したかについて説明しました。VFX アーティストの Setareh Samandari 氏と共に、短編映画『Leap』やカニエ・ウェストの『24』のミュージックビデオに使用されたプレビジュアライゼーションからレイアウトまでのアプローチなど、複数のリアルタイム 3D 制作の舞台裏を見ることができました。
Unity 特別技術フェロー、チーフアーキテクト、プロフェッショナルアーティストリ・グラフィックイノベーション部門担当バイスプレジデントの Natalya Tatarchuk が主催する 3 部構成の「Advances in real-time rendering」コースは、SIGGRAPH で 17 年間開催されてきたコースです。ビデオゲームにおける複雑で魅力的なバーチャル世界をインタラクティブにレンダリングするための、実制作にも活用された実績のあるテクニックを網羅しており、現在も多くのファンがいます。
Wētā Digital のチームは、魅力的なテクニカルペーパーのレビューの中で、流体、剛体、変形可能なオブジェクトの堅牢なシミュレーションを行うための新しいフレームワーク Loki を紹介しました。そして、2 本目の論文は、水が白く見えるエフェクトを含むを泡や泡沫の物理ベースのシミュレーション手法に焦点を当てたものでした。これにより、アーティストが専門知識を要求されるパラメーター調整に労力をかけすぎることなく、より自然な水面と泡とのつながりを表現できるようになりました。
会場の Unity ブースを訪れた人々は、アーティストツールとワークフローを直接試し、効率的な制作とコラボレーションのための最新ソリューションの情報に触れていました。来場者はインタラクティブなデモを通じて、以下のコンテンツを体験しました。
最後になりましたが、今年も Unity のセッションにご参加いただいた皆様、ブースにお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。もう次回の SIGGRAPH で皆さんにお会いするのが待ち遠しくなっています。
今年の SIGGRAPH に行けなかった方は、私たち自身で厳選したライブセッションの動画をぜひご覧ください。また、Unity Art Tools の詳細については、アーティストリソリューションのページをご覧ください。