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VirtaMed LaparoS シミュレーターによる、複合現実を活用した手術トレーニング

2021年11月29日 カテゴリ: 製造業 | 11 分 で読めます
Medical students training
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VirtaMed LaparoS は、Unity のリアルタイム 3D デジタルツイン技術を統合された触覚フィードバックにより、非常にリアルな手術トレーニングを提供する最先端の医療技術として知られています。

注意:このブログには医療関係の画像が含まれており、一部の方には不快に感じられる恐れがあります。

スイスを拠点とする医療教育用複合現実シミュレーターの開発会社 VirtaMed 社は、従来の手術トレーニングに伴うリスクを軽減するソリューションを開発しました。Unity のデジタルツイン技術を活用して複雑な手術トレーニングシナリオを再現した VirtaMed 社の革新的で受賞歴のある LaparoS は、医師が手術の進め方を学ぶ方法に革命をもたらしています。

Broward Health 社の FACS プログラムディレクターである Ivan Puente 医師は、「シミュレーターに向かって歩き始めた瞬間から、手術室(OR)でやるのと同じように準備を進めることができます。私たちは、実際の患者さんに行うことをそのまま真似ることができます。出血や胆汁漏れなどの合併症を追加することで、研修医により OR に慣れてもらえるのがいいですね。手術の前にシミュレーションのトレーニングを行うことで、スキルが向上し、患者の安全性が高まることは明らかです」と述べています。

この記事では、リアルタイムの 3D デジタルツイン技術を用いて構築された VirtaMed 社のシミュレータートレーニングプログラムと、外科手術のトレーニングにシミュレーションを使う利点について詳しくご紹介します。

より良いトレーニングプログラムの構築

現実の患者を危険にさらすことなく学習できる環境を

従来の外科トレーニングは、「see one, do one, teach one(一度見て、自分でやってみて、他人に教えられるくらいに習得する)」モデルに基づいています。しかしこのモデルは、高度な医療技術や技法の世界では通用しません。VirtaMed 社は、外科医が初めて手技を行う相手が生身の患者だということが決してあってはならないと考えています。複合現実シミュレーター LaparoS は、外科医が「デジタルヒューマン」を対象に、腹腔鏡下の一般外科手術(腹壁の切開部から小型カメラを挿入する)や婦人科手術のトレーニングを、非常にリアルながらリスクのない環境で行うことができます。

非常に高いリアル感のあるリアルタイム 3D ビジュアライゼーションと、触覚フィードバックを提供する革新的なシミュレーションプラットフォームを組み合わせることで、VirtaMed は従来の医療トレーニングの常識を覆す腹腔鏡トレーニングシミュレーターを開発しました。医療トレーニングの学習曲線の負担を、患者からシミュレーターに移すことができます。  

Image of laparoscopic surgery training
効果的なトレーニングには、非常にリアルなビジュアルアセットが欠かせない

トレーニングのパフォーマンスを向上させる

科学研究の世界では、シミュレーションが従来の方法に比べてトレーニングの成果を劇的に向上させることが実証されています。質の高いシミュレーションを行うことで、トレーニングを受ける人たちの不信感をぬぐい、訓練シナリオに没頭させることができます。たとえば、トレーニング中にバーチャル世界の中の患者が出血したとして、その様子が十分にリアルに描かれていれば、トレーニングを受ける人は迅速な解決策を求めて真摯に取り組むようになるでしょう。 

また、LaparoS シミュレーターは、トレーニングを受ける人の振る舞いをミリ単位の精度で記録し、手技を行っている間のパフォーマンスだけでなく、シミュレーションの中の患者に対する治療によって起こりうる結果についても貴重なフィードバックを提供します。 

腹部など体の一部のデジタルツインを使用したシミュレーショントレーニングは、学習曲線を加速させ、新人の外科医がより早く手術室に入れるようにするだけでなく、チームでのトレーニングシナリオも実施可能にすることで、トレーニング全体のコストを削減します。

Hernia Incision for medical training
シミュレーションされた手術プロセスにおける器具の配置を正確に測定することで、トレーニングの成功に不可欠な建設的なフィードバックが可能になります。

誰でも手術スキルのトレーニングができるように

伝統的に、熟練した外科医は徒弟モデルを利用して技術を共有しています。この方法でのトレーニングの効果は、教える側のスキルに依存します。VirtaMed 社の目標は、世界的に認められた外科専門家の技術を体系化し、その技術をシミュレーターのプログラムに反映させることで、シミュレーターを使用してトレーニングを受ける人すべてがその技術に触れられるようにすることです。 

VirtaMed 社のシミュレーションプラットフォームは、機械学習を用いて、専門の外科医が作成したデータを使用して、最良の手術技法を数値化します。専門の外科医たちの専門知識はシミュレーションプラットフォームに反映され、トレーニングを受ける人のパフォーマンスを測る基準として使用されます。また、トレーニングを受ける人は、専門家が導き出した基準に基づいて、状況に応じたフィードバックを受けることができます。このように、デジタルツインを使ったシミュレーショントレーニングが普及することで、専門的な外科技術へのアクセスの障壁が取り除かれ、専門的な外科技術が民主化されます。

「私たちは破壊的なテクノロジーを用いて、患者のことを考えて外科手術のトレーニングを改善します。Unity を使うことで、ゲームの世界で行われてきた莫大な投資と進歩を、現在も、そして将来にわたっても最も大きな影響を与えられる場所で活用することができます。」

- Stefan Tuchschmid 氏、VirtaMed 社共同 CEO 兼創設者

没入感のあるリアルタイムの 3D ビジュアルアセットと触覚フィードバックの組み合わせにより、非常にリアルなトレーニングシミュレーションを実現。

理論から現実へ

LaparoS のビルディングブロック

VirtaMed 社は既存の技術を拡張し、実際の手術室での手技の仕組みや複雑さを再現できるくらいの最先端のグラフィックスをサポートするリアルタイム 3D エンジンを必要としていました。 

VirtaMed 社のシニアソフトウェアエンジニアである Basil Fierz 氏は、同社が技術パートナーとして Unity を選んだ理由を次のように述べています。

  • Unity は技術への投資と改善に力を入れており、VirtaMed 社は Unity の HD レンダーパイプライン(HDRP)の潜在的な能力を理解していました。
  • Unity エンジンの優れた拡張性により、VirtaMed 社は既存の物理シミュレーションツールを Unity に拡張することができ、別の物理エンジンを使って最初からやり直す必要がなくなりました。
  • Unity の Integrated Success チームが、VirtaMed 社のチームが自信を持って開発でできることを押し広げるためのサポート体制を保証しました。

「Unity の開発者リレーションマネージャーは Unity の組織全体との橋渡し役であり、この人を介して、エンジニアリングからマーケティングまで、すべての人と効率的につながることができます。定期的なミーティングでは、日々のサポートトピックにとどまらず、関連するコンテンツを紹介してくれたり、ワークフローを改善するための新機能をアドバイスしてくれたりと、非常に助かっています。」

- Basil Fierz 氏、VirtaMed 社シニアソフトウェアマネージャー、Ph.D.  

Ovarian artery bleeding on the right
VirtaMed 社の物理エンジンを Unity に統合することで、出血など、実際の手術で起きることのシミュレーションが可能になります。

超リアルなシミュレーター体験の開発

Unity を採用したことで、VirtaMed 社はリアルなビジュアルアセットと触覚フィードバックを組み合わせ、LaparoS ならではの優れたトレーニング体験を実現しました。既存の物理エンジンをモジュールとして Unity に直接統合することで、VirtaMed 社は内臓の物理的挙動と、手術器具と内臓の相互作用を正確に表現することを可能にしました。 

最初の開発段階では、シミュレーションされた臓器が、実際の臓器と同じような物理的に挙動を示すようにすることに重点を置きました。VirtaMed 社は、実際の医療行為の動画や、手術の進め方の理解、手術の観察、また医師からの直接の意見など、さまざまな情報源を組み合わせてこれを実現しました。物理シミュレーションは器具による相互作用に反応し、フィードバックの力を計算し、それをシミュレーターのトロカール器具にかかる力に変換して、触覚フィードバックを提供します。 

また、VirtaMed 社の Unity ベースのプラットフォームは、地域のトレーニングチームが、患者のどちら側に手術を行う人を配置するかなど、手術方法の違いに柔軟に対応することができます。このような機能は、訓練を行う側の意図に応じて、簡単に有効または無効にすることができます。

開発段階では、VirtaMed 社のチームは、Unity の Furioos ストリーミングソリューションを社内テストに使用しました。Furioos のクラウドベースのストリーミング技術により、複雑でインタラクティブな 3D アプリケーションにウェブブラウザで簡単にアクセスでき、共同でのデザインレビューをサポートすることができます。 

同時に、VirtaMed 社は物理的シミュレーター向けの機械を開発しました。Unity の Furioos ソリューションを使ってシミュレーションのデザインレビューを行えるようになったことで、シミュレーターのハードウェア製作の不要な遅延を防ぐことができました。  

The laparoscopic surgery app built in Unity
Unity エディターを使用して、リアルなビジュアルアセットと内臓の正確な物理挙動を組み合わせる。

Unity で将来の計画を描く

LaparoS トレーニングシミュレーターの成功を受けて、VirtaMed 社は今後 12 か月以内に既存の製品を Unity に移行し、将来の製品にも Unity を使用する予定です。 

Unity エディターを使用することで、VirtaMed 社はコンテンツをより早く作成することができ、また、他の業界の顧客向けに小規模なカスタムプロジェクトを構築するなど、より幅広い製品にメリットを拡大することができます。将来的には、トレーニングプログラムのスキルリポジトリを構築し、レアケースのシナリオを追加する予定です。Unity のデジタルツイン技術を用いてシミュレーションプラットフォームを構築することで、VirtaMed 社はシミュレーションサービスを拡大・発展させる準備を整えています。 

「より良いトレーニングの手段に関する私たちのビジョンは、外科医に適切なツールを提供し、患者にリスクを与えることなく、安全な環境で診療を行えるようにすることです。トレーニングの道筋がデジタル化されると、それが測定可能になります。これにセルフガイド型のトレーニング、ゲーミフィケーション、アダプティブラーニングを組み合わせれば、手術のトレーニングに真の変革をもたらすためのすべての要素が揃うことになります。」

- Stefan Tuchschmid 氏、VirtaMed 社共同 CEO 兼創設者

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