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Forge/OS と Unity でロボットがより身近なものに

2021年6月14日 カテゴリ: 製造業 | 11 分 で読めます
Ready Robotics Updated Header
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私たちはシミュレーション環境でのロボットのテストや学習や実世界でのロボット操作など、ロボット分野の顧客が Unity を使って驚くようなことを実現させてきたのを目にしてきました。私たちは、自分たちでは思いつかなかったようなユースケースを見るのが大好きです。例えば...Unity を使って、ロボットを操作する人間のオペレーターのトレーニングを行うというものです。

これは READY Robotics 社が実際に取っているアプローチです。同社はロボットをエンドユーザーにとってより身近なものにすることを目標に、最新のロボット向けソフトウェア「Forge/OS」を開発しました。ロボットを操作する人が博士号を持っていないといけないようでは、ロボット革命は起こらないでしょう。

「より多くのクリエイターがいれば、世界はもっと良い場所になるはず。」これは Unity の深いところにある信念です。READY Robotics 社がどのようにして Unity と Forge/OS を使い、より多くのロボットクリエイターに力を与えているのか。同社の共同創業者兼チーフイノベーションオフィサーの Kel Guerin 氏とマーケティング担当バイスプレジデントの Erik Bjørnard 氏による今回のゲスト記事では、それを明らかにします。

ロボットは私たちの生活を便利にしてくれるもの

ロボットは常に想像力を掻き立ててくれます。人間が作ったものでありながら、人間と同じように物理的な世界に影響を与えることができるものの代表例と言えます。ですから、映画やテレビで常に取り上げられているのも不思議ではありません。最近では「ルンバ」などのデバイスに代表されるように、ロボットが私たちの日常生活に入り込んできていますが、私たちが毎日使っているものを作る上で役立っている何百万台ものロボットの存在を忘れがちです。商業的には、このような産業用ロボットは、1960 年代から存在するとされています。最初にコンピューターが量産されたのとだいたい同じ時代に産業用ロボットも生み出されたということです。同じ時代に生まれたのに、コンピューターがすっかり世の中に浸透しているのに対して、ロボットの普及はまだまだ限られているというのは皮肉なことです。

Fanuc CR-7iA Collaborative Robot running Forge/OS
Forge/OS を搭載した FANUC CR-7iA 協働ロボット

世界中で導入されているロボットの数が相対的に少ないことが問題なのです。昨年、ほとんど人間の労働力だけで成り立っている製造レイヤーは非常にもろいということを痛感させられました。そして今、重要な医療部品やマイクロプロセッサー、さらには木材までもが不足するような事態になっています。製造業に携わる人であれば、もっと自動化を進めたいと思うでしょうが、それができないのです。 

これはなぜでしょうか。ロボットを使うのが難しいからです。ロボットのプログラミングや導入には膨大な知識が必要で、上位の学位や数か月のトレーニングが必要とされます。さらに問題を大きくしているのは、ロボットのブランドが違えば作りがまったく違うことです。数か月間のトレーニングを行ったとしても、その内容は最初に習ったブランドのロボットにしか通用せず、他のブランドに変えるとまた同じトレーニングを繰り返すことになります。これは新しいノートパソコンを買うと新しい OS を覚えなければならないようなもので、また皮肉なことに、1970 年代後半にコンピューターで起きていた問題が今になってロボットに起きているのです。かつて、各メーカーから発売されていたコンピューターのハードウェアやソフトウェアは、それぞれ個別の知識がなければ使えないものでした。現在のロボットと同じように、コンピューターも当時は身近ではなく、それほど数も出回っていませんでした。 

しかし、コンピューターではこの問題を解決できたのですから、同じ方法でロボットについてもこの問題を解決できるはずです。1980 年代に入って、使いやすさへのこだわり(Apple が先駆的で、のちに他のメーカーも追随)とプラットフォームの共通化(Microsoft の DOS と Windows)という 2 つの視点が持ち込まれ、コンピューターに革命が起きました。Apple のコンピューターのように手に入れやすいコンピューターが出回ると、人々はすぐにその応用先を見つけました。Windows のような共通のプラットフォームが出てきたことで、どのコンピューターでも同じソフトウェアが動く環境ができ、すべてを学び直すことなく、仕事に応じて適切なコンピューターを選べるようになりました。READY Robotics 社では、コンピューターの世界での教訓と、変革をもたらした 2 つのアイデアにヒントを得て、あらゆるロボット上で動作し、実際にロボットを使いやすくするソフトウェアプラットフォームを提供しています。

Forge/OS でギャップを埋める

The READY Pendant running Forge/OS
Forge/OS を起動している READY Pendant

Forge/OS は READY Robotics 社が開発した、初のエンドユーザー指向のロボット用 OS です。Forge/OS が、Windows がコンピューターに、そして Android が携帯電話にもたらしたように、共通のインターフェースを提供することで、同じソフトウェア「アプリ」をどのロボットでも動作させられるようになります。誰もがロボットを利用できるようにするために、私たちはまず、スマートフォンやパソコンのアプリのように、使いやすい独自のアプリを Forge/OS 上で開発しました。その 1 つが「Task Canvas」というロボットプログラミングアプリで、フローチャートの中の簡単な積み木を使ってロボットをプログラミングすることができます。Task Canvas を使えば、誰でも簡単に数分でロボットのプログラミング方法を習得することができ、使い始めたその日のうちに本格的な作業を開始することができます。一般的な産業用ロボットの使い方の習得には通常 70 時間以上はかかることを考えると、これはすさまじい進歩です。また、Forge/OS はどんなロボットにも対応しているので、少し時間を使って Task Canvas を習得すれば、コンピューターで Excel を使うのと同じように、Forge/OS を搭載したロボットを Task Canvas で操作することができるようになります。

しかし、ロボットを本格的に学ぶためのハードウエアの入手という大きな課題がまだ残っています。確かに Forge/OS や Task Canvas はロボットを使うためのトレーニングに必要な期間を数週間から数時間に短縮しましたが、実際に作業するロボットはいぜんとして必要なのです。これは大きな問題です。産業用ロボットの価格は下がってきているとはいえ、それでも数千ドルするため、使い方を学びたいと思った人すべてが簡単に入手できるわけではありません。READY Robotics 社の軸となっているビジョンはロボットを誰にとっても身近なものにすることですから、この問題は絶対に解決しなければなりません。そこでまずは、広く使われているシミュレーションソフトを調べてみました。つまり、実物のロボットの代わりに、PC でシミュレーションされたロボットをプログラミングすることで、コンピューターを持っている人ならだれでも Forge/OS や Task Canvas を習得することができるのではないか、という考えです。

 

Unity をベースにした Forge Robot Simulator

READY’s Unity simulator presents a wide range of robot environments for learning different activities
READY Robotics 社の Unity シミュレーターでは幅広いロボット環境が提供されており、様々なアクティビティを学ぶことができる

そんな中で見つけたのがゲームエンジンの Unity でした。Unity はゲーム開発者に広く利用されていますが、製造業などゲーム業界以外での導入も進んでいます。これは Unity が、リアルなテクスチャ、物理、ライティングを備えた非常に高い現実感を持つシミュレーション環境を作成するための、利用しやすい最高のツールセットを構築したからです。このシミュレーションツールは、それで作った環境が現実と混同されることがあるほど優れています。それに加えて、Unity は最近 Unity Robotics と呼ばれる、ロボットのシミュレーションのための特別なツールセットをリリースしました。この中に含まれる新しい ArticulationBody ゲームオブジェクトを使うことで、Unity 上で再現したロボットが実物と並べて見てもほぼ同じような挙動を示すようになりました。 

このような理由から、Forge/OS 用のロボットシミュレーターを Unity で開発することは自然な流れでした。このシミュレーターは、5 月に開催された Forge/OS 5 のローンチイベントで披露されました。「Forge Robot Simulator」は、Task Canvas と Unity でシミュレーションされたロボットを結びつけ、簡単なプログラミングを行うことで、実物のロボットを操作するのと同じようにシミュレーションされたロボットをコントロールすることができます。また、Unity には強力なツールが搭載されているため、ロボットを動かす環境を非常にリアルに作ることができました。 

ロボットの動きの基礎を学べるシンプルな環境から、産業用のワークセルまで、さまざまなものが用意されています。また、完全なロボットシステムがないと作業ができないため、グリッパーや工作機械などのシミュレーションも Unity で行い、これらの機器をプログラムしてロボットと一緒に動かし、作業をこなせるようにしました。 

その結果、リアルなロボット体験が可能になりました。物を掴んだり、他のデバイスを作動させたり、その他産業の現場で行われるような作業全般を実行するロボットプログラムを、実物のロボットがなくても、すべて PC 上で作成することができます。また、シミュレーションで Forge/OS を学んだなら、実際の産業用ロボットを使う準備もできていることになります。なぜなら、実物のロボットでも Forge/OS が動いているので、シミュレーターで学んだことはすべて実物のシステムでも通用するからです。

ロボットについて学んでいる学生や、ロボットによるオートメーションの分野でキャリアを積もうとしている社会人など、誰でもコンピューターを起動すれば本物のロボットプログラミングを学べる日が来ることを、私たちはとても楽しみにしています。Windows や Apple がコンピューターを身近なものにしたのと同じ方法で、Forge/OS はロボットを身近なものにすることで、誰でもロボットが使えるようにする。その力が Forge/OS にはあると信じています。そして Forge Robot Simulator は、あらゆる人にとって、Unity エンジンを使った魅力的かつリアルなシミュレーション環境で、Forge/OS を使い始めるための最も利用しやすい方法だと考えています。 

Forge/OS は、READY Robotics 社のウェブサイトで公開されています。この夏登場する、Forge Robot Simulator をお楽しみに。

 

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  • Unity's Digital Developer Day:READY Robotics 社の共同創業者兼チーフイノベーションオフィサーである Kel Guerin 氏がプレゼンテーションを行う、Unity 主催のバーチャルイベントが近日開催されます。ぜひご参加ください。登録は無料です
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2021年6月14日 カテゴリ: 製造業 | 11 分 で読めます