Unity のチームメンバーが「より多くのクリエイターがいれば、世界はもっと良い場所になるはず」と言うとき、それは単なるキャッチフレーズではなく、本心からの言葉です。大きな変化をもたらすためには、創造的な思考を原動力として、さまざまな分野で解決策を見出すことが必要なのです。これは気候変動について考える場合には特に重要です。
気候変動は世界的な脅威であり、私たちはリアルタイム 3D クリエイターがその対策について最も重要な役割を果たすことができると考えています。アースデイを迎えるにあたり、Unity のデジタルツイン技術とその応用が、コミュニティを動かしたり、変化のきっかけを作ったりする様子にスポットを当てたいと思います。建設、ファッション、イベントという、3 つの大きな産業において、Unity のプラットフォームが、ビジネスコミュニティの気候変動に対する行動を後押ししていることを紹介できることを嬉しく思っています。
建設業界は、原材料や天然資源を最も多く消費する産業の 1 つです。World Green Building Council(世界グリーンビルディング評議会)は、建設業界が世界の二酸化炭素排出量の 39% を占めていると推計しています。そのため、業界は確かにイノベーションに向かって行動しています。これが Mortenson、Zutari、Sitowise などの会社が、変化を促しているのを目にするようになった理由です。
Mortenson が Unity Reflect を使ってクライメット・プレッジ・アリーナの建設のコーディネートを行う決断を下したことは誇らしいことです。アリーナの計画では世界初となる、International Living Future Institute(国際リビング未来研究所)認定のゼロカーボンアリーナを作ることを目標としています。ネットゼロカーボン認証の取得には、建物を運用するエネルギーを 100% 相殺するために、新しい再生可能エネルギーを使用することが条件となります。さらに、プロジェクトの建設に関連して発生したすべての二酸化炭素排出量は開示され、相殺される予定です。
Unity のリアルタイム 3D 開発プラットフォームにより、Zutari は、南アフリカにおける大規模太陽光発電プロジェクトの設計、作成、運用の方法を変えています。Zutari は、各太陽光パネルの太陽追尾と遮光を行うだけでなく、太陽光発電サイトの最適化、エネルギー出力を高めるために可能な限り多くのパネルを設置できるようにしています。これはすべて Unity の中で行われています。Zutari は Unity を使って、さらなる持続可能なエネルギー施設の計画も行っています。今後、どのような成果を上げていくのか楽しみです。
最近、Sitowise 社は Unity のリアルタイム 3D 開発プラットフォームを使うことで、フィンランドのオウル港のデジタルツインの制作を実現しました。このダイナミックでインタラクティブなデジタルツインは、都市における輸送と物流の流れが環境に与える影響を軽減するために活用されています。
DressX は、ファッション産業が生産する衣服の量が人類の必要量をはるかに超えていることを強く主張しています。DressX の示した解決策は、デジタルだけのファッションというものでした。Unity の XR 機能を利用することで、DressX は消費者にフレッシュなルックスを提供し続け、かつ地球への負担をより少なくすることを期待しています。
Lablaco による Circular Fashion Summit(循環型ファッションサミット:CFS)は、国際連合(UN)の 2030 年に向けた持続可能な開発目標を支持しています。持続可能な新しいファッションエコシステムへの移行を加速させるため、参加者はアート、デザイン、サイエンス、エンジニアリングを取り入れ、持続可能な解決策を共同で考えるよう奨励されました。このサミットは Unity で構築され、プログラムはすべて Lablaco のメタバースプラットフォームである Spin universe で開催されました。
フォトリアルな 3D レンダリングを実現した Unity の RestAR によって Deckers は環境フットプリント削減への道を歩んでいます。生産ライフサイクルの効率化により、物理的なサンプルが不要になり、輸送や移動の手間が省けるようになりました。この取り組みにより、Deckers は二酸化炭素排出量を削減し、より環境に優しい未来を目指します。
大きなイベントへ参加するとき、膨大なエネルギーが消費されます。Nature によると、対面式のイベントをバーチャルへ移行させることで、イベントによる二酸化炭素排出量を大幅に削減でき、またハイブリッド化への移行でもエネルギー使用量を 3 分の 2 に削減できることがわかりました。ここに Magnopus が持続可能性を向上させるチャンスがあるのです。たとえば、Magnopus による Expo 2020 Dubai の体験では、イベント参加者は移動の必要なく、ソファに腰かけたまま直接会場の素晴らしい展示を楽しむことができます。
自宅からイベントに参加する以上のことができたら。世界中の史跡や名所を訪れる(再訪する)ことができるとしたら。Emissive は、歴史を残し続けるために、没入感のある旅行体験を提供しています。この先もずっと史跡や名所を訪れ続けられるように、いま保存できるうちに保存を進めています。
人類の未来は、炭素汚染の大幅な削減およびその影響の中和を行い、気候変動の影響を軽減できるかにかかっています。多くの人が、気候危機に対処するための解決策がない、あるいは何から手をつければいいのかわからないことを心配しています。リアルタイム 3D を活用して持続可能な取り組みを行っているクリエイターのストーリーを紹介することで、ビジネス社会の各分野でより多くの行動を起こすきっかけになればと思います。持続可能性に関する取り組みを行っているクリエイターの方は、ぜひ、Unity for Humanity コミュニティに参加して、同じ志を持つ仲間とコラボレーションしてください。今こそ、より良い世界を育むために、互いに力を合わせましょう。