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イッツショータイム!映画的表現を追究するクリエイターのための新しいツールのご紹介

2021年5月18日 カテゴリ: Industry | 10 分 で読めます
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映画、テレビ、アニメーションのクリエイターにとって、物語を紡ぐことに特化したツールは必需品です。今回、映像クリエイターの方向けツールのオープンベータ版のご提供についてお知らせします。映画的表現を追究するアーティストにとって Unity をより楽に使えるものにし、かつより強力なものにするための最新のワークフローおよび機能についての情報をぜひお読みください。

ここ最近、Unity のユーザーは映画やテレビの分野でリアルタイムによる変革の先頭を行っています。『Dead Pixels』、Playland の『Fixi』、『Hero Dad』など、Unity を使ったリアルタイム 3D 開発が映画制作のプロセスをどれほど強力なものにするかが示されてきました。もちろん、Unity 社内のチームも横から見守っているだけではありませんでした。この過程のかたわらで物語を描くサンプルをいくつか制作してきました

Unity の R&D チームは、この重要かつクリエイターの数も増えてきている映像制作のセグメントをサポートするために、目を見張るような成果を挙げ続けています。本日、アーティストに焦点をあてた「Unity for Cinematics」のオープンベータ版をリリースしました。これは、クリエイターの皆さんにより効率的に製作を行っていただくためのツールです。

 

新しいシネマティックツールのご紹介

大まかに言えば、このベータ版では、「Cinematic Studio Sample」と「Cinematic Companion Apps」の 2 つが導入されています。

「Cinematic Studio Sample」は、その名前が示すように、サンプルプロジェクトです。Plip! Animation 社のクリエイターが制作した、『Mich-L』という短いカートゥーンが収録されています。このサンプルプロジェクトのすごいところは、映像コンテンツ制作時の Unity エディター内での体験を非常に心地よいものにするための機能を、新しいものも既存のものもまとめて紹介している点です。紹介されている機能は以下のとおりです。

  • タイムライン:映画的表現のバックボーン
  • Sequences:映画のエディトリアルコンテンツを、整っていて、協調的かつ柔軟なものにし続けるための新しいワークフローツール
  • Recorder:動画、静止画、AOV(レンダリング時に各要素ごとに分けた画像を出力する機能)などをキャプチャ、エクスポートするツール
  • Alembic:複雑なアニメーションの再生を最適化するためのファイル形式
  • FBX エクスポーター:DCC(デジタルコンテンツ制作ツール)を使ったコンテンツの洗練を可能にするワークフロー
  • Cinemachine:すべてのアクションをフレーミングして追跡するためのカメラシステム

Cinematic Studio Sample はまずアセットストアで提供が開始され、その後は Unity Hub への移行が計画されています。

2 つ目のグループは、2 つの Cinematic Companion Apps で構成されています。拡張現実(AR)対応の iPad および iPhone の機能を活用して、Unity 内のパフォーマンスをキャプチャする新しいツールです。

  • Unity Virtual Camera:モバイルデバイスを使用して Unity カメラを操作できるアプリ
  • Unity Face Capture:顔の表情をアニメーション化できるアプリ

どちらのツールセットも、業界に関わらず、すべてのストーリーテラーにとっての基本的なツールであり、かつ、あらゆるレベルのユーザー体験の基盤を成すものです。そのため、これらのツールはライセンスに関係なく、すべてのユーザーにリリースされます。 

Cinematic Companion Apps は TestFlight に登録していただくことで入手でき、今年の夏には Apple App Store で入手できるようになる予定です。

ここまでご紹介したすべてのツールにアクセスするには、こちらのページでオープンベータ版にサインアップしてください。

 

機能のハイライト

この記事では、私たちがサポートしている 4 つの主要な新しいワークフローに焦点を当てたいと思います。

  • Sequences
  • Recorder
  • Unity Virtual Camera
  • Unity Face Capture

Sequences

Unity が、ゲームをはじめとしたあらゆる種類のインタラクティブな体験を作成するための優れたツールであることは言うまでもありません。しかし、非常にインタラクティブであるため、複雑さもそれに応じて大きくなっています。インタラクティブなストーリーには、それだけ多くのタイムラインやトリガーが必要に応じて含まれることになります。このため、いつ何を起こす必要があるかを正確に表現するために、かなり複雑な記述を行うことが求められます。

リニアなストーリーの場合は事情が違います。すべてが予測可能な順序で起きるので、多くのプロセスを自動化して手順を省くことができます。また、プロジェクトを業界で標準的に使われる用語とフォルダー構造を使用して整理することができます。これが Sequences の行うことです。

下の動画で、Sequences を使うことで整理された柔軟性の高い環境を保ちつつ、映像制作をスピードアップさせられることをご確認ください。

 

Sequences の主な長所:

  • 数回クリックするだけでショットとシーケンスを作成できます。裏の複雑なしかけの部分はすべて自動的に処理されます。
  • 各シネマティック要素は、個別に編集可能なプレハブアセットであるため、並行作業しつつ競合を回避できます。
  • 同じプレハブワークフローにより、変更を非破壊的に試すことができます。 
  • Recorder の統合により、レンダリング出力が簡素化されます。
  • アセットを整理することで、タイムラインとプロジェクト構造も整頓されます。
  • タイムラインの「Scene Activation Track」を使用すると、ストーリーの進行に合わせてシーンのオンオフを切り替えることができます。

Recorder

皆さんは物語を作っているのでしょう。それは映画かアニメーションか、それともシネマティックか。そしておそらく、ある時点で誰かに見せたいと思うでしょう。その時こそ Recorder の出番です。タイムラインとゲームビューにあるものをエクスポートできます。静止画でも動画でも、また最終版の画像でも、コンポジットやエフェクト作業に使う中間生成物としての画像でも。さまざまな形式でコンテンツをエクスポートできます。また、Recorder は、ProRes や H.264 など、動画をリリースする時に最も望まれる頻度の高いフォーマットをサポートしているため、視聴者に楽しんでもらえる形で作品を送信できます。

下の動画では、Recorder が持つ数多くの優れた機能について詳しく説明しています。

Recorder の主な利点:

  • 動画のエクスポート(H.264、WebM、ProRes)
  • フレームのエクスポート(PNG、JPEG、EXR)
  • 累積モーションブラーのサポート(HD レンダーパイプライン(HDRP)のみ)
  • エフェクトおよびコンポジット作業用の AOV サポート
  • DCC で反復修正を行うためのアニメーションデータ(Anim、FBX、Alembic)のエクスポート
  • WAV オーディオのエクスポート

Unity Virtual Camera

Unity Virtual Camera は、Apple の ARKit を活用して、デバイスから送られる実世界での AR トラックモーションを使って Unity エディターでカメラの動きを制御する iOS アプリです。この機能を使用して、被写界深度、ズーム、モーションダンピングなどを直感的に制御できる、有機的なハンドヘルドスタイルでシーンを撮影できます。付属のテイクシステムを使用すると、タイムラインで直接作業したり、複数のテイクにわたってショットを作成したりすることもできます。たとえば、セカンドパスにフォーカスを合わせることができます。

Unity Virtual Camera は、TestFlight サインアップを通じてオープンベータ版として利用可能になります。システム要件:

  • ARKit をサポートする iPad または iPhone
  • オペレーティングシステム:Windows10 または macOS

Unity Virtual Camera の主な機能:

  • iOS デバイスを使用して、直感的で使い慣れたカメラコントロールを備えた Unity カメラを動かして照準を合わせます。
  • 低遅延の動画ストリームを介して、デバイスの画面で撮影しているものを正確に確認することができます。
  • 撮影したものを直接デバイスでプレビューできます。
  • 何度も撮影を重ねてショットを作成します。
  • 有益なヘッドアップディスプレイ(HUD)を介して、すべてのカメラ設定(センサーサイズ(ゲート)、被写界深度、焦点距離、ズームなど)を確認できます。
  • モーションスケーリングとダンピングを使用して、完璧なショットを取得します。

Unity Face Capture

フェイストラッキングは、最新のモバイルデバイスに搭載されている非常に便利な機能です。特に iOS の ARKit は、表情をキャプチャする上で非常に良いツールです。この情報をキャプチャしてキャラクターに適用すると、アニメーターが数十時間かけていた作業が数分に終わるようになる可能性があります。

Unity Face Capture を使用すると、Face ID 対応の iPhone または iPad を使用して、パフォーマンスをキャプチャ、プレビュー、記録し、モデルに紐づけることができます。映画やゲームへの応用先は非常に広く、アーティストの時間を大きく節約できると考えています。

Unity Face Capture は、TestFlight サインアップを通じてオープンベータ版として利用可能になります。システム要件:

Unity Face Capture の主な機能は次のとおりです。

  • ARKit を使用して、顔の表情と頭のポーズをキャプチャしてアニメーション化
  • リアルタイムでアニメーションを確認
  • キャラクター別のマッピングとオーバーライド
  • 記録されたアニメーションは、対応している任意のリグに適用可能
  • カスタマイズ可能な設定による、アニメーションの設定値の管理とブレの抑制

さあ、ショーを始めましょう!

これらの新しいリアルタイムアニメーションツールがユーザーの皆様の心に響くものであれば幸いです。冒頭で述べたように、クリエイターの皆さんはこれまでこの分野を先導してきました。いままた、映像的表現に取り組むクリエイターにとって Unity をより簡単かつ強力にするツールを提供することで、皆さんをサポートできることを嬉しく思います。 

ぜひご意見をお寄せください。Unity は本当に皆さんのアニメーションプロジェクトを成功させるのに最も役立つ機能に取り組んでいますか。この分野で皆さんのニーズに応えるために、今以上に何ができるでしょうか。この記事のコメント欄を通じて、ぜひご意見をお聞かせください。

ライト、カメラ、アクション!オープンベータ版にサインアップして、皆さんだけの素晴らしい作品の制作をはじめてください。月並みな台詞ではありますが...映画の中で会いましょう!

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