マーケティング担当者向けの Unity 製品ポートフォリオを利用することで、子供に優しい安全なオーディオ機器のグローバルリーダーである Onanoff は、同社のデジタルマーケティングと顧客体験をレベルアップしました。私たちは Onanoff、Visionaries 777 と提携し、既存のコンピュータ支援設計(CAD)データを活用して Onanoff のマーケティングコンテンツパイプラインを構築しました。これにより、どんな企業でも魅力的なパーソナライゼーション技術が利用できることが証明されました。
Onanoff は、Unity Forma と Forma Render を使ったリアルタイム 3D 技術を全面的に採用したことによる成果を享受しています。顧客向けのパーソナライゼーションにおけるデザイン能力が 400% 向上し、マーケティング素材の市場投入が 2.5 か月早くなりました。Onanoff は、最先端のリアルタイム 3D カスタマイゼーション技術を利用できるのは、業界の大手企業だけだという常識を覆しました。このブログでは、Onanoff が驚異的な成果を挙げるまでのプロセスを紹介します。この記事の続きを読み、その詳細に触れてください。
「Unity Forma は、小さな企業の敏捷さを保ったまま、大企業が持つような力を与えてくれます。」- Pétur Hannes Ólafsson 氏(Onanoff CEO)
Onanoff と Visionaries 777 の関係者が直接事情を語るウェビナーもチェックしてください。
Onanoff は従業員が 30 人に満たない小さな会社なので、同じ業界の大企業との競争に勝つためには、臨機応変な対応が求められます。競合他社が製品のカスタマイゼーションを提供しているのを見て、自社も同じようにやりたいと思ったのです。バイヤーにとって真の意味でカスタマイズされたサービスを提供するために、Onanoff は生産プロセスを見直す必要がありました。調査の結果、適切なツールがなければ、CAD からリアルタイム 3D へのワークフローを構築することは、複雑で、混乱を招き、コストがかかることがわかりました。
この調査結果を念頭に置いたうえで、Onanoff はまず競争力をつけるために、使いやすく、子供に優しいヘッドホン BuddyPhones のラインの見直しから入ることにしました。同社では、リアルタイム 3D 採用のために 3 つの目標を設定しました。
Onanoff は、まず同社の製品である BuddyPhones 向けにダイナミックな製品コンフィギュレーターを提供し、顧客に本当の意味でインタラクティブなオンラインショッピング体験を提供したいと考えていました。
Onanoff の場合、デザインプロセスはコンピューターグラフィックス(CG)のパイプラインに依存していましたが、これは製品を市場に送り出すための競争においては大きな欠点となります。アセットのレンダリングに最低 15 分、長いものだと 90 分以上(必要な複雑さと解像度によって異なる)かかるという大きな問題があります。デザインを繰り返すたびにアセットがレンダリングされるのを待つのは、本質的に非生産的な「無駄な時間」です。デザインに修正をかけるたびにさまざまなステークホルダーがレビューしますが、それができるのはレンダリングが終わってからです。
また、CG パイプラインには膨大なソフトウェアの専門知識と高い処理能力が必要です。これらの要因により、CG パイプラインは柔軟性に欠け、時間とコストがかかるものとなっています。
Onanoff には従来から CAD モデルが存在したので、Visionaries 777 は、Pixyz Plugin を使い、そのモデルデータを直接取り込みました。Pixyz Plugin は、約 40 種類の 3D および CAD フォーマットに対応しています。そのため、Onanoff は SolidWorks で作成された CAD モデルを作り直す必要はありませんでした。自動テッセレーションと UV 周りの機能を使って、Onanoff のモデルデータを最適化し、コンフィギュレーターを構築する準備をするのは簡単でした。
Onanoff が懸念したのは、CG パイプラインが出力する画像の忠実度では、同社の製品に使われている素材や生地を正確に表現できないということでした。顧客だけでなく、社内のデザインチームや開発プロセスの主要な関係者など、誰もが製品の真の姿を見たいと思っています。製作工程にレンダリング時間を加えることも避けるべきでしたし、試作品のコストも抑えるべきでした。
Visionaries 777 は、画像の忠実度を十分な水準にするためには、AI アシストアーティストリによって現実感の非常に高いマテリアルを作るツール Unity ArtEngine を使うのが最善の方法と考えました。Visionaries 777 は、素材のサンプルを Unity ArtEngine に読み込ませることで、リアルな質感やカラーバリエーションを簡単に作り出すことができました。これらは、Unity Forma に直接インポートして、コンフィギュレーターのビルドですぐに使用することができます。
Visionaries 777 は、素材の 2D テクスチャを現実に即した形で 3D 画像にマッピングする作業(いわゆる UV マッピング)が追加で必要になるかもしれないと考えていました。これは、製品の 3D モデルに重なるジオメトリのパーツが多い場合や、一部のデータがない場合(例えば、クッションのような柔らかいパーツで、CAD モデルに存在しない場合)には、珍しくないことです。
リアルな柔らかい素材のテクスチャ(UV マッピング)の作成には、サードパーティのツールが役立つことがあります。ここで、Autodesk Maya や 3ds Max などのサードパーティのデジタルコンテンツ制作(DCC)ソリューションと Unity の統合が重要になってきます。Visionaries 777 は、サードパーティ製のDCCツールを使って、テクスチャやマテリアルが最も映えるように3DオブジェクトのUVマッピングを微調整し、そのマテリアルをUnityに戻しました。
素材のテクスチャを ArtEngine と Unity Pro で加工し、カスタムの物理ベースレンダリング(PBR)マテリアルを簡単かつ迅速に作成することができました。こうして Visionaries 777 はマテリアルをコンフィギュレーターモデルに適用することができました。これにより、柔らかい素材が Onanoff のコンフィギュレーターモデルで正確に表現されるようになりました。
教育向けテクノロジーの市場は急速に成長しており、多くの教育プログラムでは、生徒 1 人に 1 台のスマートデバイスを持たせることを求めるようになっています。Onanoff では、顧客が自社のブランドカラーやロゴを使って製品をパーソナライズできるようにしています。同社としては、コンフィギュレーターの技術によって、提供するパーソナライゼーションのレベルを決定(または制限)したくないという思いがありました。
そのため、Onanoff のコンフィギュレーターは、何百もの顧客のさまざまなニーズに応える必要がありました。単純なパーソナライゼーションのレンダリングでさえ最大で 60 分もかかるため、従来の CG パイプラインを使っていたのでは効率が悪すぎて使い物になりませんでした。
Visionaries 777 としては、Onanoff のコンフィギュレーターで求める性能を実現するには Unity Forma を採用する他はないという考えでした。この製品には以下のような特長があるからです。
果たして Visionaries 777 は、数日で完全な製品コンフィギュレーターを稼働させるところまでこぎつけました。これも以前なら数週間はかかっていたであろう作業です。
Onanoff は世界 6 か国にチームを持っています。このチームの中で製品開発に関わるすべての人が進捗状況を把握し、プロセスに貢献できるようにする必要がありました。リモートワーク、時差、IT セキュリティの強化などの要因が、製品開発を妨げたり、発売の遅延につながったりすることは許されません。従来のプロトタイピングや CG パイプラインに頼っていたのでは、同社の要求を満たすことはできませんでした。
Unity Forma から Unity のクラウドストリーミングソリューション Furioos に直接デプロイすることで、Visionaries 777 と Onanoff は、インタラクティブな 3D 製品モデルをリアルタイムに動かせる環境をシェアすることができました。
このやり方は、時差やテクノロジーを越えてシェアを行いたいという要望に見事に対応しました。ソフトウェアのインストールや高性能なグラフィックカードは必要なく、チームメンバー全員がウェブブラウザーからライブコンフィギュレーターにアクセスできます。これで本当の意味でのコラボレーションが可能となり、チームは Furioos ストリーム上でデザインが修正を重ねて洗練していく様子を見ることができます。
競争の激しい市場では、製品をできるだけ早く市場に投入しなければならないという状況が常に存在します。しかし、製品を発表する際には、パッケージ、デジタル広告、印刷物など、営業活動を支援するマーケティング素材が必要です。最初の実物サンプルができる前に作られることが多いので、厳しい制作スケジュールであっても、マーケティング素材は新製品を正確に表現する必要があります。
製品を迅速に市場に投入する必要があった Onanoff にとって、Forma Renderは理想的な解決策となりました。Forma Render は、Unity Forma に同梱されている製品で、Unity Forma で既に構築されているリアルタイム 3D モデルから、高品質な 360 度視点の 2D 画像や動画を直接作成することができます。
Forma Render にはその他、以下の機能を備えています。
これにより、Onanoff は、製品のあらゆるバリエーションの画像を、あらゆるバーチャルカメラの角度から、さまざまな比率と解像度で作成することができるようになりました。これにより、プロトタイプ(または時間のかかる CG レンダリング)を待つ必要がなくなり、マーケティングコンテンツの制作が加速します。また、Unity ソフトウェアの精度の高さにより、Visionaries 777 のチームは、3D アセットのレタッチにかかる作業量が 90% 減少したと述べています。
Visionaries 777 の共同創業者である Frantz Lasorne 氏は、「Unity Forma によって、高品質、スケーラブル、かつインタラクティブなビジュアライゼーションを簡単に作成でき、顧客に魅力的なソリューションを提供できるようになりました。」と述べています。
競争の激しい分野で製品を市場に送り出すためには、製品開発とマーケティングのワークフローを大きく変える必要があると、Onanoff では考えられていました。同社は Visionaries 777 とのパートナーシップにより、これらの課題に取り組んでいます。Unity のソフトウェアの使いやすさと柔軟性をマーケティング体験に活用することで、Onanoff は顧客に本当の意味でのパーソナライゼーション体験を提供できるようになりました。
同社が設定した目標とはどんなものだったのでしょうか。それは以下のようなものです。
詳しいストーリーは、Onanoff と Visionaries 777 によるウェビナーをご覧ください。
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