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アートと魔法が出会う時:『Lost in Random』の幻想的な世界を作り上げる

2021年11月2日 カテゴリ: ゲーム | 13 分 で読めます
Lost in Random
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Zoink が開発し、Electronic Arts がパブリッシャーを務める『Lost in Random』は、すべての市民の運命がサイコロの目で決まるという、ゴシック調のおとぎ話のような世界を舞台にしたアクションアドベンチャーゲームです。2021 年 9 月に発売され、複数のプラットフォームにわたって絶大な支持を得たこのゲームは、ユニークなストップモーションの美学、さまざまな作品からエッセンスを取り入れたキャラクターデザイン、サイコロを使った刺激的なゲームプレイに特徴があります。

先日、『Lost in Random』と Zoink のチームを、Twitch の Creator Spotlight で紹介しました。見逃してしまった方は、下の動画がストリームの録画となっておりますので、ぜひご覧ください。

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「Random」王国は、危険と興奮に満ちあふれた、ダークな空気をまとうファンタジー世界です。『Lost in Random』を構成する環境アーティストの Leo Brynielsson 氏、クリエイティブディレクターの Olov Redmalm 氏、アートディレクターの Victor Becker 氏、3D アーティストの Juno Johan Holm 氏にインタビューを行い、開発プロセスや素晴らしいアートデザインについて深く掘り下げてみました。

あらゆるゲームがそうであるように、スタジオにもそれぞれその生い立ちのストーリーがあると思います。Zoink の初期の頃と、スタジオとしての成長について少し教えてください。

Redmalm:Zoink(現在は Thunderful Development グループに所属)は、常にアートとイノベーションを重視してきたスタジオで、未知なるものへの情熱を原動力に、ビジュアルとコンセプトの強いフックが仕込まれた新しいプロジェクトを始めています。私が初めて Zoink にジョインした 2016 年、私たちは EA Originals の最初のプロジェクトとなる『Fe』に関する契約にサインしたばかりで、これは『Flipping Death』と並行して進めたプロジェクトでした。 これらのゲームは、スタイル、雰囲気、トーンが全く異なりますが、ゲームデザインにおける探求心や、豪華で手作り感のある世界で素晴らしいストーリーを語ることへの憧れは共通しています。

この 2 つのゲームの後に、『Ghost Giant』という VR ゲームを制作しました。このゲームは、フレームレートを落とさずに、かなりリアルな段ボールやドールハウスの世界を描いた見栄えのするゲームを提供するという課題を通じて、私たちの力が試されたゲームでした。

私たちの次の冒険である『Lost in Random』では、より大きな予算が使え、さらに技術的制限は緩和されていました。そうすると、アート面でもいろいろ出来ることが増えて、それに圧倒されてしまったので、まずは砂の上に棒を立てるようなことから始めました。

キュートでカラフルな『Ghost Giant』の後なので、私たちは今度はダークで壮大なおとぎ話を作りたいと思いました。サイコロやカード、プレイングピースなどを使った巨大な卓上ゲームを軸とした設定、スタイル、ゲームプレイを伴うものです。私たちは、『Fe』のミステリーと、(Ryan North 氏の)『Flipping Death』の面白くてスマートなダイアログのライティング、そして『Ghost Giant』の深く感情的なストーリーテリングを組み合わせたいと思いました。

ハイパーリアルなゲームを作るのではなく、この新しく得た自由を使って、リアルなクレイアニメーションの世界を再現することにしました。これは、Klaus Lyngeled(CEO 兼クリエイティブ部門ヘッド)が長い間やりたいと思っていたものの、これまでできなかったことだと考えています。このビジョンをどのように実現したかについては、環境アーティストの Leo Brynielsson が説明してくれます。

Three eyed monster holding a dice in fantasy environment

アート、魔法、ファンタジーのすべてがぶつかり合う「Random」王国に飛び込みましょう。このゲームのアートスタイルについて少し教えてください。最終的な形になるまでに、どのようなことを考慮したのでしょうか。

Brynielsson:Lost in Random』のアート制作を始めたとき、自分たちのコンフォートゾーンを超えて、限界に挑戦したいと思いました。Zoink が前作までで培った雰囲気はそのままに、高品質なグラフィックで世界を作りたいと思いました。リアルなマテリアルやライティングを研究して再現することは、スタジオとしての新しい挑戦でした。

『Random』の世界は、粘土や木、段ボールといった素材で作られています。このクレイメーションを表現するためには、素材にリアリティを持たせる必要があります。Unity で再現するために、本物の粘土で物を作って、その挙動や見た目を近くで確認したりもしました。 

私たちのアートスタイルのもう 1 つの特徴は、誇張された形状言語です。『Random』の世界では、直線は 1 本も見つけることができません。建物は奇妙な形に曲がり、巨大なものもあれば小さなものもあります。アートディレクターの Victor Becker と私は、形や素材を対比させることの重要性を常に強調していました。また、スタイル化された見た目をさらに推し進めるために、クレイジーなカラーパレットを使って面白いコントラストを生み出していました。

Junyard Lost in Random

ビジュアルについて言えば、『Lost in Random』は非常にユニークな美学を描き出し、ゲーム性と相まって、完全な没入感を生み出しています。このビジョンを実現するために、技術的にどのような配慮が必要だったのか、あるいは妥協しなければならなかったのでしょうか。アートスタイルとパフォーマンスのバランスをとるのは難しかったですか?

Brynielsson:私たちは細部までこだわって世界を作り込み、しかもそれをスムーズに動かすことは難しいと当初から考えていました。環境面では、初期段階からパフォーマンスを考慮することが非常に重要で、これはアセットやマテリアルを作成する際のワークフローを考える際に常に意識していることです。

そこで私たちは、同じマテリアルを使ったアセットを集めてキット化し、モジュール化するアプローチを取ることにしました。たとえば、いくつかのブロックやパーツを 3D ソフトで組み立てて、家や橋などを作るためのクレイアセットのキットを作りました。

これにより、基本的なパーツをさまざまな方法で組み合わせるだけで、無限にアセットを作ることができるようになりました。また、私たちのアートスタイルにも適していて、まるでパッチワークのような手作り感のある世界にしたかったのです。

Kit pieces made of steel
左側がキットのパーツ、右側が同じキットで組み立てたアセットの例

このワークフローでは、見た目の美しさだけでなく、個別のスカルプトアセットを多数作成する場合に比べて使用するマテリアルが少なくて済むため、パフォーマンスも向上しました。これにより、テクスチャメモリの使用量が減り、画面上でのドローコールも減りました。大規模なアセットのほとんどは、同じマテリアルを共有したままマージすることができたからです。

この手法の欠点は、大きなオブジェクトを小さなピースでパッチする場合、ポリゴン数がかなり大きくなることです。これを解決するために、プレイエリアから離れた場所にあるオブジェクトのために、高度に最適化された代替アセットを作成しました。

開発の初期段階では、HD レンダーパイプライン(HDRP) を使用してビジュアルを徹底的に追求し、リアルなライティングやボリューメトリックフォグなどを活用しました。しかし、ゲームをすべてのプラットフォームでスムーズに動作させる必要があるのに、HDRP はハイエンド PC やコンソール機に重点を置いているため、このアプローチでは最終的にうまくいかないと考えたのです。

私たちは(最終的に)、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)に切り替えることにしました。これは大変な決断でしたが、必要なことでした。実際、最初に HDRP を採用してよかったと思っています。HDRP で作ったビジュアルを、ゲームを URP を使って作る時のビジュアル面でのベンチマークにできたためです。そのため、ボリュームフォグやデカール、平面反射などの実装のように、独自のソリューションを考えたり、利用可能なアセットを使ったりと、URP を最大限に活用するために多くの労力を費やしました。

環境アーティストにとって、アートの美麗さとパフォーマンスとの戦いは常にあります。『Lost in Random』の制作では、この分野の課題に数多く直面しました。ゲームの多くの部分を再考して作り直し、最高のパフォーマンスを維持しながら可能な限り美しい外観を保つようにしなければなりませんでした。

パフォーマンス周りに制限があるのは少し不満ですが、どんなプラットフォームでも完璧に動作する美しいものを作ることができたときは、とても満足感があります。

ゲーム開発には隠れた落とし穴がたくさんあります。グラフィックやライティングに関する予想外の課題があった場合、それをどのように克服したのか教えてください。

Brynielsson:大都市を舞台にした、暗い雰囲気のゲームを作る際の大きな課題の 1 つが、ライティングです。プレイヤーを誘導し、ゲームの暗い部分を照らすために、多くのスポットライトを使うという解決法に依存していました。

ランタンやトーチで世界を彩るのは、芸術的には楽しいことですが、やはりパフォーマンスとのバランスを考えて、ライトの数は最小限に抑えるようにしました。ある時、ライトベイクという方法を試してみました。この方法では、ライトをテクスチャーにベイクし、それをステージ内のオブジェクトの別の UV テクスチャーに適用します。この方法の欠点は、多くのメモリを必要とすることと、オブジェクトのスペキュラーハイライトをベイクできないことです。私たちのテクスチャーのスタイルは、粘土や金属、ぬるぬるした生物などの粗さやスペキュラーハイライトに依存しているため、これは問題でした。また、非常に大きなステージでこれを行うと、ライティングのベイクに時間がかかり、メモリへの影響が大きくなるという問題もあります。そこで私たちは、完全に動的なアプローチを取ることにしました。私たちは、それに伴うパフォーマンスの問題を修正するために、いくつかのソリューションを用意していました。

1. 独自のライトカリングシステムを導入したそれぞれのライトに、光が消える距離を表すパラメーターと、光の強度が最大になるタイミングを指定するパラメーターの 2 つのパラメーターを持たせました。このシステムでは、どのライトを有効にするかを手動で制御することができ、そのため同時にアクティブになるライトの数を大幅に減らすことができました。

2. 環境アセットのシャドウをデフォルトですべてオフにし、必要なものだけを有効にした可能な限り、実際のオブジェクトにシャドウを作らせるのではなく、シャドウプロキシ(影が落ちているように見せるための簡略化されたメッシュ)を使用しました。今回は、シンプルなキューブを使用しました。

 

3. 処理能力の乏しいプラットフォームでは、太陽光以外のすべてのライトのシャドウをオフにしたこれを補うために、メインキャラクターの下に古典的なブロブによるシャドウを実装しました。

4. キャラクターのシャドウもその多くを無効にしたこれは、多くのキャラクターがステージの陰になる部分(または暗い部分)に立っていて、アクションの多いシーンでしか使われないものもあったために使えた手段でした。たとえば一部の敵キャラなど、注目を集める部分は他にもたくさんあるわけです。ですので、大局的にはほとんど気になることはありません。

技術的な話から芸術的な話に移りますが、ゲームの芸術的な理念をどのように確立し、維持していったかを説明してください。

Redmalm:Lost in Random』のビッグバンは、巨大なボードゲームの中を歩く少女と仲間のサイコロの絵を見つけた時に起きました。そこから『Random』の文化、歴史、信念体系、そしてゲームプレイが生まれました。このテーマは、私たちにとって非常に刺激的なもので、そこからゲームのすべての要素が自然に発展し、絡み合っていきました。次はアートディレクターの Victor Becker にお渡しします。何かありますか。

Becker:そうですね、だいぶ簡潔にまとめてくれたので、私はもうちょっと詳しく説明してみたいと思います。膨大な量の絵を描き、多くのアイデアを出し合った結果、『Random』の世界のリファレンスポイントとなるような重要なオブジェクトがいくつか見つかりました。例えば「Two-Town」に出てくる家は、その後のワークフローや作品の道筋を作ってくれました。

Leo が言っていたように、私たちは基礎となるマテリアル、私たちがキットと呼んでいるものの確立にも多くの時間を費やしました。それは、金属、木、粘土などで構成されています。それを様々な形や物に適用していくのです。これにより、アートスタイルを維持することができました。もう 1 つのツールであるキーワードも活用しました。例えば、「flow」「contrast」「wonky」などの言葉です。

最後に、オブジェクトやキャラクターをそれぞれの場所に描き込むのが一般的です。3D で作られたものは、必ず早い段階でエンジン内でテストを行い、形状やマテリアル、スケールなどの改善点を明確にしていきます。

このゲームのキャラクターデザインには、ティム・バートンの作品に見られるような妖しげな雰囲気があります。どのようなものからキャラクターのインスピレーションを得たのですか?好きなキャラクターは誰ですか?その理由は?

Becker:私たちが目指したのは、非常に表情豊かで、不気味さと可愛らしさを同時に兼ね備えたキャラクターです。どのキャラクターからもちょっと「ズレてる」と感じられるものにしたかったのです。そのために、手彫りのような雰囲気や絵画的な表現を追求しました。これが、非常に独特な形でキャラクターに命を吹き込む結果となったと思います。Laika Studios の作品や、後にチームに参加することになる Borislav からもインスピレーションを得ました。欧米のカートゥーンや日本のアニメも、力強い表現を作る上で刺激になりました。

私の好きなキャラクターは Nanny です。彼女はまさに、「すべてを見てきた、でたらめなもの」の具現化と言えるでしょう。彼女は、どんな状況でも常に Queen を気遣い、そして残忍で忠実な使用人であり続けています。それは、愛ゆえに、です。

The Nanny concept art
Victor Becker 氏による Nanny のコンセプトアート

Redmalm:不屈の女王陛下のことをおっしゃるとは、面白いですね!彼女は私の大好きなキャラクターです。ダーククリスタルで作られたドレス、威圧感のある肩幅、フクロウのような顔など、ゲーム中で最も印象的なキャラクターであり、最もデザインに力を入れたキャラクターであることは間違いありません。この意見は私だけのものではありません。Kotaku は、彼女をオルチーナ・ドミトレスクと対比させて語った記事を書いてくれました。

The Queen concept art
Victor Becker 氏による Queen のコンセプトアート

ゲームのアートやスタイルに、Zoink のスタイルや個性をどのように注入していったのでしょうか。

Brynielsson:Zoink らしさを残すことは、私たちにとって重要なことでした。私は『Ghost Giant』や『Flipping Death』などのゲームに携わり、私は『Lost In Random』の仕事をする時もこれらの作品から強い影響を受けました。『Ghost Giant』では、パッチワークのような高度な作り込みがなされていて、まさに Zoink らしさを感じさせます。この作り込まれた世界の感覚は、『Lost In Random』でも取り入れたいと思っていました。簡単に言えば、Zoink らしい要素はそのままに、よりリアルなライティングやマテリアルなどのスパイスを加えたものにしたかったのです。

Redmalm:ハイパーリアリズム的な表現をできるからといって、すぐにハイパーリアリズムにしてしまわないスタジオで仕事をするのはとても楽しいです。私たちはいつも、「でも、これのどこが新しいんだろう?これを見た誰かに『ああ、これはあの ダイスゲームだ』と思わせるにはどうしたらいいのだろう?」と自問しています。私たちは常に既成概念にとらわれず、パンケーキが焼き上がったと思っても、念のためもう一度ひっくり返すことはないかというくらいに念入りに制作を進めます。私たちのスタジオは Thunderful Development に参加していますが(Image & Form や他のいくつかのスタジオと一緒に)、Zoink の理念を守るために活動しています。

Becker:Leo と Olov の 2 人に全面的に同意します。そして、こうした姿勢があるからこそ、私たちはこの会社に集まってきたのだと固く信じています。私は『Random』のアートに Zoink の魂を十分に込めたかったので、Olov や Klaus のスタイルを真似て、なぜ Zoink は Zoink なのかを理解するのにかなりの時間を費やしました。つまり、このアイデアは思いっきり Zoink なので、Zoink 任せに思いっきり Zoink らしくしてみました、ということです!

差し支えなければ、アートアセットの設定の最適化につながるパフォーマンス関連のヒントを教えてもらえませんか?

Brynielsson:望ましいビジュアル結果を維持しつつ、ポリゴン数をできるだけ低く抑えるようにします。これをすべてのアセットに対して、そのアセットが完成するまで行います。これを後から、何百ものアセットがすでにゲームに入っている状態でやると、大変な作業になります。

背景とプレイエリアに同じアセットを使わないようにしましょう。背景アセットは、常に遠くのところで見えているアセットなので、同レベルのディテールは必要ありません。背景には非常にシンプルなアセットを使用ましょう。ビルボードで十分な場合もあります。背景が実際の 3D アセットときれいに調和するように、バックドロップではディテールをかなり描き込みました。

次に、不要なシャドウをオフにします。通常、ステージの陰になっている部分にはたくさんのメッシュがあります。それらのメッシュには、シャドウキャスターがあってもなくても視覚的な違いはないので、シャドウキャスターは必要ありません。ちょっと時間を取って、それらをオフにします。

シャドウを必要とする非常に複雑なメッシュがある場合、シャドウのために簡略化されたバージョンのメッシュを別に作成する価値がある場合もあります。特に、何度も使用するものであればなおさらです。

ステージの構築やアセットの準備をする時は、できるだけモジュール化するようにしましょう。さまざまな使い方ができ、何度でも複製できるアセットに注目しましょう。これにより、エンジンは同じドローコールで多くのアセットをインスタンス化することができます。たとえば、スクリーンビューに 4 つの重複したメッシュがある場合、実行時にこれらのメッシュを1つのメッシュとしてバッチ処理することで、全体のレンダリングを高速化することができます。

Holm:ビジュアルの美麗さを損なわずに、テクスチャサイズをかなり小さくできることに気づきました。鮮明な反射を得るために法線マップは 100% のサイズのままにしていますが、ベースカラーのマップのサイズは 50% 程度に下げ、ラフネスとオクルージョンについてはマップのサイズを 25% 程度にしています。 

つまり、あるオブジェクトの法線マップが 2048x2048 だった場合、他のマップは 1024、512、256 に下げることができるのです。ディテールの劣化が気になるところまでサイズを下げていきました。 

ベースカラーのマップがそんなにディテールまで描き込んでいない場合は、かなりサイズを下げても違和感はないでしょう。場合によっては、さらに低い解像度のテクスチャを使うことも可能です。

いつもどのようなワークフローでアセットの制作やフォーマット化を行っていますか?

Brynielsson:アセットによります。一般的な環境アセットの場合は、まず仮アセットでステージの一部のブロックアウトを作り、私たちの求めている形状言語を探します。ステージに応じて、どのようアセットが必要かを考える時も同じようにします。

その後、ブロックアウトに使ったシェイプから基本的なコンセプトを描き、最終的なスカルプト制作に入ります。反復しながら修正を重ねていくプロセスなので、完成するまで何度も何度も繰り返すのが普通です。アセットを使う場面を想定して、他のものと一緒に使えるようにすることが大切です。また、あるアセットに取り組む前には、次のような質問を自分に投げかけます。「今ある素材で作ることはできないか。」「このアセットを本来の目的以外に利用することができるだろうか。」

自分の持っているものを賢く使うということです。単純なプロップを 1 から作る必要はなく、さまざまな使い方ができるアセットやキットの土台があれば、それを使うことができる場合が多いです。たとえば、スカルプトには ZBrush、テクスチャーには Substance Painter を使用しています。

concept art
Leo Brynielsson 氏による「Diceyard」のコンセプトアート
Diceyard
「Diceyard」ステージのスクリーンショット

また、ゲームのビジュアルを向上させるためのヒントやコツ、ツールなどがあれば、ぜひ教えてください。

Brynielsson:個々のディテールにこだわらないこと。それから、全体像を把握してすべてがうまくいくようにすること、ですね。ディテールを少なくした方が良い部分もあれば、プレイヤーの目線を引きつけるようなディテールが必要な部分もあります。ビジュアルは、必ず実際に使用される場面でテストしてください。これはいつも、何度も反復して修正を重ねていくプロセスになります。うまくいかない場合は恐れずに捨ててしまいましょう。

さらに、ステージの背景も適当に済ませてはいけません。全体の見た目に大きな役割を果たすとともに、プレイヤーを導くためのビーコンとしても機能します。

Lost in Random

Lost in Random』には霧が描かれている場面が非常に多くありますが、この霧を利用してシルエットを浮かび上がらせ、より面白いカラーパレットを作りました。 

より霧を活かした表現とするために、「Fog Plane」と呼ばれるシェーダーを作りました。これは基本的には、フェイクの霧を付けたメッシュの平面です。ステージの深度を考慮していて、またメッシュの端で見えなくなるので、3D フォグのように見えます。平面に近づくと、ゆっくりと消えていきます。さまざまな使い方ができますが、主にステージに色をつけたり、ステージとステージをつなぐ通路を目立たせるために使用しました。

作品の話から離れますが、レベルデザインについて何か明かしても構わない戦略があれば教えてください。

Brynielsson:私にとっては、ステージが美しいことも重要ですが、プレイエリアの探索が面白く(プレイヤーが)どこに行けばいいのかわかることも同じくらい重要です。私がステージのアートを作るときに心がけているのは、この点です。視線を誘導するために形やシルエットを曲げたり、霧を追加してステージとステージをつなぐ通路を浮かび上がらせたり、特定の場所にライトを追加したりといったことです。また、ヒーロープロップや目立つ要素をどこに入れるか、ということも意識しています。 

あるエリアは緑、別のエリアは赤というように、色を使ってエリアを区別するのはとても有効な方法です。これは、異なるエリアを行ったり来たりしなければならないような、広くてオープンなステージでは特に重要です。いろいろな仕掛けがありますが、何が上手くいくのかは、他のプレイヤーに遊んでもらって試してみないとわかりません。

Redmalm:他の境界的な分野の仕事をする時のように、アーティストと密に連携して、自分たちのビジョンを明確にするために使えるアートの技術は何か、自分たちに足りないものを作るために、アーティストたちはそれを使うことは出来るかを考えます。自分の作ったステージを遊んでみて、それぞれのアクティビティをどれくらいの頻度や時間で行うかを想像してみてください。グレーボックス段階の Two-Town の道を歩き、まだそこにいないキャラクターに話しかけるふりをして、最終到達地点では、そこにいるかもしれない敵に戦いに挑むのです。

紙に書き出すのはもちろん有効な手段ですが、最終形のステージを想像しつつ通しで遊んでみたり、少なくともロールプレイしてみたりすることをできるだけ早く行うことで、そのステージのイメージを固めることが容易になるでしょう。

『Lost in Random』の制作を通じて学んだことの中から、最後にコミュニティに伝えておきたいことはありますか?

Redmalm:アートについてもゲームデザインについても、恐れずにリスクを取りましょう。真っ白なキャンバスに向かって、オープンな、初心者になったような気持ちで向かうのです。プレイヤーは、新しいストーリー、それを語るための新しいキャラクター、そしてそれを語るための新しい環境を渇望しています。なぜこのキャラクターをこのように描くのか、どうすればもっと面白くなるのか、自分のインスピレーションや意図を再確認してみましょう。スタイルやストーリーテリングの面ですでにあるものは何か、また、他の人がすでに作ったものをベースにしつつ、そこに新しいものをもたらすにはどうしたらいいのか。

変なアイデアを持ってきて、みんなが眉をひそめたとしても、すぐにそのアイデアを放棄してはいけません。そのアイデアを推し続けること、試し続けること、ピッチを打ち続けること。私たちがそうしていなければ、(手と足が付いた一つ目の)生きるサイコロなど、この世に存在していなかったでしょうから!

Concept art
Victor Becker 氏によるコンセプトアート

Lost in Random』の制作過程を深堀りした今回の記事をお楽しみいただけましたなら幸いです。ゲーム本編を今すぐチェックしに行きましょう。

それでは、このハロウィーンミュージカルを皆さんにご案内したところでお別れです。またどこかでお会いできることを楽しみにしています。きっとお会いできると信じています。

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このゲームを作ったクリエイターたちのアートワークをもっと見たいという方は、彼らの Instagram ページをご覧ください。

2021年11月2日 カテゴリ: ゲーム | 13 分 で読めます

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