毎日、何百万人ものプレイヤーがログインし、世界中の友人や見知らぬ人たちとつながり、大好きなゲームを楽しんでいます。ゲーム内のマルチプレイヤーコミュニティは、ゲーム業界において非常に重要な役割を果たしており、プレイヤーを惹きつけてやみません。しかし、その体験が不愉快なものになってしまったらどうなるでしょうか。
他人を傷つけるような振る舞いや悪質なプレイヤーは、プレイヤーベースを傷つけ、ゲームが成功する上で悪影響を与えます。スタジオの評判を落とす可能性すらあります。幸い、こうした状況には対処することができます。それにはまず、プレイヤーのコミュニティでなぜそのような態度が生まれているかを理解する必要があります。
Unity の目標の 1 つは、オンラインゲーム内の迷惑行為を抑制し、ポジティブで魅力的なコミュニティを促進するためのソリューションをクリエイターに提供することです。そこで私たちは、The Harris Poll にマルチプレイヤーゲームにおける有害行為についての新たな知見をまとめることを依頼しました。
OTO Systems が当社の Unity ファミリーに加わることを発表したことと合わせて、これらの知見をまとめることは、マルチプレイヤー体験を誰もが楽しめるものにするという当社の取り組みの一環です。
Unity の 2021 ゲーミングレポートによると、ゲームをプレイする人の数は何十年にもわたって増え続けていますが、COVID-19 によるパンデミックにおいて、HD ゲームをプレイする人の数が 38% も増加しました。
この成長の一因は、間違いなくマルチプレイヤーゲームの急激な増加にあります。マルチプレイヤーゲームは、世界中の友人や見知らぬ人を結びつけ、他のメディアでは得られない忘れられない社会的体験をもたらします。
しかし、今回の調査ではゲーマー(過去 1 年間にマルチプレイヤーゲームをプレイした人)の 68% が、COVID-19 によるパンデミックの最中にゲーマーの間での有害行為が急増したと感じていると回答し、またゲーマーの大多数(74%)がそうした行為を目撃したり、自らがその対象になったりしていることがわかりました。これは、昨年より多くの人がマルチプレイヤーゲームをプレイするようになったことが要因と考えられます。
1. マルチプレイヤーゲーマーの 4 分の 3 近く(72%)が、マルチプレイヤーゲームのプレイ中に他人に対する有害行為を目撃したことがあり、3 分の 2 以上(68%)が自分がその対象になったことがある
マルチプレイヤーゲーマーの約 4 分の 3 が他のプレイヤーに対する迷惑行為を目撃し、3 分の 2 以上が自分自身がその対象になったことがあることから、他人に有害行為をするゲーマーが大多数のプレイヤーの体験を阻害していることは明らかです。有害行為を目撃した人の報告によると、そのような行為は暴言(58%)やプレイ中の煽り行為や妨害行為 (53%)など、さまざまな形を取って現れます。
また、他のプレイヤーとコミュニケーションを取るゲーマー(マルチプレイヤーゲーマーの 78%)は、他のプレイヤーとコミュニケーションを取らないゲーマーに比べて、他人や自分自身に対する有害行為を目撃したことがある割合が高い(コミュニケーションを取らないゲーマーの 35% に対して、取るゲーマーの 86%)ことも注目すべき点でしょう。ゲーム内のコミュニケーション技術は、プレイヤーが楽しみながら協力し合うためのものですが、このような迷惑行為があると、ゲーム体験は台無しになってしまいます。
興味深いことに、迷惑行為の問題は、モバイル(66%)よりも、コンソール(79%)や PC(76%)のゲームをプレイする人に影響を与える割合が高いようです。しかし、モバイルプレイヤーの 3 分の 2 以上が悪質な振る舞いを報告していることから、迷惑行為を取るプレイヤーのいないプラットフォームというのはどうやら存在しないようです。
2. 半数以上(53%)のプレイヤーがゲームプレイ中に「時々有害行為を目撃する」と回答しており、また 22% は「頻繁に、または毎回目撃する」と回答している
10 年以上のゲームを遊んでいて一度だけ他のプレイヤーの有害行為を目撃することと、ほぼ毎回プレイするたびに有害行為を目撃することとはまったく違う話です。さらに、21% のプレイヤーが、毎回あるいは頻繁にそのような行為をされた経験があるという事実を考えると、有害行為がすべての人のオンラインゲーム体験を台無しにする可能性があることがわかります。
プレイヤーの 4 分の 1 近くが、プレイするたびに迷惑行為を経験しているとしたら、プレイヤーのエンゲージメントや、ゲーム全体の楽しさ、プレイしやすさに大きな影響を与えることになります。
3. 有害行為を目撃または経験したことがある人のうち、有害行為を目撃または経験したゲームジャンルは、シューター(61%)、バトルロイヤル(35%)、格闘ゲーム(21%)が上位を占めている
では、有害行為を行うゲーマーたちはどこに集まってくるのでしょうか。意外かもしれませんが、シューターやバトルロイヤル、格闘ゲームが最大のターゲットになっているようです。昔から言われていることですが、「1 つの腐ったリンゴが全体をダメにする」というのは本当です。対人の環境で態度の悪い人とプレイすると、チーム全体が不幸になってしまいます。
有害行為を目にしたことがある人、もしくは自分が対象になったことがあると回答した人に、有害行為のあったジャンルについて回答してもらった結果の内訳は以下の通りです。
*このランキングで下位に位置するゲームは、調査への回答者がそれらのジャンルのゲームをあまりプレイしないことが原因である可能性にご注意ください。
有害行為は、あらゆるプラットフォームやジャンルで起こっていますが、他のプレイヤーはどのように反応しているのでしょうか。
マルチプレイヤーゲームを遊ぶ人の大多数(67%)は、他のプレイヤーが有害行為をしていた場合、そのマルチプレイヤーゲームのプレイをやめる可能性が高いと答え、3 分の 1 以上(34%)は非常に高い確率でそうするだろうと答えています。つまり、有害行為を取るプレイヤーがいると、収益機会を失うだけでなく、アクティブプレイヤーの数も減ってしまう危険性があるのです。
ゲームプレイ中に有害行為を目撃したり、実際にそのような行為の対象となったりしたマルチプレイヤーゲームのプレイヤーが、それに対処するためにどのような行動を取ったかの内訳は以下の通りです。
大多数のゲーマーはゲームプレイ中に迷惑行為を目撃していますが、有害行為に対処するために何かをした人のうち、その対処のための行動がゲーム内の報告機能を使って報告を行うという人は 24% に過ぎません。つまり、ゲーム内から上がってくる報告はゲームの中で起きている有害行為の全体像を示していない可能性があるのです。
マルチプレイヤーゲームのプレイ中に有害行為を目撃したり経験したりした人の 18% は、その出来事を記録してソーシャルメディアで公開したことがあり、うち 10% の人は有害行為に対処するために最もよく選ぶ対応がこれだということです。ゲーム内でチームメイトを怒鳴りつける動画が拡散されてしまうと、ゲームやゲームの運営元の評判が下がり、プレイヤーベースの維持(および成長)に支障が生じます。
残念なことに、有害行為に対処するために何かをしたことがあるマルチプレイヤーゲームのプレイヤーのうち、マルチプレイヤーゲームをプレイしている時に有害行為に対処する方法として、プレイを止めたり、ゲームから完全に離れたりすることが多いと答えたのは、男性よりも女性の方が多かったということです(男性 18% に対し女性 30%)。一方、男性は女性に比べて、ゲーム内の報告機能を利用すること(女性 20% に対し男性 28%)や、有害行為に遭遇した場面を録画して SNS に投稿することが多い(女性 5% に対し男性 13%)という結果になりました。男性は迷惑行為に対してより直接的に対処する傾向がありますが、女性はそうする代わりにゲームから(場合によっては永久に)離れることが多いようです。
さらに、45 歳以上のゲーマーは、18 ~ 44 歳のゲーマーよりも、有害行為に遭遇したときにプレイをやめることが多いと回答する割合が高くなりました(18 ~ 44 歳 19% に対し 45 歳以上 34%)。
年齢、性別、人種、宗派を問わず、安全で快適な環境を作ることは、優れたマルチプレイヤー体験を提供することを目指すスタジオにとって最優先事項です。これらの問題に対処すること、そしてそうした対処が個別のプレイヤーにどのような影響を与えるかは、2021 年以降に開発に取り組む人々にとって大きな焦点となるはずです。
ゲーム内で有害行為が横行し、またそうした行動に遭遇したゲーマーに被害を与えている状況で、こうした行為に対処するために何ができるでしょうか。プレイヤーに聞いてみたところ、ゲームのオンラインコミュニティをより健全なものにするためには、いくつかの重要なポイントがあることがわかりました。
1. 成長するゲームは有害行為を解決する必要がある
HD マルチプレイヤーゲームのボリュームは、2020 年に 38% 以上伸びており、ゲーマーの 3 分の 2 以上(68%)が、このボリュームの拡大と、COVID-19 によるパンデミック下でゲーマーの間で有害行為が急増した時期が重なったと考えています。
隔離期間中に人々が新たな社会的交流を得る場所を探していたため、2020 年にゲームが急成長したことが、ゲーム内の迷惑行為の急増につながった可能性があります。人気のあるゲームであればあるほど、開発者は、プレイヤーの体験やスタジオの評判を台無しにする前に、コミュニティの有害行為に対処する必要があることは間違いありません。
2. ゲーム開発者にとって、有害行為からプレイヤーを守ることは優先事項とされるべきである
マルチプレイヤーゲームのプレイヤーの 4 分の 3 以上(以下の 2 つの項目に対してそれぞれ 77 %)は、a)ゲームの開発元および運営元が迷惑行為の解決に注力することを望んでおり、また、b)有害行為からプレイヤーを守ることを開発者の優先事項とすべきで、より安全なオンラインゲーム環境を作るためには有害行為を減らすためのソリューションの強化が必要である、と答えています。
特に、女性のゲーマーと年配のゲーマーは、このようなネガティブな体験からゲーマーを守ることの重要性を強く訴えています。女性は男性よりも「有害行為からプレイヤーを守ることをゲーム開発者の優先事項とすべきである」という意見に同意する割合が高く(男性 74% に対し女性 82%)、また 45 歳以上のゲーマーは 18 ~ 44 歳のゲーマーよりもこの意見に同意する割合が高くなっています(18 ~ 44 歳 74% に対し 45 歳以上 85%)。
この問題は開発者の手には負えないと思うかもしれませんが、しかしプレイヤーは、コミュニティ内で起こっている有害行為は、開発者が対処すべき問題だと考えています。コミュニティの安全を守る技術の開発とゲームへの実装は、強いオンラインコミュニティを促進し、成長を促すためにも、その優先順位を高くするべきです。
具体的には、プレイヤーからの報告を促す新たな方法を見つけ、ネガティブなプレイヤーがいることの影響を再検討し、迷惑行為を予測、検出、抑制するためのより迅速で効果的な方法を導入するためのソリューションを研究すること、となります。
3. ゲーマーは、有害行為を減らすためには、相応の制裁が導入され、それが実施されるべきだと考えている
ほぼすべてのゲーマー(92%)が、マルチプレイヤーゲームにおける有害行為を減らすための解決策が導入され、それが実施されるべきだと考えています。
マルチプレイヤーゲーマーが実施すべきと考える解決策のトップは、「有害行為を取った場合、そのプレイヤーのプレイを一定期間停止する」(44%)で、次いで「有害行為を取った場合、そのプレイヤーをゲームから排除する」(42%)、「そのプレイヤーのゲームへの参加を禁止する」(42%)となっています。
ネガティブな行動を取るプレイヤーに対する制裁は以下の通りです。
これらはコミュニティを守るため、迷惑行為に対して取られる制裁の一例です。しかし、そのためには、有害行為を目撃したプレイヤーからの報告を増やす(プレイヤーに責任を負わせる)か、何かスマートなソリューションを導入して、そのような行為を取るプレイヤーを特定するか(開発者がもっとコントロールできるようにする)のどちらかが必要です。
マルチプレイヤーゲームの人気がますます高まっている中で、有害行為を放置することは許されません。マルチプレイヤーゲーマー 10 人あたり 7 人(68%)が、2020 年以降に有害行為が急増したと感じています。これはオンラインゲームコミュニティにとって深刻な脅威となるとともに、COVID-19 によるパンデミックですでに危機にさらされているプレイヤーの精神的健康にも大きな影響を与えます。
開発者は、有害行為を取るプレイヤーの態度に対抗するためのスマートなソリューションを必要としています。今回示した知見に触れることは、ゲームにおける迷惑行為の問題を理解し、それに対処できるようになるための最初の一歩にすぎません。ぜひ調査結果の報告書(英語)の全文をお読みください。
ゲーム内での有害行為に関する問題に対する Unity 取り組みに興味がある方へ。OTO が Unity ファミリーに参加したことを伝える記事(日本語のプレスリリースはこちら)もぜひお読みください。私たちは OTO と協力し、開発者の方々がゲームのために健全なコミュニティを構築できるよう努力を重ねてまいります。
The Harris Poll の調査方法
今回の The Harris Poll による調査は、Unity の委託を受けた The Harris Poll が 2021 年 6 月 21 日から 23 日にかけて、米国内の 18 歳以上の成人 2,076 人を対象にオンラインで実施したもので、対象者のうち 1,167 人がマルチプレイヤーゲームをプレイしている(過去 1 年間にマルチプレイヤーゲームをプレイしたことがある)と回答しました。