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新しいモバイル向け Runner Game テンプレートを使ったラピッドプロトタイピング

2022年11月14日 カテゴリ: ゲーム | 10 分 で読めます
Rapid prototyping with new mobile Runner game template | Hero image
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Unity は最近、Unity Hub で新しく Runner Game テンプレートをリリースしました。テンプレートに対するこのような革新的なアプローチにより、すぐに公開可能なモバイルゲームのプロトタイピングや開発を支援することをねらっています。このブログでは、このテンプレートがどのように作られたかについて、このテンプレートに携わった開発者である Steven Sauer、Steve Pastro、Mehdi Hasheminia から聞いた内容をまとめました。

私たち 3 人はインディー開発者として、あるいはスタジオに所属して、モバイルゲームから AR アプリケーションまで幅広いプロジェクトに携わり、プロのゲーム開発者としてキャリアの大半を費やしてきました。実際、2 人の Steve は Unity に入社する前は Kabam で一緒に働いており、『Marvel Contest of Champions』などのタイトルの開発に携わっています。

Unity では最近、開発者がすぐに公開可能なモバイルゲームを作成するための新しいテンプレートを構築することに力を入れています。私たちの経験や、外部のゲーム開発者やパブリッシャーからのフィードバックに基づいて、ランナーゲームのプロトタイピングとイテレーションをスピードアップできるよう、このテンプレートをデザインしました。

このテンプレートをどのように開発したかについて、この記事の続きをお読みください。

ゲームの公開:ゲームの仕組みと単調なシステムのギャップ

インディ開発者がゲームのローンチを成し遂げられない理由の 1 つは、ゲームの仕組みにしかフォーカスしていないことが多いからです。ゲームを完成させ、本当にローンチできる状態にするためには、代わり映えしないさまざまなサポートシステムを揃えなければなりません。これらの基本システムは、かなり多くのゲームで必要とされるため、「代わり映えしない」のです。しかし、これらのシステムの作り方を間違えたり、作るのを急いだりすると、製品の最適化する時に出る問題の原因となりえます。

ステージのシークエンス、UI システム、メニューフローなど、これらのシステムの一部を解決するために、Runner Game テンプレートを作りました。これらのシステムはテンプレートに組み込まれているので、皆さんはビジュアルを追加することに集中し、独自のゲームとすることができます。

Runner Game テンプレートは他と何が違うのか

A stylized preview of the new Unity mobile Runner template

Unity のテンプレートは、学習ツールか新機能のショーケースのどちらかになる傾向があります。Runner Game テンプレートは、「すぐに公開可能で、開発者が開発の最初から最後まで使えるものでなければならない」という考え方で作った最初のテンプレートです。

Runner Game テンプレートは、ランゲームのプロトタイプを素早く作りたい、あるいはランゲームを公開したいという人にとって、効率よく仕事を始められる出発点です。キャラクターの操作、走るコース、ゲート、収集できるアイテムなど、ゲームの核となる仕組みと必須の機能が搭載されています。つまり、基本的なサブシステムの構築に時間をかけず、ゲームの面白さやユニークさに集中することができるのです。モバイルゲームは、ファイルサイズを小さくし、CPU の使用を最小限に抑える必要があるため、テンプレートは無駄のないものになっています。

このテンプレートは複雑なコードを含む大規模な AAA プロジェクトのために作られたものではなく、すべての開発者が修正し、パーソナライズできることを意図した作りになっています。例えば、このテンプレートにはアセットが含まれておらず、すべてがグレーボックスになっていますが、これも開発者が自分でコンテンツを追加できるようにするためです。ここを出発点として、積み重ねていくことを重視しているのです。

6 つの時間節約機能

時間節約機能その 1:ゲームの仕組みの迅速なプロトタイピング

Another stylized preview of the new Unity mobile Runner template

ゲームの仕組みをプロトタイピングして「面白さを見つける」ことは、ゲーム開発において重要な要素です。実験とプロトタイピングも、ゲームを公開するための重要な要素です。ゲームを公開するためのハードルを越えるものができるまで、いくつもの試作品や仕組みをテストしなければならないかもしれません。

このテンプレートにはプレハブやエディター内ツールが用意されており、さまざまな形のステージや障害物など、アイデアや仕組みをより効率的に試すことができます。ゲームの仕組みが出来上がれば、あとは独自のアートを加えて、自分だけのゲームプレイに仕上げるだけです。

時間節約機能その 2:ステージデザインのプロトタイピング

Level editor tool within the Unity mobile Runner template

テンプレートのステージエディターツールを使うと、ステージのプロトタイピングをより迅速に行えます。ステージの幅、グリッドサイズなどのさまざまな特徴を調整できます。また、グリッドへスナップするようになっています。さらに、カスタマイズ可能なマテリアルを使ったコースも自動生成してくれます。ランゲームではオブジェクトを完全に揃える必要があるため、グリッドへのスナップ機能があるのは非常に便利です。さらに付属のステージエディターシーンで、より迅速にステージをテストし、洗練をかけることができます。作成したステージをゲーム内で見るには、Game Manager に挿入するだけです。

また、ステージの保存や読み込みの方法もわかりやすく、シンプルに構築しました。データはシリアライズされているため、プレハブへの変更はすべて自動的に実装されます。これは、テンプレートがステージをプレハブとして保存せず、データとして保存しているためです。

時間節約機能その 3:ゲームデザインのプロトタイピング

Runner Game テンプレートを使えば、カスタムコードを大量に書かなくても、思い通りのゲームを素早く開発することができます。キャラクターのスピード、カメラアングル、地形などのプロパティは、ビルトインのシステムやプリセットを活用することができます。

このテンプレートのデザインには、モバイルパブリッシャーの Supersonic からのフィードバックが重要な役割を果たしました。Supersonic から開発者に洗練をかけるように求める一般的な事項に、プレイヤーの制御、プレイヤーのスピード、カメラ設定などがあります。

このフィードバックを受けて、よく使われるカメラアングルやプレイヤーのスピードに合わせたプリセットを作成しました。

Player speed presets in new Unity mobile Runner template

プレイヤースピードのプリセットには、「Slow(遅い)」「Medium(普通)」「Fast(速い)」のほか、秒速をメートルやその他の距離の単位を使って自由に設定できる「Custom(カスタム)」があります。

Camera angle presets in new Unity mobile Runner template

カメラのプリセットには、「First Person(一人称)」「Behind(背後)」「Overhead(トップダウン)」「Side(サイドビュー)」「Custom」があります。このプリセットでは、カメラの位置と、プレイヤーを画面の中央からどのくらいずらすかのオフセットを定義できます。これらの値を調整することで、思い通りのカメラアングルを得ることができます。

また、動きに少しラグを持たせるための位置のダンピングや、カメラ位置をロックして画面上を移動するプレイヤーをカメラが追わないようにするなどの制御も搭載しています。

時間節約機能その 4:アニメーションコントローラー

Animation controller in the new Unity mobile Runner template

アニメーションを正しく作るのは難しいものです。Runner Game テンプレートにはアニメーションコントローラーが付属しており、すぐに利用することができます。

このアニメーションコントローラーは、アイドル、歩行、走行のアニメーションをブレンドします。アニメーションの速度は、キャラクターの動きを示しています。速く走っている場合は足の動きが速くなり、適度に遅くなれば歩きに移行します。付属しているアニメーションコントローラーは出発点です。必要に応じて、アニメーションやモデルを入れ替えることができます。

時間節約機能その 5:UI ウィンドウシステムとシーケンス

UI windows in the new Unity mobile Runner template

ゲームの進行状況やメニューをプレイヤーに表示するためのプレハブを用意しました。「メインメニュー」「勝利画面」「敗北画面」などの UI ウィンドウが、カスタマイズ可能なプレハブとして用意されています。

また、メニューシーケンスも付属しています。例えば、メインメニューからスタートボタンをクリックするとステージ選択に移動し、そこでステージを選ぶと、最初のステージに移動します。この最初のステージが終了すると勝利したことを示す UI が表示され、次のステージに移動します。

このメニューシーケンスは拡張可能です。その周辺に存在する UI やシーケンスを維持したまま、ゲームプレイの仕組みやシーン、実際のゲームプレイを変更することができます。

時間節約機能その 6:設定メニュー

設定は、完成したゲームに磨きをかけるための最後に必要な「代わり映えしない」機能です。

Runner Game テンプレートにはいくつかの設定メニューが用意されており、プレイヤーはどのようにゲームを体験するかを選択することができます。オーディオについては、音楽のミュート、音量の変更、サウンドエフェクトの有効・無効の設定が可能です。また、画質マネージャーのインターフェースもあり、プレイヤーは毎秒再生されるフレーム数を増やすために画質を調整することができます。ゲームのグラフィックやロジックが少し重い場合、画質を下げることでパフォーマンスを向上させることができます。これらのオプションにより、プレイヤーはゲームを最大限に楽しむことができます。

Unity Hub から利用可能

Runner Game テンプレートは、一通り出来上がったランゲームを素早く作りたい開発者にとって価値あるツールです。ゲームの仕組みからステージデザインまですべてを網羅することで、面倒な作業に費やす時間を減らし、ゲームをより素晴らしいものにするために時間を費やすことができます。皆さんにこのテンプレートをダウンロードしていただき、喜んでもらえることを願っています

Supersonic に学ぶランゲームのベストプラクティス

Runner Game テンプレートを使って、公開できるレベルのゲームを作りたい方は、Supersonic.com で、成功したランゲームに関する知見をご覧ください。ベストプラクティスを学んだり、アイデアをヒットさせた開発者のストーリーを読んだりすることができます。

Runner Game テンプレートに関するご意見、ご質問がある方は、フォーラムでぜひご投稿ください。

編集者注(2022 年 11 月 17 日):Runner Game テンプレートをお使いいただくには、エディターのバージョンを 2021.3.4f1 以降にする必要があります。

2022年11月14日 カテゴリ: ゲーム | 10 分 で読めます

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