ゲームの制作や発売には、予期せぬ障害やハードル、そして最終的にはストレスがつきものです。これは、ソロ開発者である Neil "Aerial_Knight" Jones 氏が身をもって体験してきたことであり、また彼が最近のウェビナー「Learn true costs and tips for creating game」で語った内容でもあります。今回は、ゲーム開発の各フェーズについて、Jones 氏がどのように取り組んでいるのか、詳しく伺いました。
まずは構想の段階について伺います。完全に別の戦略にピボットする必要がある状況に直面したことがあるでしょうか。それとも、最初の戦略でやり通す方法を見つけられたのでしょうか。
ナラティブランナーゲーム『Never Yield』の初期構想を練っている段階で、いくつかの追加のメカニクスを試していました。私の目標は、ゲームに登場するすべてのものを 1 つのバーティカルスライスにまとめ、試しにプレイできるものを用意することでした。
あまり楽しくないという理由だけで、結局削除したメカニクスも 2、3 個あります。そのため、構想段階でのピボットとは、プレイヤーにとって上手く働くもの、楽しいものに焦点を当てながら、時にはさまざまな工夫を凝らして変化をつけていくということでした。
プラットフォームの選択がコンセプトを決定するのでしょうか、コンセプトがプラットフォームの選択を決定するのでしょうか。一般的に、ゲームのターゲットプラットフォームはどのように決めているのでしょうか。
プラットフォームの選択は、何か特定のメカニクスや遊んでもらいたいものを考えている場合は、ゲームに影響を及ぼします。これは任天堂が特に得意としています。たとえば、『リングフィットアドベンチャー』や『Wii Sports』などについて考えるとき、私たちはハードウェアのことを思い浮かべます。しかし、ほとんどのゲームでは、よほど重いグラフィックを使うゲームを作らない限り、ハードウェアはあまり問題にならないはずです。また、重いグラフィックを使う場合でも、対象としているプラットフォームごとに最適化する裏付けがどのくらいあるかには依存するものの、ハードウェアの問題を回避する方法はあります。
あなたにとって、プロトタイピングとは何でしょうか。ゲーム作りの次のステージに進むタイミングは、どのように判断すればいいのでしょうか。
プロトタイピングは、作りたいゲームが実際に動くかどうか、テストして他の人に渡し、興味を持ってもらえるかどうかを確認する機会です。私自身は、自分が心から楽しんでプレイできたときに、プロトタイプが完成したと判断します。
これで進めていくんだと自分が選んだゲームには、多くの時間とお金を投資することになりますから、これは大きな決断です。発売の時まで、これは売れる、興味を持ってもらえるという期待を込めて、(完成させるのならば)何年も粘る必要があるものです。だから、そういう決断をする前に、自分に問いかけるんです。この先 2 年間、本当に見つめ続けたいものなのか。
さて、プリプロダクションの話です。プロトタイプから製品化されるものは、どのように決定されるのでしょうか。
試遊の様子を見るとき、プレイヤーがどこで椅子から身を乗り出しているのかを見ています。そして、気に入ったポイントを聞いて、ゲームプレイに関しては最初に 3 つ挙げたものをメモするようにしています。
また、子供たちにプレイテストをしてもらうのもおすすめです。子供たちは自分の好きなもの、嫌いなものについていつだって正直だからです。
本制作に入ると、どれくらいのタイミングでテストを始めることを決めるのでしょうか。バグやユーザビリティのチェックはどのように行っているのでしょうか。
プロトタイピングの段階であっても、できるだけ早くテストする必要があります。作りながらテストをすれば、未知の小さな問題が大きな問題に発展するのを防ぐことができます。
『Never Yield』の障害物を作っているときに、早くもこの問題に直面しました。障害物をすべてプレハブにし、一度に更新できるようにするのではなく、障害物をそれぞれ個別のエンティティにしていたんです。しかし開発の終盤になって問題が出てきました。障害物にちょっとした変更を加える必要が出てきたんです。コアの障害物を 1 つ更新することはできなかったので、手戻りして障害物を 1 つずつ更新しなければなりませんでした。
いつゲームは「完成」になるのでしょう。
この答えは人それぞれですが、最も基本的で現実的な答えは、「完成」することはない、ということです。バグやもっと良くできること、もっと良くしたいアニメーション、差し替えたいグラフィックが必ず出てきます。でもそれにこだわっていると、あなたのゲームが世に出ることはないでしょう。
だから、私にとっての「完成」とは、自分の手から離れる状態になったときなんです。世の中に出すに十分な水準に到達したとき、そして次のゲームに移る準備ができたとき、あるいは、お金がなくなったとき。ゲームは「完成」します。
ゲームの発売を準備するとき、さまざまなプラットフォームやストアにどのように対応しますか。
前作は一度に複数のプラットフォームで発売しましたが、こうしたことをソロの開発者としては、もう二度とやるまいと思っています。プラットフォームが変われば全部違うし、移植も非常に手間がかかりますからね。私は非常に小規模にやっているということにも注意してください。
個人的には、今後、2 つより多くのプラットフォームで同時に発売することはないと考えています。でも、こういうのはしょうがないこともあるんです。
ゲームを成功させるための備えについての話に移りましょう。ゲームが発売されたときに、将来に向けた準備ができるように、前もってどんなことをやっておく必要がありますか。
希望と運です(笑)。人々が何をいつ欲しがるかわかっていなければね。真面目な話、クールで、面白くて、楽しいものを作ることに専念し、それを裏付けるマーケティングをすればいいのです。多くの人が犯す最大の過ちは、ゲームをうまく補完するマーケティングプランを早い段階から描いていないことだと思います。パブリッシャーの中にも、この失敗をやってしまっているところがありますね。
なるほど、基本的には、計画し、作り、さらに計画し、さらに作る。そして希望を持ち続けること。そんな感じですね!Neil、本当にありがとうございました。次はどんな話題を持ってきてくれるか、本当に楽しみです。