Unity を検索

PlayStation®5 の次世代機ならではのパフォーマンスで、臨場感あふれる『原神』の世界を体験しよう

2021年8月16日 カテゴリ: ゲーム | 11 分 で読めます
Image of characters from Genshin Impact
Image of characters from Genshin Impact
取り上げているトピック
シェア

原神』は、プレイヤーを素晴らしいテイワットの世界に連れて行く、F2P のオープンワールドアクション RPG です。プレイヤーは謎めいた「旅人」となって、奪われた兄妹を取り戻すために旅をはじめます。そして、その過程でテイワットの秘密が徐々に明かされていきます。

PlayStation Store で、『原神』の詳細を確認し、このゲームをぜひ皆さんのライブラリに追加してください。この記事の残りの部分では、『原神』のテクニカルディレクターである Zhenzhong Yi 氏に行ったインタビューの内容を掲載します。  

原神』を PS5 向けに出すにあたり、どのようにスケールアップしたのでしょうか。このプロセスについてぜひお聞かせ願いたいです。

コンテンツ制作という点では、PS4 版と PS5 版はほぼ同じです。最初に PS5 用のフレームワークを完成させました。その上で、まったく新しいグラフィックスライブラリーを構築しました。それに加えて、Level of Detail(LOD)やマッピングなどのコンテンツの強化も検討しました。

PS5 でこの規模の世界を表現するには膨大なディテールが必要となるため、LOD グループの使い方を微調整した結果、ドローコールやトライアングルの数が増えてしまいました。CPU と GPU に負担がかかることはわかっていたので、LOD について戦略的に考えてこれを軽減し、バランスをとるようにしました。LOD 以外にも、PS5 のネイティブ版ではすべてのシーン、キャラクター、特殊エフェクト部分の各種テクスチャマップの解像度を上げました。これらの改善により、よりリアルで洗練された画質になりました。これらの変更は GPU に負担をかけることになりますが、私たちは常にゲームを最適化し、プレイヤーに最高の体験を提供することを考えているのです。

また、ソニーは PS5 に向けて、PlayStation Network を大幅に改善しました。私たちはこの変更に備えて、Unity の最新の PS5 プラグインを統合し、『原神』のインタラクティブ機能を強化することで、PSN での総合的なプレイ体験を向上させました。  

原神』をこの次世代ゲーム機で実現するにあたり、特別に困難な箇所はありましたか。

ゲームを PS4 から PS5 への移行させる時に常に付きまとう課題の 1 つは、新しいハードウェアの性能を最大限に引き出すために、私たちがその新しいハードウェアをどう読み解くかということを中心としたものです。この新しいハードウェアを最大限に活用できるよう、最適化のための長期的な計画を立てています。これはとても長い期間にわたる、継続的な取り組みとなります。

また、安定性や完成度のテストについても、これまで以上に厳しく行いました。プレイヤーの皆さんにプレイ可能なゲームを提供し、遊んでいる途中にバグに出会うことがないことを目標としています。  

PS4 版のために、Unity のレンダリングパイプラインをカスタマイズするために多くの作業を行なわれていました。PS5 版では、どのような点をさらにカスタマイズしたのでしょうか。

PS4 に組み込みのレンダリングパイプラインでもかなり高品質なグラフィックスを実現していますが、PS5 版ではより強力になったハードウェア性能を活用したいと考えました。今後もレンダリングパイプライン全体の改善を進め、より優れたグラフィックスをゲームに提供していきます。今回発表する PS5 版は、その始まりに過ぎません。『原神』は今後も継続していきますので、この後も新機能やバージョンがリリースされることは間違いありません。

Character standing in stature of extended hands looking over a vast town and greenery on a sunny day

拡張されたグラフィックスライブラリは、すでに PS4 版で行っていた作業にもつなぎ込まれたのでしょうか。作業負荷はどのように管理したのですか。

このゲームの開発にあるバージョンの Unity を使っていたことは周知の事実ですが、私はグラフィックスライブラリを書き、1 からカスタマイズしたファイル読み込みシステムを作ったのです。ゲーム全体を自社で開発したため、膨大な作業量を抱え、タイトなスケジュールに追われました。しかし、すべてを自分たちで書いたからこそ、細部に至るまで自由度が高く、自分たちのコードをコントロールすることができたのです。

ゲームのさまざまなグラフィック機能をサポートするだけでなく、PC ではドライバー層が担当していたいくつかの機能も受け持つことが求められました。しかし、PS5 ではすべて手動で行う必要があります。たとえば、何かを描くために様々なデータを収集すると思いますが、そのデータを PS5 のハードウェアに与えると、ある計算機や状態に直接変更を加えることができます。つまり、データに誤りがあると、PS5 は直ちにクラッシュしてしまうのです。

PS5 のグラフィックスライブラリを開発するには、相応の専門知識、それからハードウェアに関する深い知識が必要です。最初のバージョンにほぼ 2 か月を費やした後、チームでのデバッグに移りました。すべてはグラフィックスライブラリに集約されます。もちろん、ライブラリがなければグラフィックスは描けません。また、すべてのモジュールは、検証のためにこれに依存しています。そのため、グラフィックスライブラリの開発は、他のモジュールに比べて作業負荷が非常に多くなります。

PS5 は HDD ではなく、SSD を搭載しています。今回のアップグレードを最大限に活用するために、カスタマイズしたファイル読み込みシステムについて教えてください。

PS5 のハードウェアには、レイトレーシングや非常に強力な SSD など、際立った新機能が搭載されています。限られたリソースの中で、PS5 ネイティブな『原神』を、できるだけ早くプレイヤーの皆さんに提供することを意図しました。そこで考えたこととして、レイトレーシングによってより高度なライティングのエフェクトを描くことができたとして、そうしたテクノロジーがもたらす機能向上が本当にゲームの芸術性を高めるのか、ということでした。そのため、光の演出に手を加える際には慎重になりました。最良の方法を決定するためには、アートチームのサポートが必要でした。これは、複雑なシーンを持つ大規模なゲームでは、かなり時間のかかる作業です。

最終的に、ファイル読み込みシステムのカスタマイズに着目することで、SSD の性能向上を活かして読み込み時間を短縮し、より快適なゲームプレイを実現できるという考えに至り、その通りにしました。私たちが選んだのは、SSD 用にカスタマイズされたファイル読み込みシステムの開発だったのです。SSD のハードウェア機能は、それだけでも十分に強力ですが、読み込みシステムと上手く組み合わせることで、その能力を最大限に発揮することができます。  

なぜこの SSD の機能を最大限に活用しようと思ったのでしょうか。

原神』はオープンワールドのゲームです。オープンワールドのゲームでは常に読み込みが問題となります。それは、他のゲームジャンルと違って、直線的ではないからです。そこで、PS5 で『原神』のプレイヤーにより良い体験を提供するために、この SSD 機能を使ってゲームの読み込み時間を短縮することにこだわりました。その結果、プレイヤーはゲーム中に読み込みを待つ代わりに、ゲームを楽しむことに時間を使えるようになりました。

実際に PS4 版の『原神』を PS5 の互換モードで実行したときの読み込み時間と、オリジナルの PS4 版の読み込み時間を比較することができます。互換モードであっても、PS4 ネイティブ版に比べて圧倒的に読み込みが速いです。割合で見ると、本当に驚くほどスピードアップしていることが分かります。この数字をもとに、プレイヤーのゲーム体験を向上させるためには、カスタマイズされたファイル読み込みシステムに時間を費やしたほうがよいと判断しました。これが私たちが下した決断であり、その価値は十分にあったと考えています。

この機能はどのように開発されたのですか。

PS5 に搭載された SSD は高速で、特に読み込み速度が信じられないほど高かったのです。また、読み込み待ちのファイルは小さいものでした(逆に、SSD にいくつものファイルを大きな塊にして一度に読ませようとはしませんでした)。SSD を読むためのコマンドを効率的に整理し、ハードウェアが SSD の機能を最大限に活用して、より高速な読み込みができるようにしました。

高速で読み込まれたファイルを、今度は CPU が丁寧に処理してゲームをプレイしている間に必要になるデータとして確実に組み立てていくようにしました。この作業の負荷はグラフィックスライブラリの全面的な書き換えに比べれば軽いものでしたが、それでもまったく新しいハードウェアでやっていることなので、十分な調査とテストが必要でした。  

原神』を PS5 で発売することが重要だった理由は何でしょうか。

PS5 向けに開発したことで、ゲーム技術の未来のトレンドを間近に感じることができました。このゲーム機は、海外では数多くのゲーム開発者がさまざまな実験を行う場となっています。また、多くの技術的進歩の中心に位置しています。『原神』をこの次世代機のために準備したことは、将来に向けて私たち自身の技術をアップグレードするという面で、大きな推進力となりました。

昨年『原神』を最初にリリースした後、急ぎの問題にいくらか対処し、PS5 版の開発に急速に移行しました。最初のステップは、グラフィックスライブラリやファイル読み込みシステムなど、PS5 版のためのゲームアーキテクチャを少人数のチームで構築することでした。アーキテクチャが完成すると、さらに多くの人が開発に参加しました。

実は、PS5 のハードウェアのポテンシャルを最大限に引き出すために、今後さらに多くの新機能を提供する予定です。  

今回のバージョンで最もお気に入りの点は何ですか。

まず全体として、私たちのゲームのプレイヤーが新しいバージョンに満足していることです。私個人としては、今はオープンワールドを歩き回るのが一番の楽しみです。特に夜のモンドと璃月が好きです。その時はライティング効果がより映えるのです。

また、先日リリースしたバージョン 2.0 では、まったく新しい大規模エリア「稲妻」をはじめ、PS5 でのハプティック(触感)フィードバックのサポートやキャラクターのシェーディングの向上など、一連の機能や最適化を実現しています。

ハプティックフィードバックはプレイヤーとの一体感を高めてくれるので、ゲームに新しい感覚をどんどん追加していくことができます。より複雑で高度な振動パターンを用いてプレイヤーに情報を伝えるため、PS5 のハプティックフィードバックをサポートする振動アセットの丸ごと再構築しました。  

プロジェクトの初期段階で、どのようにして使用するエンジンを選択するのですか。Unity との連携についてどう思いますか。

最初から『原神』はクロスプラットフォームのゲームにしようと決めていました。そのためには、クロスプラットフォーム向けのディレクションを常に意識して、繰り返し作業をしないように計画することが非常に重要でした。このように計画したおかげで、現在ゲーム内のアクティビティはすべてのプラットフォームで同時に公開できるようになっています。

Unity の汎用性の高いエンジンは、クロスプラットフォームの開発に最適です。強力なマルチプラットフォームサポートを提供しており、またアプリケーションレベルでの柔軟性や、より低レイヤーのアーキテクチャについても明確かつ簡潔な作りをしています。これにより、開発が加速しました。また、中国と米国の Unity チームが、私たちの活動を継続的にサポートしてくれました。Unity のチームは私たちの意見を積極的に聞き入れてくれましたし、これらのチームの持つゲーム技術の将来的なトレンドに関する知見には、私自身大いに助けられました。

PS5 版については開発期間が限られていたこともあり、自分たちの力に頼る部分が大きかったです。Unity はどんどん新しい技術を開発していくでしょう。私たちも長期的に、そこから積極的に学んでいきたいと思っています。私が米国チームとやり取りしている中で、チームから Unity は 2020 年に多くの新機能を追加し、2021 年にはさらに多くの新機能を追加する見込みだと聞きました。それについてもっと知りたいと思っています。  

Unity の新技術で、特に期待しているものはありますか。

原神』はライブサービスかつクロスプラットフォームのゲームなので、Unity のような知識豊富なパートナーと一緒に、進化を続けるエンジンに取り組むことが重要になります。私のチーム全体が、新しい技術を学ぶことに情熱を持っています。Unity の開発チームは、ソフトウェアの地形システムに加えて、ポストプロセッシングに対する修正やアセット管理システムへの改良について情報を提供してくれました。これらはどれも素晴らしいと思います。技術の進歩は常にポジティブなものです。

コンソールや PC 向けのゲーム制作については、こちらをご覧ください。また、Playstation Partners のウェブサイト(英語)では、プラットフォーム向け開発に関する詳しい情報をご覧いただけます。

 

質問への回答内容の著作権はすべて Zhenzhong Yi 氏に帰属します。

2021年8月16日 カテゴリ: ゲーム | 11 分 で読めます
取り上げているトピック