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gamescom 2020 における革新的なオンライン体験の創出

2020年9月21日 カテゴリ: ゲーム | 4 分 で読めます
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Super Crowd Games と協力して、MMO に着想を得た、150 以上の出展者が参加するインタラクティブな「Indie Arena Booth」を作りました。その様子をご紹介します。

COVID-19 が人々の暮らしを激変させたことで、ゲーム業界は知識の共有とコミュニティ育成を促進する場として機能してきた対面イベントの構造の見直しを迫られました。数多くのイベントが中止に追い込まれる中、オンライン開催のための新たな方法を模索しているイベントもあります。そんなイベントのひとつ「gamescom 2020」が継続してホストしているインディー開発者向け展示スペース「Indie Arena Booth」を、ゲーマーが自宅からでも楽しめる、インパクトのあるデジタル体験として届けたいと考えました。Super Crowd Games が Unity を使って開発に取り組んだ結果、150 以上の出展者と 200 以上のブースを擁する MMO ライクな体験が実現しました。この記事では、Super Crowd Games のチームがどのようにしてそのような体験を実現したかを紹介させていただきます。

コンセプトを考える

私たちは、イベント中にオンラインでのプレゼンスを一段回引き上げる革新的な方法を常に興味を持って探していました。また、2020 年の残りの期間も、皆で集まって物理的なイベントを開催することは不可能である見通しが強くなってきました。しかし私達は、この状況が新しいソリューションを模索する機会を提供していると捉えることにしたのです。

私たちはブレインストーミングを始めました。Indie Arena Booth はゲーム開発者によって設立されたということから、私たちはイベントの再設計案をゲームジャムのように構築しました。それからわずか 3 日間で、イベントの核となるビジョンを表現したプロトタイプが完成しました。それは、来場者がブースに沿って他の人と一緒に歩いたり、チャットをしたりしながらブースを巡り、ページに埋め込まれた Twitch ストリームを見ることができるバーチャル空間でした。このプロトタイプとゲームデザインのドキュメントをパートナーに見せたときの彼らの反応には、私達が驚かされました。Unity のレスポンシブなワークフローを使ってプロトタイプをすぐに作成したことで、素早くフィードバックを得ることができ、さらに繰り返し洗練していく時間を確保することができたのです。それから数週間にわたって議論を重ね、さらに手を加えて、「Indie Arena Booth Online」というイベントがどのようなものであるべきか、そして自分たちがどのような体験を提供したいのかがはっきりしてきました。

今回の展示会では、来場者がオンラインで簡単かつ迅速にアクセスできるように、WebGL アプリとして公開されました。このセットアップによって、最大 40 人がブース内で一緒に「立ち話」をしたり、ゲームに関する情報にアクセスしたり、また、Steam から直接デモをダウンロードしたりもできる環境が実現しました。開発者は自分たちのブースのイベントスケジュールを作成し、来場者に直接イベントの案内をすることができます(そのほとんどはストリーミング配信されました)。また、選ばれた来場者のためのビジネスエリアを提供したり、Steam や GOG と連携して、展示会期間中にオーダーメイドの販売イベントを開催したりしました。

150 人以上の出展者にブースエディターを提供

企画を始めた当初は、開発ロードマップ全体が実現不可能なもののように思えました。しかしプロセスを合理化し、出展者に参加を促すことで、なんとか時間通りに、すべてをやり遂げることができました。

最大の課題は、わずか 3 か月で 200 以上のブースを制作しなければならなかったことと、それを制作するブースのクリエイターが 5 人しかいなかったことでした。そこで私たちは、私たちのアーティストが作った 1,000 個以上のビルディングブロックを使って、出展者が自分たちでブースを作ることができるエディターを開発しました。レイヤーツールと配色作成ツールを搭載したことで、ブースごとに個性を出しつつも、イベント全体で一貫したスタイルを維持することができました。出展者は、キャラクターの台詞や様々なオブジェクトを追加することで、ブースに個性を与え、来場者に情報を伝えることができるようになっていました。

デジタル版 gamescom のリリース

Indie Arena Booth の世界では、私たちが制作したコンテンツと、出展者が作成したコンテンツが混在していたため、8 月に入ってからの数週間はすべてのコンテンツを移動させるのに大忙しでした。ユーザーはゲームをダウンロードしなければならないため、ビルドサイズをできるだけ小さくしたいと考えていました。これについては、Unity に内蔵されているスプライトアトラスと圧縮ツールを使って、良い結果を得ることができました。また、Steam や GOG のパートナーと企画したデモ、物販、エディトリアル特集などのイベントを同時開催し、Twitch でのストリーミングショーも予定していました。パートナーのストリーマーである Shay と Andrea Rene が私たちのメインチャンネルでコンテンツを作成し、開発者やパブリッシャー自身が Twitch のディレクトリで紹介されました。この他、デジタル版 gamescom の期間を通して、全体で 80 以上のチャンネルが Twitchで放送されていました。

Unity の Indie Arena Booth は、8 月 27 日午後 10 時(CEST)に Geoff Keighley 氏との「Opening Night Live gamescom」セッションの直後に公開されました。私たちはすぐに約 600 人の同時参加プレイヤーを獲得し、幸いにも、私たちのバックエンドとオンラインのインフラはこの最初のストレステストを切り抜けました。その後の 4 日間は、物理的に集まって開くいつもの gamescom と同じくらいクレイジーな気分で過ごしました。

長きに渡った作業の総括とこれから

ユーザーが作成したコンテンツを使って、オンラインブラウザーでプレイする、誰も見たことのない「展示会 MMO」をわずか 4 か月で作るということは、まさに狂気の沙汰でした。出来上がったものは通常の開発計画にあるような洗練を経たものではありませんでしたが、私たちはゲームカンファレンスの雰囲気を再現したユニークで記憶に残る体験を参加者に提供できたことを誇りに思っています。このような短期間でこの野心的なプロジェクトの制作に協力してくれたパートナーやパブリッシャーの皆さんの助けがなければ、これは実現しなかったと思います。

私たちは、新しくプレイヤーの選好データと利用データを手に入れることができました。このデータと今回確立したフレームワークを活用した次の企画をワクワクしながら考えています。その企画のすべては、2020 年 11 月 27 日~29 日に開催される MAG Online でお見せすることになると思います。そこで皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

2020年9月21日 カテゴリ: ゲーム | 4 分 で読めます

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