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『Syberia: The World Before』の技術スタックを構築する

2022年3月18日 カテゴリ: ゲーム | 6 分 で読めます
A woman with a helmet in the mountains
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批評家からも高い評価を得ているアドベンチャーシリーズの最新作は、Microids Studio Paris にとっての大きな一歩です。チームは愛され続けてきた『Syberia』シリーズの原点に立ち返りながら、歴史ドラマや探偵物語に没頭できる世界を作りたいという壮大な夢を抱いていました。

このプロジェクトは、『Syberia』シリーズの作者である Benoît Sokal 氏が書いた物語から始まりました。主人公の Kate Walker は、20 世紀の混乱と悲劇に根ざした旅をしながら、さまざまな大陸、さまざまな時代をまたいで調査を進めていきます。デスクトップとコンソール機の両方のプラットフォームをターゲットにしたこのゲームでは、ストーリーのスケールが大きな技術的課題を投げかけました。

「最大の課題は、プロジェクトの規模でした。このプロジェクトには約 100 人のキャラクター、40 種類の環境、2 万以上のテクスチャがあります」とシニアプロデューサーの Olivier Demangel 氏は説明します。

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このプロジェクトは 5 年以上にわたって開発されてきました。テクニカルディレクターの Loïc Bigot 氏とゲームディレクターの Lucas Lagravette 氏は、Unity は正しい方向に向かって、同社のチームが必要とするツールセットでチームをサポートしてくれると信じていました。「当時は新バージョンのエンジンがリリースされたばかりで、ビジュアルやシナリオのニーズにマッチするツールが豊富にありました。いま私たちの成し遂げてきたことを見ると、それは賢明な選択だったように思います」と Lucas は言います。

Loïc は、プロジェクトの技術的な基盤を構築する長い旅をこう振り返ります。「Unity 5.5 でプロジェクトをスタートし、昨年の夏に Unity 2020 LTS で固定するまで、アップグレードを繰り返してきました。Unity 2020 LTS は、PC 版発売の準備を始めるにあたり、安定した基盤を提供してくれました」。

彼は過去数年間に追加された新しいエディターツール、特に改良されたプレハブシステムによって、プロジェクトの構造をより自由にコントロールできるようになったと振り返ります。しかし、これらの新しいツールが本当に輝くのは、Unity 2020 においてです。3D アーティストはバリアントコレクションやネスト状のプレハブをプロジェクト内でプッシュするだけで、直ちにゲームの中で使えるようになります。「プレハブの使い勝手が良くなり、イテレーション速度が大幅に向上しました。ギズモのような小道具が、私たちの生産性を高めてくれています」。

また、HD レンダーパイプライン(HDRP)をいち早く採用したのも大きな特徴です。「HDRP については、2018 年にそれが使えるようになった最初の日に使い始めました。この選択をしたのは、得られるビジュアルと最初に行ったテストが非常に素晴らしかったからです。私たちのゲームのレンダリングを、AAA ゲームのレベルに押し上げることができると考えたのです」。 ビジュアルプロトタイプの作成から、何千ものアセットを持つ出荷可能なゲームになるまでには、長い道のりを経ることになります。幸いなことに、チームはプロジェクトを進める中で、HDRP が本制作に使える状態に進化していくのを目の当たりにすることができました。

「HDRP を追いかけているうちに、すごい速さで進化していくのを目にしました。精度もパフォーマンスも、公開された当初から大きくグレードアップしていますね。私たちが Unity 2020 LTS にアップグレードした重要な理由の 1 つは、そうすることで確実に HDRP の最適化を取り込むことができたからです。そして、この決断が裏切られることはありませんでした。今回のアップグレードで、多くの問題が解決されました」と Loïc は語ります。

ここ数年で大きく変貌を遂げたもう 1 つのツールセットが、C# Job System です。2017 年にはじめて導入されたこのツールセットは、数多くの商業プロジェクトで重要な箇所のパフォーマンスを向上させるために使われており、多くの場合、Burst、ハイパフォーマンス C#(HPC#)コンパイラー技術と組み合わせて使われています。

Loïc は、「Unity のジョブシステムは、最初は少し理解しにくく使いにくいかもしれませんが、大量の計算やアクションを最適化する力を持っています。服の動きをシミュレーションする時などに使っています」。と言います。

では、同じようなプロジェクトに取り組む開発者に、彼はどのようなアドバイスをするのでしょうか。

「最も重要なことは、できるだけネイティブのシステムを使うことです。サードパーティ製のツールはあまり頻繁に更新されないので、進行中のプロジェクトを新しい LTS バージョンにアップグレードする必要がある場合、(そうしたツールは)壊れることもあります。Unity Input System は私たちのようなケースで使うべきシステムの代表的なものです。サードパーティ製のツールで同様のことができるものもありますが、私たちにとってはより良いツールでした。しかも、Unity のバージョンを更新するたびに改善されていきました」。

Microids Studio Paris は、Integrated Success プランを活用することで、『Syberia』のような複雑なプロジェクトに必要な戦略的サポートを得ることができました。毎年のプロジェクトレビューでは、プロジェクトの大規模化に伴う問題、特にメモリの問題を、Unity のエンジニアがチーム一丸となって解決してきました。たとえば、HDRP の設定で、フォワードとディファードの両方のレンダリングを行っていたところをディファードのみ行うように切り替えることで、シェーダーのメモリフットプリントを半減できることを見出しました。 

制作期間の長い、複雑なプロジェクトのための技術スタックを構築することは、かなり困難なことです。リリース日を見据えて制作を進め始めたら、アップグレードは LTS バージョン同士のみで行うことをお勧めします。Unity のリリースの概要はこちらでご覧いただけます。プログラミングおよびアートとデザイン向けソリューションのページをご覧になり、皆さんのプロジェクトの目標に適した機能、パッケージ、その他のツールをじっくりとお探しください。

2022年3月18日 カテゴリ: ゲーム | 6 分 で読めます

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