Unity は、ゲームを成功させるために必要なツールを提供することを使命としています。Unity ゲーミングサービス(UGS)はそのために重要な役割を果たすものです。昨年 10 月に、すべての開発者のゲーム制作・管理を簡素化することを目的としたツール・サービス群として、UGS を発表しました。
このブログシリーズでは、分析とプレイヤーエンゲージメント、バックエンド、マルチプレイヤーといった主なサービスカテゴリごとに、そこで提供されているツールをどのようにゲームに活用できるかを詳しくご紹介していきます。
初回の記事では、Analytics(分析)と Player Engagement(プレイヤーエンゲージメント) のカテゴリに焦点を当てます。このカテゴリは、データに基づく判断によってゲームを改善し、ダイナミックなコンテンツの更新で完璧なプレイヤー体験を実現するツールを提供します。
これは何か: Analytics を使うと、スタジオは構築済みのダッシュボードやビジュアライゼーションを使用して、信頼性の高いリアルタイムデータに基づきながらゲームのパフォーマンスやプレイヤーの行動についての理解を深めることができます。カスタムオーディエンス、イベント、柔軟なレポートなど、スタジオの目標に応じてデータをカスタマイズできます。
また、新たに開発された高度な分析ツールにより、より柔軟に、より深くデータを読むことができます。SQL Data Explorer では、クエリを実行して結果を視覚化し、また Funnels では、プレイヤーの進行度や脱落、そして目標に対する進捗を分析することができます。
Analytics は現在ベータ版です。
これが解決する問題:
仕組み:標準イベントは、SDK のセットアップ後に自動的に発動するようになります。また、カスタムイベントを実装することで、ゲーム内のあらゆるアクションのトラッキングを開始できます。イベントが実装されると、Analytics は新規インストール、DAU と MAU、総セッション数など、ゲームの健全性をモニターするための重要な指標を追跡します。
これらの情報は、構築済みのダッシュボードに表示され、Data Explorer や、近日公開予定の Funnels や SQL Data Explorer ツールでさらに詳細に分析することができます。
Analytics を使って、ユーザーがどのようにゲームに関わっているかを追跡する方法については、こちらのページをご覧ください。
使用を開始するには:ベータ版に参加するか、ドキュメンテーションサイトをご覧ください。
これは何か:Unity の Cloud Content Delivery は、ライブゲームのアップデートを行うためのエンジン非依存なエンドツーエンドサービスです。ゲーム開発向けに構築されたコンテンツ配信ネットワーク(CDN)とサービスとしてのバックエンド(BAAS)で構成されています。
これが解決する問題:
仕組み:CCD は、ライブゲームを管理するスタジオ向けに、クラウドストレージ、コンテンツ管理システム、および信頼性の高いコンテンツ配信ネットワークを組み合わせたものです。
CCD のオンラインダッシュボードやコマンドラインインターフェース(CLI)を使って、アセットバンドルをバケットにアップロードし、バッジを付けて指定したプレイヤーに配布することができます。ニーズに応じてカスタムのバケットやバッジを作成することができます。例えば、リリースされたコンテンツは、「Development」バケットから「Production」バケットに昇格して、プレイヤーに配信されます。
使っているシステムが Addressable アセットシステムかアセットバンドルによらず、作成したバケットにコンテンツをアップロードすることができます。手順が完了すると、プロジェクトにコンテンツリリースを配信することができます。
ゲームが Unity で作られていなくても、CLI や API を使ってコンテンツをアップロード・管理したり、ランタイム API を使って CCD をゲームに接続することができます。Unity ダッシュボードに組織 ID とプロジェクト ID があれば、サービスを利用することができます。
使用を開始するには:毎月最初の 50 GBは無料なので、安心してツールをお試しいただけます。詳しくは、ドキュメンテーションサイトをご覧ください。
もっと詳しく知りたい方は、Addressable アセットシステムと Cloud Content Delivery の始め方をご紹介した最新のワークショップをご覧ください。
これは何か: Cloud Diagnostics は、リアルタイムのエラーモニタリングを提供し、Unity で作られたモバイルゲームおよび PC ゲームの安定性に影響を与えるクラッシュや例外の特定、調査、および解決を行う上で役立ちます。
これが解決する問題:
仕組みCloud Diagnostics は、Unity エディターのプロジェクトに接続し、ゲーム内のエラー(クラッシュや例外と呼ばれる)に関するデータを収集し、レポートを作成します。何人のユーザーが影響を受けたか、どのプラットフォームやデバイスで問題が発生したかなど、アプリで発生する可能性のある問題の情報を見ることができます。
そこから、ログメッセージやスタックトレースを調査したり、個別のクラッシュや例外に関するメタデータを表示することもできます。このように、アプリの問題の原因とその影響に関する情報を得ることができると、発生する可能性のある問題を特定し、優先順位をつけ、修正するまでの流れがスムーズになります。
Cloud Diagnostics は、バグレポートなどのプレイヤーのフィードバックを収集するためにも使用できます。内蔵のレポート機能を利用するか、独自にカスタマイズしたレポートを作成するか、あるいはその両方を組み合わせて利用することができます。内蔵の機能としてユーザーが記入できるシンプルなフォームを提供していますが、カスタマイズされたレポートでは、必要なデータを収集するためにフォームをデザインすることができます。
使用を開始するには:まずはドキュメンテーションサイトをご覧ください。
これは何か: Remote Config は、コードの変更やアプリの更新をすることなしに、ゲームのライブコンテンツをリモートかつリアルタイムに更新することができるツールです。
これが解決する問題
仕組み:Remote Config では、環境を作成して管理し、開発やデプロイメントのワークフローをサポートする方法でコンフィグ値の設定をグループ化することができます。
また、アプリケーションに合わせて環境を構築し、必要なときだけ特定の設定を取得・更新することで、コンフィグ値のキーを再利用することができます。また、どのプレイヤーがいつ特定のコンフィグ値の更新を受けるかをコントロールする設定も可能です。
プレイヤーがゲームを起動すると、Remote Config は、Unity、アプリケーション、ユーザー、または開発側で定義したカスタム基準に基づいて、条件付きの基準を検出します。そして、各プレイヤーの条件に応じて、カスタマイズされた設定を返します。
また、Remote Config では、特定の対象者をターゲットにして変更を展開したり、その変更を A/B テストしたりすることができます。たとえば、新しいタイプの敵を、ゲームを直近 2 週間にプレイしたことのあるプレイヤーだけに出してテストすることができます。
使用を開始するには:Remote Config のページまたはドキュメンテーションサイトをご覧ください。
もっと詳しく知りたい方は、Addressable アセットシステムの解説と Cloud Content Delivery の始め方のご紹介を行っている最新のワークショップをご覧ください。
UGS の新しいサービス、特にプレイヤーをより深く理解し、プレイヤーの体験を向上させるために活用できるツールやサービスについて、皆様の疑問が解消されたならば幸いです。
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技術スタックの構築に着手する準備はよろしいでしょうか。Unity Dashboard から必要なサービスを選ぶことができます。またソリューションのページで価格をご確認いただくこともできます。