リアルタイム描画技術による映像制作の世界がますます勢いを増す中、多くの皆さまが、迅速なイテレーションと強力なストーリーテリングのワークフローを可能にする最新のベストプラクティスによって、シネマティックなシーンの制作を行いたいとお考えのことでしょう。そんな皆さまに朗報です ― ゲームのカットシーンやショートフィルムなどのリニアコンテンツを Unity で制作したいユーザーに向け、Film Sample Project がアセットストアから公開されました。
Mike Wuetherick は、Made with Unity チームのシニア・プロデューサーです。彼のチームは過去 2 年間で、ショートフィルム『ADAM: Episode 2』および『ADAM: Episode 3』(Oats Studios)、そして最近では Disney Television Animation とのコラボレーションによる『Baymax Dreams』など、大規模なシネマティック映像制作プロジェクトを多数手掛けてきました。
このパッケージには、リニアコンテンツ(ショートフィルムだけでなくシリーズ物のアニメーション作品も含む)の制作をお考えの皆さまのために事前設定されたサンプルプロジェクトが含まれています。『ADAM: The Mirror』や『Baymax Dreams』などのショートフィルムの制作で使用されたレイアウトのテクニックが用いられているほか、皆さまがご自身で Unity でシネマティックな映像プロジェクトを制作する際のたたき台としてお使いいただけるようになっています。
本プロジェクトは、最近公開された HD スクリプタブルレンダーパイプラインとポストプロセッシングスタック V2、Timeline、そして Cinemachine を使用しており、私たちが Unity を使ったリニアコンテンツの制作に取り組む中で追加で構築した、エディターユーティリティやカスタムのタイムライントラックなどの便利なツールを多数含んでいます。
Film Sample Project は Unity アセットストアから入手可能です。
Film Sample Project の使用を開始するには、Unity がインストールされている必要があります。本プロジェクトは Unity 2018.2 で制作され、2018.2.x のすべてのバージョンで機能するようになっています。
Unity のインストールが完了したら、プロジェクトを新規作成し、アセットストアを開いて Film Sample Project をインストールしてください。
(注)Film Sample Project は完全な Unity プロジェクトですので、空のプロジェクト内にインポートする必要があります。
本パッケージには以下が含まれます。
Film Sample Project のすべてのコンテンツは、専用のフォルダー構造によって整理されています(以下参照)。これはベストプラクティスでもあり、本プロジェクトに含まれるマルチシーンフレームワークに必要とされるものでもあります。皆さまのコンテンツもこれに近い方法で整理されることをお勧めします。
以下のセクションでは、皆さまご自身のプロジェクト用にシーンのフレームワークを設定する方法をご説明します。
Film Sample Project には、2 つのサンプルと、Timeline および Cinemachine の独自の概念を理解するために役立ついくつかのチュートリアルシーンが含まれており、皆さまご自身の制作にご利用いただけるようになっています。
1 つ目のサンプルは事前ビルドされており、ショートフィルム『ADAM: Episode 2』に含まれるいくつかのアセットを用いて、コンテンツやシーン、タイムラインの整理方法を示しています。皆さまご自身の制作にお役立てください。
2 つ目のサンプルは、空のテンプレートに、事前作成された Unity シーンと Timeline のシーケンスが付いたものです。これらはすべて、皆さまがご自身のシーケンスを 1 からビルドしていただけるように設計されたものです。
サンプルを読み込むには、Unity プロジェクトの Scenes フォルダーを開いてください。
上のキャプチャー画像のように、Scenes フォルダーの配下に多数のフォルダーが表示されます。各種サンプルは EmptySeries フォルダーおよび FilmSampleV1 フォルダーの中に格納されています。
Scenes/FilmSampleV1 フォルダー内に FilmSampleSceneLoader というファイルがあります。これを選択するとインスペクターに以下が表示されます。
マルチシーン読み込みシステムは使いやすく汎用的な形で設計されています。このシステムの主な目的は、Unity シーンのリストを、2 つのカテゴリー(Main Scenes または Set Scenes)のどちらかに定義して読み込めるようにすることです。
ダイアログ下部のボタン(以下)で、適切なシーンの読み込みを行います。
シーン読み込み用のワークフローが 2 つあるので、環境アーティストやライティングアーティストは、キャラクターやアニメーションなどのすべてが含まれるタイムラインを丸ごと読み込まずに、シーンのサブセットを読み込んで作業を行うことができます。大規模な制作の完全なワークフローは非常に大きくなる可能性があるため、効率化を図るショートカットとして、ライティングおよび環境デザイナーのためにこのシステムが開発されました。
Film Sample V1 のシーンローダ―を開いて「Load Full Workflow」を選択すると、本ブログ記事冒頭のヘッダー画像にある設定が表示されます。このサンプルは『ADAM: Episode 2』からの 3 つのショットを含んでおり、「入れ子にした Timeline」を用いた Timeline の使用方法や、ショット用のカメラ作成における 2 種類のアプローチ(Cinemachine のみを用いた方法と、Oats Studios が元々のショートフィルム用に開発した元々のモーションキャプチャーカメラを用いた方法)が学べるようになっています。
Scenes/EmptySeries フォルダーを開くとサンプル「Empty Series」に対応するシーンローダーが入っています。このサンプルは、皆さまご自身の制作を始める際のたたき台としてご利用いただけます!
Film Sample Project にはこの他にも、『ADAM』のようなリニアコンテンツの制作をより簡単に行うための、ツールやカスタムのタイムライントラック、エディターショートカット、およびその他のユーティリティーが、数多く含まれています。詳細は本プロジェクトに含まれる FilmSample Readme ファイルをお読みください。
2018 年に開催された Unite LA 2018 では、多くの皆さまが Unity for Film: Tools for Linear Storytelling をはじめとするワークショップにご参加下さいました。今後も、「リアルタイム描画技術を用いた Unity での映像制作」に関連したワークショップやウェビナーのお知らせをお楽しみに!
皆さまの制作物を拝見できるのを楽しみにしております!