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Unity で作られたビジュアルシンフォニー

2022年7月26日 カテゴリ: エンターテイメント | 4 分 で読めます
A Visual symphony
A Visual symphony

ビジュアルアーティストの Deborah Johnson 氏が、Unity を活用して音楽界のビッグネームに寄せて、独特の視覚世界を構築していく手法を見てみましょう。

ビジュアルアーティストの Deborah Johnson 氏(CandyStations のブランドネームで知られる)は、Unity の知識を活かして、作曲家 Sarah Kirkland Snider 氏が 2020 年にリリースしたレコード『Mass for the Endangered』に合わせた独特のビジュアルを構築する、画期的なコラボレーションを実現しました。楽曲としてはコーラスと 12 種類の楽器を使ったクラシック作品ですが、自然界に住む無数の絶滅危惧種への鎮魂歌として機能させるというコンセプトがあります。この作品では、Johnson 氏は Unity で構築・実行されたバーチャル空間を駆使し、Snider 氏の音楽の精神を簡潔に表現しています。

Johnson 氏のビジュアルアーティストとしてのキャリアの大部分は、ミクストメディアへの一貫した取り組みに費やされており、Unity やその他のツールを使って、アートをデジタル化し、物理的な領域からバーチャルな領域のものへと作り変えていることが大きな特徴となっています。象徴的なデジタル空間を作り上げることを得意とすることが彼女のキャリアにおける大きな差別化要因となっており、これが世代を超えたシンガーソングライターの Sufjan Stevens 氏やダンスを流行に乗せた Sofi Tukker 氏など、著名なアーティストとのパートナーシップの実現につながりました。

Asset of a crane flying in a surreal background
YouTube で公開されている Sarah Kirkland Snider 氏の『Credo』

「Asset Store はとにかくすごいと思う…深堀りして超変わったものを見つけるのも楽しい」。

コラボレーターであり Unity プログラマーの Louise Lessél 氏が語るように、Johnson 氏はしばしば Asset Store のモデルをフレームワークとして使用し、その構成を変更して、シーン中で独自のフィーリングを実現します。Lessél 氏はいつもシェーダーをクリエイティブに使っています。例えば、イルカにガラスで作ったような見た目を持たせるために、「見た目を整えるために、微調整を含め多くのマテリアルテストを行っています」。

このテーマは、Johnson 氏が芸術的なツールとして Unity を使用することを考える際に立ち戻るものです。 

「私は学生たちに、『ソフトウェアは芸術を定義できない』と言っているんです」と Johnson 氏は教えてくれました。「しかし、私が Unity に惚れ込んだのは、意図的なのかどうかにかかわらず、しばしば芸術を定義してしまうからです」。

Still from Credo Video
『Credo』の動画の後半部分から取り出したスチル。

Snider 氏の『Mass for the Endangered』では、Johnson 氏と Lessél 氏が Cinema 4D のシーンレイアウトから始めて、各曲に合わせた個別の Unity シーンを構築しました。仕上げのシェーダー作業はエディターで行い、Johnson 氏が収めたショットはエクスポートされました。さらに Adobe After Effects でアニメーション(手作りの物と、デジタル生成されたものの両方)が作られました。

これらのシーンに彼女らしさを注入するために、Johnson 氏は現実世界の道具を数多く活用し、独特のデジタル世界を構築しています。その一例が下の写真です。Johnson 氏は、スキットルズ(チョコレートキャンディ)と乳製品を混ぜ合わせて、反応性の高いカラフルな混合物を作り出し、各スペースの配色を微妙に変えています。 

Behind-the-scenes stills of Johnson’s process.
Johnson 氏のプロセスの舞台裏を映したスチル。

Johnson 氏が Unity を使って作ったバーチャル空間にあるオブジェクトの多くには、手作りの彫刻や手書きのパターンが取り込まれています。Johnson 氏は、現代の最先端のツールを使って制作する一方で、19 世紀初頭のアニメーション装置で、現代の映画やアニメーションの先駆けとなったフェナキストスコープゾートロープをモチーフとしたシーンを構築することもしています。最終的に出来上がる作品はデジタルですが、Johnson 氏は新旧両方の形式の内挿を取ることで、『Sanctus/Benedictus』(下の動画を参照)の空間に独特の時間感覚を与え、Johnson 氏による絶滅危惧種の哀しげな描写と、Snider 氏のクラシック音楽が醸し出すセンチメンタリズムの両方を調和させています。

A Visual Symphony
YouTube で公開されている Sarah Kirkland Snider 氏の『Sanctus/Benedictus』

Johnson 氏と Lessél 氏も、『Mass for the Endangered』のために作られたようなバーチャルライブエンターテイメント空間の未来は、可能性に満ちているという点で一致しています。「よりインタラクティブな音楽体験を作り出すために、私たちができることを知ることはとても興味深いことです」と、Lessél 氏は興奮気味に語ります。また、Johnson 氏は今後のプロジェクトにインタラクティブ性を取り入れることに大きな関心を示しており、過去と未来のプロジェクトの両方において、観客が参加することで引き出せるものがかなりあると見込んでいます。

Johnson 氏が CandyStations ブランドで発表した作品はさまざまなジャンルにわたりますが、彼女のプロジェクトで一貫しているのは、Unity の強力なツールを使って特徴的なデジタル空間を構築していることです。Johnson 氏いわく、Unity の最大の特徴は「遊び心と実験」であり、これが彼女に作品を作り、それを洗練する柔軟性を与えています。

機械学習と画像処理のバックグラウンドを持つ Lessél 氏は、リアルタイムパイプラインと高速なイテレーションにより、芸術的なインスピレーションが湧いたときに素早くテストを行い、変更を実装できる Unity を賞賛しています。

この記事のメインテーマである Deborah Johnson 氏のビジュアル作品『Mass for the Endangered』の全編は、YouTube で見ることができます。

Sarah Kirkland Snider 氏の『Mass for the Endangered』は、こちらからご覧いただけます。

Johnson 氏の作品については、CandyStations のウェブサイトをご覧ください。

この作品を Unity コミュニティで話題にしたい方は、World Building フォーラムをのぞいてみてください。

2022年7月26日 カテゴリ: エンターテイメント | 4 分 で読めます
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