Unity ファミリーの一員である Pixyz は、2021.1 バージョンのリリースに合わせて 2 つの新製品を発表しました。Pixyz Scenario Processor は、オンプレミス・クラウドベースのいずれかにおいて、自動化されたスケーラブルな 3D コンテンツ最適化パイプラインの作成を可能にするものです。Pixyz Loader は、あらかじめ用意されたアセットを Unity エディターまたはソフトウェアの実行時に直接読み込む機能を提供します。さらに、Pixyz Studio、Pixyz Plugin、Pixyz Review にも改良が加えられ、データの可視化および最適化の機能が強化されました。
Pixyz 製品は、チームがコンピューター支援設計(CAD)、3D および点群アセットを、ボリュームの大幅な単純化やモデルの大幅な軽量化が要求されるリアルタイム 3D、拡張現実(AR)およびバーチャルリアリティ(VR)アプリケーションで活用するための支援を行います。Pixyz のデータを中心に置いた前処理ソリューションを使えば、ファイルが多数存在し、そのフォーマット、サイズ、複雑さがまちまちであっても、元のデータソースの重要な情報を保持したまま、データのインポート、エクスポート、最適化、レンダリングを行うことができます。
Pixyz の最新のイノベーションをご紹介します。
皆さんからのフィードバックを受け、リプレースが進められている Pixyz Batch よりもシンプルでお求めやすい価格の新しい自動化・バッチツール、Pixyz Scenario Processor をお届けする運びとなりました。Pixyz Scenario Processor は、3D、CAD、点群のパイプラインを迅速に自動化したいと考えている IT プロフェッショナル、独立系ソフトウェアベンダー、制作スタジオのための製品です。
3D データ前処理を自動化する目的は、ファイルバッチに同じ最適化シナリオを自動的に再適用することで、複雑な手動処理の時間、労力、コストを削減することです。Pixyz Scenario Processor には、すぐに使える 3D 最適化・変換シナリオのセットが付属しています。CAD ファイルを .pxz ファイルや Unity のアセットバンドルに変換したり、CAD データを特定のポリゴンターゲットを持つメッシュに変換したり、点群を最適化したりすることができます。
チームは、3D ファイルをインポートし、データ前処理のシナリオに沿って処理を行い、最適化された 3D ファイルとしてエクスポートすることができます。Pixyz Scenario Processor は、このプロセスを大規模に自動化します。あらかじめ用意されたシナリオの中から 1 つを選んで処理を始めることもできますし、Pixyz Studio の Python API を使用して、シナリオを拡張したり、新しいシナリオをゼロから構築することもできます。
Scenario Processor は、AWS Marketplace 上で展開できるほか、Windows、Linux、Docker 用のスタンドアローンの実行ファイルとしても提供されます。すでに Pixyz Batch をお使いの方は、こちらのチュートリアルに従うか、営業チームにお問い合わせください。
リアルタイムアプリケーションの実行時にメッシュ、CAD、点群ファイルをインポートする機能は、産業界の開発者にとって必須の機能です。新製品の Pixyz Loader では、CAD データをアプリケーションの実行時に取り込むことが可能になりました。
これは以下のような仕組みになっています。
1. Pixyz のデータ前処理ソリューションを使用して、データを .pxz ファイルに変換する(40 種類以上のファイルフォーマットに対応)
2. Unity エディターに Pixyz Loader4Unity パッケージをインストールする
3. アプリケーションに C# コードを追加して、インポートを開始する(サンプルはこちら)
4. CAD ファイルを Unity のランタイムやエディターで .pxz としてインポートし、メタデータ、完全な製品構造、ライン、ポイント、Unity の標準シェーダーやカスタムマテリアル用の PBR マテリアル(アルベドマップ、法線マップ、ラフネスマップ、メタリックマップ、オクルージョンマップ、放射マップ)など、ほぼすべてのオリジナル情報を取得できるようになりました。
ここでは、既存の Pixyz 製品の最新のアップデートと改善点についてご紹介します。
Pixyz Review は、工業デザインやテクニカルデザインのレビューのための、高速で使いやすい 3D ビューアーです。メタデータ、製品製造情報(PMI)、シーン構造など、意味のある情報をすべて保持したまま、非常に複雑で大規模なモデルを Windows PC や VR で可視化し、モデルを操作することができます。Pixyz Review に組み込まれたコラボレーション機能により、数回のクリックでほぼすべてのモデルをスライス、分解、測定、調査、制御することができます。
工業用モデルのファイル形式は 40 種類以上サポートしており、そのすべてのファイル形式で、すべての情報を維持したまま、モデルをインタラクティブに調査することができる。
Pixyz Review は、他のデザインレビューソフトウェアやハードウェアを使う場合と比べて、顧客の組織の中でより多くの人に使っていただくことができ、数千ドルの費用を節約することが可能になります。今回の最新版では、PLMXML のサポート強化、大容量の JT ファイルのインポート、STPX と GDSII ファイルの新しいサポートなどのアップデートが行われています。
以下のすべてのアップデートは、ただ安定性を強化するというだけでなく、作業時の体験を全体的に向上させるという点に重きを置いています。
「Decimate to target function」(ターゲットへのデシメーション機能)がより直感的になり、数百万のポリゴンモデルをより速く処理し、マルチパートのアセンブリに対してバランスのとれた結果を得ることができるようになりました。この機能は、最適化のワークフローを効率化するために設計されており、特に画質を維持したままポリゴン数を減らしたい場合に有効です。
もう 1 つの新機能は、「Impostor generator」です。Impostor(インポスター)は、リアルタイム 3D 体験の背景にあるメッシュを劇的に最適化する技術で、ゲームでよく使われています。
右側のインポスターは、Quad(クアッド、三角形 2 個で構成される平面)にレンダリングされている。
これは、複数の視点から見たメッシュの複数のスナップショットマップを作成するもので、クアッド、バウンディングボックス、またはカスタムメッシュとしてレンダリングされ、3D ジオメトリをさまざまな角度から見た時の見え方をシミュレーションするものです。
インポスターを、ニーズに合わせて八面体または半八面体のいずれかにすることができるようになりました。これにより、これまで純粋な平面にするしかなかったインポスターと比較して、より本物のメッシュに近い見え方をするようになりました。
インポスターは、オブジェクトの交差、GPU インスタンシング(デフォルトで有効)、影の投影と受け取り、LOD クロスフェードに対応している。
メッシュのインポートが 20% 高速化され、領域別にスマートなマージを行う機能や、ピボット編集機能などが追加されました。また、ルールエンジンには、バウンディングボックス、三角形数、頂点数などの便利なフィルターが追加されました。
新バージョンの Pixyz Studio では、シンプルさ、効率性、パフォーマンスの 3 つを重視しています。
インポートウィザードを全面的に見直し、2、3 のパラメーターを明示的に設定するだけで、CAD ファイルをインポートするための設定が簡単にできるようになりました 。そのため、これまでのようにさまざまなインポート設定を試す必要がありません。インポートウィザードを使用すると、モデルが最適化のために正しく準備された状態になります。
最適化といえば、テクスチャ(JPEG または PNG)やファイル圧縮オプション(glTF 用の Draco)に加えて、シンプルでよりパフォーマンスの高い新しい 「Decimate to target function」(ターゲットへのデシメーション機能)を提供しています。
手動で行う最適化を繰り返し調整するプロセスを加速するために、「停止」ボタンを追加しました。これにより、長いプロセスが終わるまで待つことなく、プロセスを停止して、異なる設定や方法で再試行することができます。
今回のリリースのもう 1 つの重要な変更点は、新しいプラグインエディターです。この新しいモジュールは、独自のプラグインを作成してワークフローを高速化したり、Studio で Pixyz の機能を拡張したいと考えている開発者を支援するものです。
しかし、さらに強力な点として、プラグインを Pixyz Scenario Processor のためのオーダーメイドのシナリオとして展開することができるということが挙げられます。これは完全な自動化が必要なユースケースに対応するものです。
また、開発を容易にするために、API ドキュメンテーションをより充実させ、閲覧しやすくしました。
また、フォーマットのサポートも改善されました。FBX の法線マップは Unity による一貫したマテリアルのサポートを含み、放射マップは glTF でサポートされ、JT のインポートとエクスポートはより高品質に、より速くなり、vpb マテリアルはカスタムマテリアルとしてサポートされ、PLMXML のサポートはより安定しました。
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Pixyz 製品についての詳細や、オンラインでの試用や購入方法については製品ページをご覧ください。また、組織向けのサブスクリプションの購入についてはUnity の営業担当者までお問い合わせください。