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Unity 2022.2 TECH ストリームが公開されました

2022年12月8日 カテゴリ: Engine & platform | 18 分 で読めます
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今年最後のリリースとなる 2022.2 TECH ストリームが公開され、ダウンロード可能になったことをお知らせします。

TECH ストリームのリリースでは最新機能をいち早く体験していただくことができます。また今回のリリースは、皆さんの創造性を高めるより良いツールを作っていくために、皆さんからフィードバックをいただく機会でもあります。

最近開催された Unite ではゲーム開発者のコミュニティの皆さんに集まっていただき、DOTS、レンダリング、マルチプレイヤー開発、XR などのトピックに関するアップデートを共有し、『V Rising』、『Pentiment』、『Breachers』など、数多くの Made with Unity ゲームを讃えました。Discord では 9,000 を超えるメッセージがやりとりされ、お互い顔を合わせた形で数え切れないほどの会話が交わされました。こうして生じた交流は、Unity の未来を形作る上で非常に貴重なものです。

また、2022.1 TECH ストリームの公開以降、新しく立ち上がったフォーラムスレッドは 1,470 におよび、そこで製品に関するフィードバックが行われました。その結果、Unity Platform ロードマップには新しいノートが 3,080 件追加されました。このように皆さんからのご協力を得られたおかげで、今日のリリースにこぎつけることができました。皆さんからのフィードバックがどのように製品開発に反映されているかについては、こちらのブログ記事をご覧ください。

今年の 1 つ目の TECH ストリームと、本日の 2022.2 の 2 回のリリースをもって、今年のリリースサイクルは完了となります。これからご一緒に、2023 年の LTS リリースに向けてどのような機能が盛り込まれたかを見ていきましょう。Unity の方向性についてさらに詳しく知りたい方は、Games Focus ブログシリーズをぜひお読みください。

この記事では、今回のリリースのハイライトをいくつか紹介しますが、詳細はいつでも公式リリースノートで確認できます。

もっと野心的なゲームを作ろう

私たちが受ける要望でよくあるものは、より魅力的なゲーム体験や深く没入できる世界を作る力を与えてほしい、そしてそのような作品をこれまで扱えなかった量のオブジェクトやキャラクターを使って作る力を与えてほしいというものです。

Unity 2022.2 には、ECS for Unity(Entity Component System)というデータ指向のフレームワークが含まれており、これまでになかったレベルのコントロール能力と決定論的性質をもって、より野心的なゲームを構築できるようになっています。ECS とデータ指向の開発アプローチにより、複雑なゲームプレイのメカニクスと、リッチでダイナミックな環境をすぐに実現できます。Unity 2022.2 以降、ECS for Unity は本制作に利用な形で完全にサポートされるようになり、サポートチャンネルサクセスプランを通じて ECS をさらに活用することができます。

ECS for Unity には、Entities パッケージと併せて、NetcodeGraphicsPhysics 各パッケージの ECS 対応版が含まれています。Unity の GameObject アーキテクチャとスクリプティング標準をすでに熟知しているなら、ECS for Unity は GameObject と完全に互換性があるので、使い慣れたオーサリング体験と合理的なワークフローの恩恵を受けることができます。この特長が、すでに持っているスキルセットを活用しつつ、ゲーム体験に最も利益をもたらす場所でのみ ECS を活用するということができます。

すでに、Stunlock Studios 社の『V Rising』のように、ECS for Unity で動作する素晴らしいゲームが存在します。同社は ECS を利用することで、ゲーム内のインタラクティブなアセット数を大幅に増やし、5 平方キロメートルのスケールのマップ全体に 16 万個以上のアセットを登場させています。さらに、サーバーサイドが持っている 35 万個以上のエンティティがこの体験を支えています。

Selling over 1 million copies in their first week, Stunlock Studios successfully leveraged ECS for Unity to build their hit title, V Rising.
Stunlock Studios 社は ECS for Unity を巧みに使ってヒット作『V Rising』を制作し、初週 100 万本以上の販売を記録した。

ヘルプが必要な方、フィードバックを提供したい方、ベストプラクティスについて議論したい方、また自分のプロジェクトを披露したい方は、フォーラムDiscord の活発なコミュニティにぜひご参加ください。私たちのチームは、これらのチャンネルに定期的に参加し、皆さんからのフィードバックを注意深く拝読しています。2022 年 12 月 8 日に開催される Dev Blitz Day は DOTS に集中する回として、丸一日かけて皆さんの ECS に関するあらゆる質問にお答えします。

すべての人にマルチプレイヤーを

過去 18 か月間、Unity を使ったマルチプレイヤー体験が爆発的に増加しました。そしてゲームにマルチプレイヤー機能を追加したいが、どこから始めればいいかわからないという声を数多く耳にするようになりました。

Unity 2022.2 と共に、Netcode for GameObjects にハイライトを当てます。このパッケージを使うと、カウチ型(画面分割型)協力プレイなど数多くのシナリオに基づいたプロジェクトに、マルチプレイヤー機能を簡単に実装することができます。このパッケージは、皆さんが慣れ親しんだ GameObject ベースのプログラミング技術で利用でき、かつ低レベルの機能を抽象化するため、より少ないコードで、思い描いた通りのマルチプレイヤー体験を実現することができます。

Ship of Fools by Fika Productions is built with Netcode for GameObjects.
Fika Productions 社の『Ship of Fools』は、Netcode for GameObjects を使って開発された。

より要求の厳しい大規模なゲーム向けには、Netcode for Entities を使って ECS のパワーを活用することができます。Netcode for Entities を使用すると、パフォーマンスを犠牲にすることなく、ゲームのワールドサイズ、プレイヤー数、複雑なネットワークインタラクションを大きくすることができます。

また、Unity ゲーミングサービス(UGS)内の Multiplayer Solutions スイートで、ホスティングや通信など、マルチプレイヤーゲームの運用を支援するセルフサービス機能の提供を開始したことを最近発表しました。この技術の最新動向についてはこちらの Games Focus ブログで、UGS Multiplayer スイートについては Tarodev 社と共同で制作したこちらの UGS についての動画で、より深く理解することができます。 

スケーラブルなグラフィックス

マルチプラットフォームのスケーラビリティと高忠実度のグラフィックは、レンダリングにおいて引き続き重視されています。Games Focus ブログ「ニーズに合わせて拡張できるレンダリング」では、最高のビジュアル品質とパフォーマンスを提供する幅広いツールを活用しながら、安心して拡張できる機能を提供するための当社の取り組みについて説明しました。

私たちは、より合理的でスケーラブルなワークフローを提供することで、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)をビルトインレンダーパイプラインとの機能パリティに近づけようとしています。重要なツールとして例えば、Forward+ に取り組みました。これは、ビルトインレンダーパイプラインの Forward パスと機能的に同等で、ライトの制限数をなくし、プラットフォームをまたいでも品質を維持しつつ、スケールさせられるようにするための機能です。

Forward+ を使ってより多くのライトをシーンに組み込み、スケールさせよう

もう 1 つの重要な機能はデカールレイヤーで、シーン内のさまざまなオブジェクトについて、どのデカールプロジェクターに影響を受けるかのフィルタリング・設定することが可能です。デカールは、シーンに追加のテクスチャを追加するのに便利で、特にマテリアルとそのディテールパターンに見られる繰り返しを解消するのに適しています。

Decal Layers allow you to decouple meshes from specific Decal Projectors in your scene.
デカールレイヤーを使うとシーン内の特定のデカールプロジェクターとメッシュを切り分けることができる。

その他特筆すべき URP の機能強化として、よりスムーズなトランジションを実現する LOD クロスフェードや、既存のプロジェクトをビルトインレンダーパイプラインから URP にアップグレードするためのツールを提供するビルトインコンバーターの改良が含まれています。また、両方のレンダラーについて、シェーダーグラフの Full Screen Master ノードカスタムのポストプロセッシングを使って、レンダリング体験をパーソナライズすることができます。

Seamlessly blend between weather states and see real-time reactions across clouds, water, and lighting
天候の状態をシームレスにブレンドし、雲、水、光の反応をリアルタイムで見ることができる

HD レンダーパイプライン(HDRP)を見てみましょう。ここではさらに美しい物理ベースの環境と詳細なキャラクターを制作するための機能拡張が施されました。新しい HDRP ウォーターシステムで海、川、それに水中のエフェクトをレンダリングし、ボリューメトリックマテリアルを使ってシェーダーグラフでプロシージャルかつ局所的なフォグを作り出すことで、忠実度の高い大規模な環境を作ることができます。改良された Cloud Layers ダイナミックライティングでさらにリアルな空を作成し、異なるボリューメトリッククラウド条件をブレンドすることも可能です。

また、シネマティックレンダーをさらに進め、Eye Cinematic with Caustics と PCSS シャドウを使ってリアルなキャラクターをレンダリングすることができます。HDRP パストレーシングデノイジングでは、NVIDIA Optix™ AI アクセラレーションデノイザーと Intel® Open Image のどちらかを選択することができます。

Unity のライティング環境に関する Unite 2022 の最新セッションをご覧になれば、最新の HDRP 環境ツールを使い始めるための重要なヒントが見つかるでしょう。

生産性の向上

創造的な取り組みは決して一直線に進むようなものではなく、素早い改善を繰り返し重ねていく取り組みであることを私たちは理解しています。このリリースにはオーサリングの新機能とワークフローの改善が盛り込まれ、生産性を向上させることができます。

例えばプレハブシステムは、シーン内のプレハブインスタンスや他のプレハブにネストされているプレハブインスタンスに対してプレハブアセットを素早く交換する機能など、多くのアップグレードが施されています。詳しくは、このトピックに関する最新のブログをご覧ください。

Replacing a Prefab Asset for a Prefab instance in a scene
シーン内のプレハブインスタンスのプレハブアセットを置き換える

環境構築の高速化については、Terrain Tools パッケージペイントディテールブラシで、ディテールの種類ごとに密度を設定した上で、複数のタイプのディテールを同時に散布できるようになりました。さらにディテールの密度やその他のいくつかの地形に関する設定は Quality 設定でオーバーライドできるようになり、プラットフォームのパフォーマンス目標を達成する際の助けとなります。

Simultaneously scattering multiple types of details with the Paint Detail brush in Terrain Tools
Terrain Tools のペイントディテールブラシを使って複数種類のディテールを同時に散布する

また、スプライン関連の改良されたツールや API 機能を使って環境内のパスをより正確に描画することができるようになりました。これで、川、道路、カメラトラック、その他のパス関連の機能やツールをより効率的に構築することができます。この仕事を完成させるために、ここ数か月ワールド構築フォーラムで私たちと関わってくださったすべての方に感謝します。API 機能の詳細については、ドキュメンテーションをご覧ください。

最後に、AI Navigation パッケージが利用可能になりました。これで 3D キャラクターに素早く知能を持たせ、手動でルールをコーディングすることなく、ゲームの世界で動かすことができます。また、サンプルも同梱されているのですぐに使い始めることができます。詳細はフォーラムを、また、これからの計画についてはロードマップをご覧ください。

拡張性のあるエディター

Unity 2022.2 では、エディターのカスタマイズについて UI Toolkit は IMGUIと同等になり、エディターツールの推奨ソリューションとなりました。これは、より良い関心の分離、より柔軟なレイアウト、および高度なスタイリングが可能になったことを意味します。UI Toolkit で生成されたデフォルトのインスペクター、移植された共通のビルトインのプロパティドロワー、マルチカラムをサポートする TreeView コントロール、新しいベクター描画 API などのアップデートにより、このリリースは、IMGUI とのパリティを達成するだけではなく、ランタイムでのユースケースもサポートします。

Using UI Toolkit for building custom Editor tools and extensions
UI Toolkit を使ってカスタムのエディターツールやエディター拡張を開発する

ランタイムの現状についてもっと知りたい方に向けて、サンプルがもっと見たいという皆さんからのご意見をもとに、UI Toolkit を使ったフル機能のインターフェースを示した新しいプロジェクトを先日公開しました。こちらの記事で詳細をご確認ください。

UI Toolkit を使ったカスタムツールの開発方法をステップバイステップで説明する最近の Unite セッションをご覧いただくと、開発を始める上での助けとなるでしょう。また、最近リリースされた Editor Design システムでは、直感的な体験を構築するためのガイダンスをご覧いただけます。

プラットフォームの統合および最適化

CPU performance test results for heavy draw call submission, DX11 vs DX12
重いドローコール送信に対する CPU パフォーマンステストの DX11 と DX12 における比較

大規模な作業やテストを行い、数多くのコミュニティのフィードバックに耳を傾けて取り組みを重ねた末に、ついに DirectX 12 グラフィックスバックエンド(DX12)が Unity 2022.2 のリリースより実験的機能から正式版に移行することになりました。プロジェクトにもよりますが、特にドローコールの多いシーンでは DX11 と同等かそれ以上のパフォーマンスが期待できるようになりました。

これはパフォーマンスと安定性への多大な投資の結果であり、またこの移行によって DX12 が Windows および Xbox 向けに開発する場合の推奨グラフィックス API となります。また DX12 は、Xbox ゲーム開発で利用可能になったリアルタイムレイトレーシングなどより高度なグラフィックス機能のための基礎を築くものです。DX12 の完成にご協力いただいた皆さんに DX12 をお送りできることをこの上なく嬉しく思いますし、またこれ以上ない感謝をお送りいたします。皆さんが素晴らしいゲームを生み出すことを楽しみにしています。

 

インディアーティストの Sakura Rabbit 氏がレイトレーシングと DX12 を使って生み出した、リッチなリアルタイムシーン。

新しいプラットフォームへの対応だけでなく、デバイスをターゲットにした場合の開発プロセスの簡素化や改善を望む声も引き続きいただいています。もしブログ記事「Games Focus:複数のプラットフォームとフォームファクターをまたいで、より多くのプレイヤーにリーチする」をまだご覧になっていない方は、この機会にぜひ目を通してみてください。この記事では、現在皆さんが利用できるものと近い将来に提供される予定のものの両方について詳しく説明しています。

XR 制作を簡単にする

Vinci Games’s Blacktop Hoops (available on SteamVR and Quest AppLab) used Unity XRI as the base for their input controls.
Vinci Games 社の『Blacktop Hoops』(SteamVR と Quest AppLab で入手可能)は、入力制御のベースとして Unity XRI を使っている。

Unity XR Interaction ツールキット(XRI)により、クロスデバイスの XR 制作がよりシンプルになります。XRI は、掴み、ホバー、選択、およびオブジェクトへのインタラクションが可能であることを示すビジュアルフィードバックなど、さまざまなコントローラーで動作する共通のインタラクションのためのフレームワークを提供します。XRI はバージョン 2.2 となり、同時に複数の位置を掴む操作のサポート、新しいロコモーションメソッド、そして Starter Assets サンプルパッケージですぐに使えるプレハブのコレクションが追加されています。

先日、VR バスケットボールゲーム『Blacktop Hoops』のクリエイターを招き、Unite 2022 の基調講演で入力コントロールのベースとして XRI をどのように使ったかを話してもらいました。詳しくは、XR のセグメントをご覧ください。

また、AR Foundation をバージョン 5.0 にアップデートしました。このアップデートでは、開発時間を短縮するための 2 つの重要な機能が追加されました。1 つ目はシミュレーションで、再生モードを使ってエディターで AR アプリをテストできるようになり、これまで AR 開発者がよく感じていた不満に対応するアップデートです。また、新しく AR Debug Menu がプレハブとして追加されました。これを使ってデバイス上で利用可能な構成を表示し、平面や点群位置などの AR サブシステムデータを視覚化するために使用することができます。

Meta Quest Pro、PlayStation®VR2、Magic Leap 2 などの主要なプラットフォームのサポートの追加にも引き続き取り組んでいます。

さらに TECH ストリームの情報を得たい方へ

Unity 2022.2 TECH ストリームについてさらに情報を得たい方は、リリースノートで機能の包括的なリストを、また Unity マニュアルでドキュメンテーションをご確認ください。ご利用に際して、各 TECH ストリームリリースは次のリリースが行われるまで毎週のアップデートによりサポートされること、新機能の長期サポートは保証されないこと、また新しいバージョンにアップグレードする前に必ずバックアップを取ることを覚えておいてください。アップグレードガイドは、新しいバージョンを使う際の一助となります。制作中のプロジェクトにおいては、安定性とサポートの観点から、Unity の長期サポートリリースをご利用されることをおすすめします。

引き続き対話しましょう

各 TECH ストリームは、新機能へのアクセスをいち早くご提供するだけではなく、皆さんからのフィードバックを通じて今後の技術開発の方針を形作る機会でもあります。どのようにすれば皆さんや皆さんのプロジェクトに最適なサービスを提供できるか、ぜひお聞かせください。Unity フォーラムで私たちが皆さんの要望に応えられているかお知らせいただければ幸いですし、Unity プラットフォームロードマップを通じて製品チームに直接フィードバックをシェアしてくださっても構いません。また、Twitter をフォローしていただき、12 月上旬に開催される Unity の Twitch でのラウンドテーブルの情報をチェックしましょう。

このリリースで、2022 年の開発サイクルは終了です。来年は野心的な目標を掲げており、それについては Games Focus シリーズでお読みいただくか、Unite のロードマップセッションをご覧いただき、内容をご確認いただければと思います。皆さんのご支援に感謝するとともに、これからも皆さんと一緒に歩んでいきたいと思います。

2022年12月8日 カテゴリ: Engine & platform | 18 分 で読めます

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