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黒人の歴史と癒しを探る『The Changing Same』の制作者たち

2022年2月16日 カテゴリ: ゲーム | 9 分 で読めます
The Changing Same, Episode 1 backlot
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より多くのクリエイターがいれば、世界はもっと良い場所になるはずだと私たちは信じています。私たちの使命は、多様な開発者のコミュニティに力を与え、コミュニティの人々が必要とするツールやリソースを提供し、そのビジョンを実現する手助けをすることです。

このブログでは定期的に才能ある黒人クリエイターにスポットを当て、彼らのストーリーを紹介していますが、2 月は「黒人歴史月間」として、黒人文化の豊かさや世界中の黒人の生きた体験に浸ることを呼びかけています。

この重要な月を記念して、Michèle Stephenson 氏、Joe Brewster 氏、Yasmin Elayat 氏にインタビューを行いました。彼らは、Unity の技術を活用して、没入型のエピソード形式のバーチャルリアリティ体験である『The Changing Same』を制作しました。この体験は、タイムトラベルとマジカルリアリズムを用いて、米国における反黒人暴力の歴史を探るものです。

The Changing Same team with a green background

Unity はどのようにして『The Changing Same』を構成するパーツとなったのでしょうか。

Joe は、Rada Studio にある彼のチームが社会起業家やその他のソーシャルイノベーターに投資し、つなぎ、支援することで、変革をもたらす社会的変化をサポートする財団、Skoll Foundation から助成金を受けた後、Unity に出会いました。Joe のチームは当初、『The Changing Same』を 15 分のドキュメンタリーとして制作することを想定していましたが、助成金を得たことでスコープを広げ、物語を伝える他の形のメディアについても検討することができました。そこで Unity が、共同開発者である Yasmin Elyat 氏とともに登場しました。

Yasmin は、自身の会社 である Scatter で Unity を使った経験を持っていました。Scatter はエミー賞を受賞したクリエイティブスタジオで、ボリューメトリック映像制作の先駆者であり、アクセシブルなボリューメトリック動画キャプチャのためのツールキットとして最も広く使用されている Depthkit を開発しています。Depthkit は、プラグインと拡張パッケージの形で Unity と統合されており、クリエイターはこれを Unity のVisual Effect Graphシェーダーグラフと組み合わせて使うことができます。

最初に触れたのは Scatter のボリューメトリック映像制作の仕事でしたが、この中で「ノンリニアな 3D ストーリーテリングの可能性に興奮しました」と Michèle は言います。その第一歩として、チームは Planned Parenthood ブランドの 2D ショートフィルムを制作しました。Unity を使って、3 人の女性の物語、そして彼女たちが母親になることについて下す本質的な決断についての物語を描きました。「このプロジェクトのおかげで、より大規模で複雑なプロジェクトである『The Changing Same』の制作に向けて、Unity に慣れ親しむことができました」と彼女は付け加えました。

A person wearing a long, white dress

プロジェクトのきっかけは何だったのでしょうか。なぜこれを作ったのですか。

Joe は、「ストーリーテラーとしての私たちの仕事は、米国の物語から排除された人々の声を伝えることにあります」と語ります。「私たちは、多文化共生の民主主義国家、つまり誰もが潜在的な貢献者であるとみなされる国家になるという夢を実現するために、こうした人々の貢献を称えなければなりません」。

さらに Michèle は、ストーリーテラーとして、「あらゆる体験型プラットフォームで、目撃し、暴露し、刺激を与えることが義務であると考えています。歴史は今に存在しています。そして、すべての芸術は政治的なんです」。彼女は、Unity の仕組みによって、3D 空間の中で流れる時間についていろいろと試すことができ、それがチームの創造的な情熱にぴったりはまったと言います。

「すべてに目的があります。その目的とは、私たちが過去を背負って立っていることを示すことです。今、私たちが経験していることは、私たちの祖先が 300 年前、400 年前に経験したことのバリエーションです。私たちは、自分たち自身を癒すプロセスの一環として、この声明を出さざるを得ません。また、抑圧的な構造は存続しているが、私たちは未来を変えることができるということを認めなければなりません。これが、私たちが長い時間のかかる協働的な活動を始めた理由です。私たちは 3D というフォーマットに引き付けられ、そして私たちと私たちのコミュニティが、このように時間と空間を反転させてそれに立ち向かい、未来の世界を自分たちで変えていく方法を創造的に考えるための手助けをしようとしています」。

自分たちのプロジェクトを体験する人に持ち帰ってもらいたいものは何ですか。

Joe は、あらゆる年齢層の米国人やメディアメーカーに刺激を与え、黒人コミュニティに帰属意識と誇りを植え付けることがこのチームの目的だと説明しました。また、Michèle は、プロジェクトを体験する人々が、「過去と現在を結びつけて、黒人たちの経験が現在どのように生きているかを心で感じてほしい」とも語っています。

Dark scene of a tree-lined path leading towards light.

Unity の技術で何ができるようになったのでしょうか。

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Yasmin は、プロジェクトの開発と創造的なビジョンの実現が、Unity のツールによって可能になったと述べています。『The Changing Same』チームは、プロジェクト内でホタルを作成したり、ボリューメトリックにキャプチャされた Depthkit キャラクターにカスタムエフェクトを追加したりするために、新しいワークフロー、独自のレンダリングパイプライン、Unity の Visual Effect Graph をブレンドする機能などを必要としていました。

The Changing Same』チームは、タイムトラベルの幻想的な表現を 3D で実現するために、Unity のレンダリングパイプラインをカスタマイズしましたが、これはプロジェクトの中で達成された、最も複雑な技術的成果の 1 つでした。「タイムトラベルの仕組みのコンセプトは、緑豊かな 3D 環境の中にいると世界が壊れて引き裂かれ、そこから境界で仕切られた宅地の環境が現れ、ユーザーは 400 年に及ぶ黒人の歴史を示すシンボルや、重要な瞬間の中を飛んでいくというものです」と Yasmin は説明します。「ユーザーが今いる世界に 2 台、次に出現する世界に 2 台、常に 4 台のカメラを同時にレンダリングしています。この仕組みは今までの VR にはなかったもので、ユーザー体験として、とても説得力があるものです!」

Landscape with trees, a car near a house with a red light

Unity for Humanity の「Black Visions」助成金が可能にしたものは何ですか。

助成金のおかげで、『The Changing Same』チームは無事制作を完遂し、2021 年のトライベッカ映画祭で発表されたインスタレーションを作り上げることができました。音とビジュアルによる直感的な体験により、同映画祭の「Best Immersive Experience」賞も受賞しています。

「『The Changing Same』の VR 体験、またアフロフューチャリズム全般がそうですが、これらは希望の表現なんです。私たちはこれまでも恵まれていたし、これからもそうであるという事実を認めるということです。そして、それは私たちの誇りの源となるべきものです。こうしたつながりを生み出すためには、過去・現在・未来のすべてを通っていく必要がありますが、この作品は「現在」がテーマです。そのすべてを見ることができるようになると、この 350 年が素晴らしいものであったことが実感できます。私たちはこれまで耐えてきたすべての障害を乗り越えてここまで来れたのです。ならば、この先に何ができるか想像してみてください」。Joe はこのように語ります。

A police car driving on a tree-lined street.

自分の価値観や使命をどのように仕事に反映させていますか。

Michèle は、作品を自分の価値観や使命と照らし合わせることを意識的に行い、妥協しなければならないかもしれない点について検討するよう努めています。「これは自分の仕事の原動力となる目的意識を失わないために毎日行っている訓練なんです。もし日常的にチェックしていなければ、望ましくない、あるいは予期しない形での妥協をしてしまうリスクが出てきます。自分の独立性、誠実さ、そして真のビジョンを、アーティストとしての活動の中心に据え続けることは、緊張と戦いの連続です。どうしても妥協するところは出てきてしまいますが、ではどこを妥協するのか、その妥協はどのくらいのコストとなるのかについて、常に深い問いかけが必要です」。

今後、どのような活動をしていきますか。

The Changing Same』は、複数のエピソードからなるシリーズものです。第 1 弾はすでにリリースされており、ここで予告編をご覧いただけます。

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「強力なストーリーテリング、妥協のない主題、技術面でのイノベーション、そして私たちがデザインした世界の美しさなど、エピソード 1 については、私たち全員がとても満足しています。今後のエピソードを皆さんにお届けするのが待ちきれません!」と Yasmin は付け加えました。

チームは現在、エピソード 2、エピソード 3 のための資金調達を行っているということです。今後のエピソードの最新情報が気になる方は、Rada のニュースレターにご登録いただき、『The Changing Same』のクリエイターを Twitter アカウント、@2Joedigital、@Michele0608、@yelayat をフォローしましょう。

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The Changing Same』を体験する人々は、その革新的な VR フォーマットを通じて、米国における人種的不公平の現在にまでつながる歴史を目撃することになります。常に気を配るべきことではありますが、特に黒人歴史月間の期間中は、黒人の歴史に敬意を表し、過去と現在における人種的抑圧の絶え間ないサイクルを検証することが不可欠です。

2022年2月16日 カテゴリ: ゲーム | 9 分 で読めます

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