カーネギーメロンタイランド(CMKL)は、カーネギーメロン大学(CMU)と Unity アカデミックアライアンスのメンバーであるモンクット王ラカバン工科大学(KMITL)のコラボレーションを通じて、2017 年に設立されました。CMKL は、最先端の教育を提供し、世界レベルのパートナーシップを現地に導入することで、テクノロジーをより身近なものにし、タイ、東南アジア地域、そして世界に向けてイノベーションを推進しています。CMKL では、さまざまなプログラムを通じて、将来の発展のために必要な課題に取り組んでいます。
エンターテイメントイノベーションセンター(EIC)は、ユニークで学際的な、テクノロジー・クリエイティブイノベーション専攻の理科系の修士課程(MSTCI)を設置しています。これは以前、エンターテイメントイノベーション専攻の理科系の修士課程として設置していたものです。このプログラムではプロフェッショナルの世界を重視しており、アート、デザイン、エンジニアリング、テクノロジー、ビジネス、マネジメントの各分野から優秀な学者や専門家を集めています。カリキュラムは、即興的な演技から、Unity やその他の拡張現実(XR)技術を使ったバーチャル世界の構築まで、多岐にわたっています。EIC の学生は、このプログラムを通じて、コラボレーション、問題解決、コミュニケーション、そしてリーダーシップについて学びます。
学生は通常、MSTCI プログラムがカバーする分野から専攻する分野を選び、4 セメスターを費やして他の分野の語彙、価値観、作業パターンも含めて徹底的に学びます。これは、他者の創造性を認め、理解することが、イノベーションの原動力になるという考えを前面に押し出したものです。EICでは、以下のような構成の学生を目指しています。
多様なバックグラウンドを持つ学生が、クリエイティブな開発と技術的なスキルのトレーニングを含む厳しいカリキュラムを通して、創造性と分野を超えたコラボレーションを必要とするプロトタイプや実際に動く概念検証の開発のために、最高の仲間を集めたグループ内で協力し合います。最終的な成果物は、モバイルアプリ、変革をもたらすゲーム、パフォーマンス、展示、プロダクト、XR 体験、または毎年開催される EIC Playground で紹介される成果物などが想定されています。
プログラムディレクターである Natasha Patamapongs 氏が率いる MSTCI プログラムでは、学生は 2 つのコースで Unity を使って制作する機会があります。すなわち、クリエイティブテクノロジストで技術起業家でもある Kamin Phakdurong 氏が指導する「Building Virtual Worlds」と、Unity 認定インストラクター で XR スペシャリストの Jeremy Luisier 氏が教える「Building Virtual Worlds II」です。どちらもエンターテイメントテクノロジーセンターの共同設立者である Randy Pausch 氏による、画期となった同名のコースをモデルとしており、学生は Unity やその他のソフトウェアを使って実際に動くプロトタイプを迅速に、クリエイティブに、そして協力して設計することに挑戦します。Building Virtual Worlds を受講する学生は、他のさまざまなエンターテイメントメディアでの制作物やプロジェクトに触れ、その成果は数百人の観客を集める公開フェスティバルで発表され、素晴らしい達成感を得ることができます。実際、Building Virtual Worlds で生まれたアイデアの多くは、フルタイムの研究プロジェクトや学生によるスピンオフ、商業的成功につながっています。現在、学生たちが Unity でどのような取り組みをしているのか、見てみましょう
Natcha Lohasawad 氏の『Virtual Reality Auditorium』は、人前でのスピーチや即興でのスピーチ練習のためのアプリケーションで、Unity XR Interaction Toolkit を使って開発されました。ジャーナリズムおよびマスメディア専攻の学部を卒業したばかりの Natcha は、バーチャル環境での練習を通して、人前で話すことへの恐怖心と向き合おうとしています。この Unity VR アプリケーションでは、ユーザーはまるで本当に舞台裏からセンターステージのスポットライトが当たる場所まで移動しているかのような感覚を味わったり、マイクを持って話す練習をしたり、ハンドジェスチャーを使いこなすまで練習したりすることができます。練習用のトピックが必要な人には、Natcha の『Virtual Reality Auditorium』が、有用なプロンプトを提供してくれます。このアプリでは、ライティングスキームに色彩心理を巧みに取り入れており、環境の各エリアに独特の雰囲気を与えています。次はピエロに出会った時の身体から力が抜けるような恐怖も克服できるようなアプリケーションでしょうか。彼女が今後世に送るアプリケーションを見るのが本当に楽しみです。
Aratchporn Chaladol(Mint)氏は、『ThamLuang Cave』と名付けた、体験型・対話型の VR ドキュメンタリーを制作しました。これは、2018 年 6 月 23 日に 12 人の少年がサッカーコーチとタイのチェンライ県に探検に行き、洞窟の奥深くに閉じ込められてしまった時の様子をユーザーに理解してもらうための作品です。タイラットテレビ・チャンネル 32 のニュースキャスターで芸術学部出身の Mint は、泥や水であふれるタイのモンスーンシーズンに洞窟に赴く危険性をユーザーに伝えています。Mint は、Unity Learn の Create with VR コースなどのリソースで学ぶことから始め、サスペンス、ヒロイズム、喪失感に満ちたこのパワフルな物語を真に没入感のある形にするために、レッスンを重ねていきました。彼女は、最初のメインシーンである「The Entrance: Chamber 3」のインパクトのあるプロトタイプを完成させました。今後、新たな Unity シーン(「Choke Point」「The Kids」)の完成にも期待がかかります。
Jakarin Sirikulthorn(X)氏は、Unity とバーチャルリアリティを使って、子供たちにリサイクルについて楽しく教えるための『Recycle VR』というゲームを制作しました。このゲームでは、X の 3D モデリングとテクスチャリングの能力を示すカラフルなオブジェクトに加え、Unity アセットストアから厳選したアイテムを使用しています。このゲームでは、子どもたちはアイテムを正しいゴミ箱に投げ入れてポイントを獲得します。成功したか失敗したかに合わせて、風変わりで魅力的なサウンドエフェクトが再生され、体験を盛り上げてくれます。工業製品のデザインと投資情報学のバックグラウンドを持つ X は、最近博士課程に入学したばかりです。今後は、スマート農業やドローンの自動化などにも取り組んでいくとのことで、これから彼がどのような Unity XR アプリケーションを世に送り出していくのか、期待が高まります。
Ludwik Bacmaga(Ludi)氏は CMKL の Unity 開発者で、学習管理システムのゲーミフィケーションに取り組んでいます。Ludi は自らのプロジェクトで、ホラーテイストのバーチャル世界にパズルを配置した脱出ゲームを制作しました。この Unity アプリケーションは、小さな空間に大きな環境があるような感覚をユーザーに与えます。彼は「バグはない、あるのは機能だけだ!」とジョークを飛ばしています。たとえば、パズルのパネルがユーザーのところにやってくるという革新的なインタラクションシステムを採用して、狭い空間の雰囲気を前面に押し出した体験を提供しています。Ludi は、古典的ホラーのセンス(そこにあるものがゆっくりと見えてくる)と現代的な様式美を組み合わせた、魅力的な二面性を表現しています。Ludi のプログラミングスキルと XR の専門知識が、このプロジェクトをどのように進化させていくのか、続報を楽しみに待ちましょう(ただ、ピエロは勘弁してください)。
Gunyootapong Nopakun(Barge)氏は、10 代の頃にヒップホップ音楽を作り始め、その情熱はテレビ番組のホストやラジオ DJ としてのキャリアにつながっていきました。彼は自身の Unity VR プロジェクトにおいて、自分のメディア制作のスキルを活かして 1990 年代のノスタルジアに浸れる没入型体験を作り上げました。バーチャルルームでは、当時人気だった曲を聴いたり、厳選された 90 年代の映画クリップを見ることができます。周りにあるおもちゃや、壁に貼られたポスターから、まさにここは 90 年代と感じることのできる部屋になっています。Barge の溢れる才能は、彼がこれからも過去と未来をつなぐ達人であり続け、また将来 Unity 認定インストラクターになるかもしれないとも思わせるほどのものです。
Witchuporn Jingjit(Volt)氏は、5 歳でバイオリンを始め、その数年後には演奏活動を開始したエネルギッシュなバイオリンのヴィルトゥオーゾ(名人)です。Volt は、音楽への愛を Unity VR プロジェクトに持ち込み、伝統的なジャムセッションを模倣した体験を作りました。バークリー音楽大学出身の Volt が Logic Pro X で作成したハーモニーを Unity に取り込んで、バーチャル楽器でユーザーが演奏するというものです。ハーモニーが整った状態で、ユーザーは即興でソロを奏で、VR の中で「ジャム」することができます。微笑みの国からやってきたこのフレンドリーな若きバイオリニストの未来は希望に満ちています。それは彼の Unity XR プロジェクトのこの先の開発についても同様でしょう。
Dhanadhat Trairatwongse(Marwin)氏は、インテリアデザインの学位を取得し、照明デザイン会社で働いた後、テレビプロデューサーになりました。Marwin は、自身の Unity VR プロジェクトにおいて、照明に携わった経験、制作スキル、そしてこれまで親しんできたホラー映画やゲームの要素を結集させた作品を作ることにしました。彼は、ジャンプさせるだけのゲームを飛び越えて、ユーザーが自分自身が現実だと思っているものを疑うような体験をさせたかったのです。彼のバーチャル世界は、暗くて不気味な屋敷の探検をしているうちに、ユーザーが親近感を覚えるようにデザインされています。屋敷に出没する恐ろしい妖怪たちに遭遇しながら展開していき、雰囲気のあるサウンドが超自然的な体験を引き立てます。待って、最後に見たときには机はそっち側にあったっけ?どうだったっけ?Marwin は何も教えてくれません...
Vich Sanardharn(Ray-O)氏は、クリエイティブディレクター、エディター、音楽愛好家、インストラクター、脚本家、そして体験型デザインと人助けに情熱を注ぐ人生の愛好家です。Ray-O は、自身の Unity VR プロジェクトで人々の生活に重要な足跡を残すような体験を作りたいと考えていました。このアプリケーションは、荒涼とした空間であることからその名がついた「Land of Nowhere」にユーザーを連れて行きます。そしてユーザーはそこで価値観や対人関係について自省しながら、創作活動を行います。この体験は、ミニチュアのおもちゃと色のついた砂を使って自分の小宇宙を構築するサンドトレイセラピーが基になっています。作成されたシーンは、ユーザーの人生を反映したものであり、葛藤を解消し、障害を取り除き、自己受容をする機会を与えてくれます。私たちはこのコンセプトや、Ray-O が次に何をしようとしているのかに非常に関心を持っています。
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CMKL と EIC の提供する MSTCI プログラムに興味がある方は、こちらのページでカリキュラム、奨学金、よくある質問などの詳細をご確認ください。
KMITL のような Unity アカデミックアライアンスのメンバーになることに興味がある教育関係者の方は、こちらのページでプログラムとその利点の詳細をご確認ください。
Unity 認定インストラクターになりたいと思われた方は、こちらのページをご覧になり、ご自分が Unity クリエイターにどのような影響を与えることができるかを考えてみてください。
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