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Changemakers Showcase:『Gibbon: Beyond the Trees』のゲームディレクター、Felix Bohatsch 氏へのインタビュー

2022年8月5日 カテゴリ: コミュニティ | 15 分 で読めます
Unity Changemakers Showcase with Felix Bohatsch, CEO of Broken Rules
Unity Changemakers Showcase with Felix Bohatsch, CEO of Broken Rules

世界中のクリエイターが、Unity を使って想像力を膨らませ、世界をより良い場所に変えています。Changemakers Showcase は、クリエイターたちの物語を共有する場です。『Gibbon: Beyond the Trees』のゲームディレクターである Felix Bohatsch 氏にお話を伺いました。Apple Design Award を受賞したこのゲームのアイデアを思いついた経緯や、テナガザルの密猟や熱帯雨林の破壊に対する意識を高めるための動機について、詳しく聞きました。

Felix Bohatsch 氏は Broken Rules 社の CEO です。生まれついてのインディー気質で、2009 年に学校を卒業した後、Broken Rules 社を設立しました。世界中の人々に感動を与え、ゲーム機を置いた後もプレイヤーの心に長く残るようなゲームを作ることが大好きです。最近では、『Gibbon: Beyond the Trees』と『Old Man's Journey』のゲームディレクターを務めました。この 2 作は両方とも Apple Design Award を受賞しています。

リアルタイム 3D に興味を持たれたきっかけは何ですか。

ゲームを作ったことです。ゲームの素晴らしいところは、学際的であることです。ビジュアル、インタラクション、ナラティブ、オーディオの各分野のデザインが混在しているため、非常に多様な人々と仕事をし、さまざまな課題に取り組まなければなりません。その取り組みに飽きることはありません。そしてすべてが一体となり、部分の総和以上のインパクトのあるゲーム体験ができたとき、本当の美しさを感じられます。

成功するために必要なネットワーキングやコミュニティの発見、人脈作りはどのように行ったのでしょうか。途中で困難にぶつかったりしませんでしたか。

私たちの最初のゲーム『And Yet It Moves』は、学校で取り組んでいたプロジェクトから生まれ、IGF 2007 の Student Showcase に選ばれました。GDC2007 に招待されたことで、インディーゲーム開発者の素晴らしいコミュニティがあることを知りました。このコミュニティはフレンドリーで親切で、そしてそこに面白い人たちがたくさんいます。それ以来、私たちは定期的にカンファレンスやショーケースを訪れ、新しく会う人、古くから知っている人の別を問わず、いろいろなインディー開発者仲間に出会っています。彼らと一緒に過ごすのは、いつだって素晴らしいことです。

世界を変えたいと思ったきっかけは何ですか。

どのゲームもプレイヤーに何かを教えてくれるものだと思いますし、私たち開発者は、デザイン上の意思決定のひとつひとつを通して、プレイヤーとのコミュニケーションを図っています。

「また、ゲームを作るのは本当に大変で、多くの時間とエネルギーが必要であることも知っています。だから、この時間を賢く使って、私のゲームのオーディエンスに考えてもらう価値があると思えるトピックに集中したいのです。」

Gibbon: Beyond the Trees』のことを詳しく教えてください。

Gibbon: Beyond the Trees』は、大自然の美しさと人間の文明の破壊的な力について描いた、希望に満ちたゲームです。このゲームはテナガザルの視点でテナガザルを操作して、東南アジアのジャングルをイメージしてプロシージャル生成されたジャングルを進んでいくというものです。テナガザルの持っている動きのセットを使って、この美しい世界を探索することが目的です。

その根底にあるのは、「テナガザルのようにジャングルの中を飛び回れたらどんなにかっこいいか」ということです。そして、私たちはテナガザルやその生息地である美しいジャングルに興味と驚きを感じていたので、この生息地がどんどん破壊され、世界からテナガザルが少なくなっていることを人々に伝えたいと思ったのです。このゲームはテナガザルを題材にしていて、その生息地が破壊されていることがいかに悲しいかを伝えるものではありますが、このゲームのテナガザルは、生息地を失い、この世界から絶滅に追いやられている他のすべての素晴らしい生き物を代表しているのです。

「プレイヤーにテナガザルの立場になってもらい、生息地や仲間の生き物を失うことの意味を感じてもらうことが本当の目的です。」

Rainforest scene with a waterfall in the center.

このゲームのアイデアはどのように生まれたのでしょうか。

私は自然から、特に動物から、その動きからインスピレーションを受けます。私は昔からテナガザルが好きで、動物園で一番好きな動物でした。そして、テナガザルのビデオやドキュメンタリーを見るようになり、その俊敏さと優雅さに惚れ込んでしまったのです。木々の間を飛び越え、揺れ、ぶら下がり(腕を使って枝から枝へと揺れ動く)、そして本当に速いのです。そこで、「これはゲームにしたらクールだ。テナガザルのようにジャングルを移動する感覚を味わえるゲームを作れないか」と本気で考えたのです。

それが最初のきっかけで、Clemens Scott(『Gibbon: Beyond the Trees』のクリエイティブディレクター )と私は『Gibbon』の制作を真剣に考え始め、調査を始めてすぐに、テナガザルは絶滅危惧種で、その生息地がどんどん破壊されていることがわかったのです。そこで私たちは、「この世界でテナガザルの生息地が破壊されていることを知りながら、美しい風景やエキゾチックなジャングルの中を楽しく飛び回り、すべてがみずみずしく素晴らしい風景を見て楽しむ現実逃避のためのゲームを作るだけで済ませるわけにはいかない」と考えました。すぐに、これをゲームの一部としなければならないとはっきり認識しました。

「フローベースの動きのシステムと、このフローにプレイヤーを巻き込むこと、これらの動きのシステムの美しさと優雅さを本当に追求したゲームを作るという、デザインの挑戦としても気に入っています」。

そして一方で、テナガザルの生息地が破壊されていることを伝え、生息地を失ったときの気持ちをプレイヤーに感じさせ、それらをゲームとかみ合わせるのです。

Gibbons and birds soaring around a building on stilts in the rainforest.

制作中に最も苦労したことは何ですか。

私たちが本当に苦労したのは、テナガザルの住む世界と、その生息地や周辺に住む人々を、敬意を持って、かつ真実に即して描写することだったと思います。これまでは、自分たちがよく知っている舞台や、身近にあった舞台をモチーフにしたゲームを作ってきました。そこで、東南アジア、特に行ったことのないボルネオ島をモチーフにしたゲームを作りたいと思ったのです。もちろん、最初は現地に行きたいと思っていたのですが、開発予算やスケジュールがかなりタイトで難しいなと思っていたところに、さらに COVID の流行がありました。

「私たちは NGO(非政府組織)とコンタクトして、現場でテナガザルや熱帯雨林破壊の問題に取り組んできた人々に話を聞き、そこからできる限り学ぶことにしました。」

まずゲームのビジョンを伝え、そしてひたすら彼らの話を聞くことにしました。テナガザルのリハビリテーションに力を入れているタイの「Gibbon Rehabilitation Project」の話も聞きました。なぜ密猟されるのか、プロジェクトがどのように回るのか、テナガザルを森に戻すチャンスがいかに小さいか、また、テナガザルの生息地での暮らしぶりも知ることができました。私たちは、Rainforest Rescue と話し、世界の中でも特にボルネオでなぜ熱帯雨林の破壊が進んでいるのか、そして現在では伐採よりも、主にパーム油農場にする農地や採鉱のために森林を焼くことが多いことを彼らから学びました。

Nighttime scene of people gathered in a tented shelter in the rainforest.

そして、Bruno Manser Fonds に話を聞きました。この団体はスイスの NGO で、先住民に力を与え、土地の権利のために戦うことを支援しており、ボルネオ島の先住民であるペナン族に焦点をあてています。そのため、『Gibbon』の中で最初に出会う人々は、実はペナン族に影響を受けたキャラクターとなっており、ジャングルと調和して生きているという描かれ方をしています。

1 年、あるいは 2 年が過ぎた後、私たちはもう一度 NGO に連絡を取り、彼らに私たちの進捗を共有しました。なぜなら、私たちが最も恐れていたことのひとつは、西洋人、ヨーロッパ人、あるいは北米の人としてこのゲームを遊んでいる私たちが、「東南アジアの人たちが森を破壊している」と思ってしまうことで、それは私たちが本当に語りたいことではなかったからです。私たちは東南アジアの人々に森林破壊の責任を帰してしまうことだけはやりたくなかったのです。こうした事態を避けるために私たちはいくつか仕掛けを施しました。1 つは、ゲームに登場する破壊行為を働くエージェントがすべて肌の色や服装が違うようにし、本当に世界中から来たように見せたこと、そしてそこで使われている機械や農場、精製所がものすごく大きく、その地域の会社では用意できないものだと思わせるようにしたことです。本当にグローバル化された産業によって森林が破壊されているのであり、地域の問題ではなく、世界中が互いにつながって起きている問題なのだと感じてもらえるようにしたのです。NGO の協力がなければ、このようなことはできなかったでしょうし、プロジェクトの最後には、東南アジアの人々や文化を尊重した形で描いているかどうか、カルチュラリゼーションの専門家に相談することもありました。

今後、最も楽しみにしていることは何ですか。

これまでのゲームバブルの外側にいる人たちの中から、より多様で、深く、実験的で、最終的にはより面白いゲームを作る人がどんどん出てきているということです。

これまで達成したことで特に誇りに思っていることは何ですか。

Old Man's Journey』のサウンドトラックのために 10 インチレコードを制作してもらったことです。

今後、社会に良い影響を与えるための制作をする方へのアドバイスをお願いします。

「ゲームの力は、世界やその問題を、別の視点からプレイヤーに見せることができること。」

彼らが演じるキャラクターや体験するゲームの世界への共感を通じて、問題についてただ聞いてもらうだけでなく、実感してもらうことができるのです。

Family of gibbons sitting on a tree branch together.

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Gibbon: Beyond the Trees』は現在発売中です。今すぐゲームをプレイして、Felix Bohatsch 氏と彼のチーム、そしてテナガザルの生息地の破壊に対する意識を高めるという彼らのミッションを応援してください。Twitter で Broken Rules 社をフォローして、次のリリースの情報を得ましょう。

私たちは、より多くのクリエイターがいれば、世界はもっと良い場所になるはずと信じています。そして、すべての人にとって持続可能で、包摂的で、公平な世界を実現するために行われている刺激的な仕事について耳にすることをとても嬉しく思っています。クリエイターの仲間に入りたいですか。

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