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ケーススタディ:紛争の影響を受けた子どもたちが学び、成長するためのゲーム

2018年6月13日 カテゴリ: コミュニティ | 5 分 で読めます
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Unity は膨大な種類のゲームや体験の制作を可能にしますが、その中には学習やトレーニングのための革新的なツールも含まれます。強力な医療シミュレーションから、リーディングや数学などの重要な教科の内容を魅力的で楽しい方法で学べるゲームまで、さまざまなものがあります。そのようなゲームの強力な一例として、国際的な非営利団体 War Child Holland とそのパートナーによって開発された『Can't Wait to Learn』(CWTL)を紹介したいと思います。

紛争の影響を受けた地域に住む 3,000 万人以上の子どもたちが、教育を受けられない状態に置かれている

純粋に教師が足りない、学校が足りないのです。そのせいで、すべての子ども世代が機会を失っているのです。このような困難な課題に対峙して、War Child Holland はその型破りな解法を思いつきました。それは、ゲームを通じて、魅力的かつ楽しい方法をもって、子どもたちに学んでもらうことはできないか、というものでした。この考えから、CWTL のビジョンが生まれました。

「ゲーム技術を用いた効果的なカリキュラムに基づく学習機会を提供することで、世界各地で紛争の影響を受けている数百万人の子どもたちの教育格差を解消する。」

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これが非常に志の高いビジョンであることはもちろんですが、この Unity 製のゲームで最もエキサイティングなことは、War Child Holland が支援する若者たちに、非常に現実的な影響を与えていることです。

最も弱い立場の学生にも確かな成果をもたらす

このゲームは、Unity ソフトウェアを使って開発され、子どもたちと一緒に、また子どもたちのために設計されています。すべてのゲームは、その国の教育を所管する省庁のカリキュラムに基づき、ヨルダン、レバノン、ウガンダ、スーダンに特有の学習機会や課題、文化的背景を考慮して設計されています。数学について、スーダンで 2012 ~ 2013 年、および 2014 ~ 2015 年に行われた最初の概念実証研究では、次のようなことが示されました。

  • 子どもたちは、ゲームから大きな学びを得る。最も知識が乏しかった人が、最もよく学ぶ。
  • このゲームは、男の子にも女の子にも同じように刺激を与え、知識を定着させる、ジェンダーバランスの取れた学習体験を促進する。
  • CWTL に参加した子どもたちが経験した自尊心には、測定可能なほどポジティブな効果がある。
  • 抽出された国における従来の教育のアプローチと比較すると、EGMA を標準化した評価として測定した場合、CWTL には従来の教育と同等に学習成果の達成を支援する効果がある。

なお、ヨルダン、レバノン、スーダンについては、2018 年末から 2019 年初めにかけて、さらなる調査結果を公開する予定です。

『Can't Wait to Learn』は、紛争の影響を受けた地域の伝統的な教育モデルを短期的に支援・補完するものであり、長期的にそれを排除しようとするものではない

このプログラムでは、子どもたちがフォーマルな学習環境、インフォーマルな学習環境のいずれにおいても、各国の教育を所管する省庁が定める能力レベルの習得を目指して取り組みを行うことを可能にし、フォーマルな教育システムへの移行を支援します。

『Can't Wait to Learn(CWTL)』のプログラムでは、子どもたちはタブレット型コンピューターで教育用ゲームを遊びながら学習します。カスタムメイドのゲームには、指導、練習、学習管理システムなどが含まれています。つまり、CWTL は、場所を問わず、すべての子どもたちに質の高い教育を提供することができるのです。教室や教師が存在しない(あるいは十分にない)場所でも、またフォーマルな学習環境とインフォーマルな学習環境のどちらにおいても利用することができます。

新鮮でインタラクティブな学習教材は、すべて国の正式なカリキュラムに基づいたものです。子どもたちのライフスタイルや状況に合わせて、教育用ゲームが導入されています。各国の教育を所管する省庁、国内外の NGO や研究機関に加え、ゲーム、ソフトウェアデザイン、教育、心理社会福祉の技術面の専門家など、さまざまなパートナーが協力して、この楽しくて効果的な学習ツールの開発に取り組んでいます。

CWTL は、子どもたちがシリアスゲームのアプローチを通して、さまざまな状況や学習方法で何をどのように学ぶかを理解するための研究に多大な投資をしてきました。また、国内外に認められた測定ツールや方法論を用いて、プログラムや今後の取り組みに修正を重ね、改善するためのより大きなエビデンスの基盤を構築しています。

『Can't Wait to Learn』は、子どもを中心に考えて設計されており、簡単でわかりやすい教育的なゲームを提供する

楽しいエクササイズを通じて、子どもたちは従来の学校で習う内容を学びます。ゲームは国ごとにカスタムメイドされ、現地の子どもたちやデザイナー、教育を所管する省庁と一緒に作り上げていきます。

  • CWTL で使われているデザインやグラフィックはすべてカスタムメイドされているので、子どもたちにも馴染みやすいものとなっている。子どもたちのライフストーリーやフィードバック、そして現地のデザイナーによるドローイングをもとに、学習環境のデザインを共創する。
  • 子どもたちは、自分のスキルがいかに自分の生活に直結しているか、また、自分を取り巻く人々の生活をいかに向上させることができるかを発見していく。
  • 説明はすべて音声と動画で行なわれる。読み書きが(まだ)できない子どもでも、動画を好きなだけ視聴することができる。
  • 子どもたちが説明のための動画に登場することも多い。子どもたちはプレゼンターに共感し、彼らをロールモデルとして見ることができる。
  • 予備研究では、子どもたちは 1 日 45 分間、数学のゲームを遊んだ。これだけで、子どもたちは必要なスキルを身につけた。そのため、子どもたちは他の活動にも時間を割くことができた。
  • 教育用ゲームのオープンソースソフトウェアは、新しい文脈(他の国や状況)に簡単に適応できるように設計されており、また高額なライセンス費用も要求しない。

リーチとインパクトの拡大

2012 年にスーダンで提供が開始された『Can't Wait to Learn』は、アラビア語による数学の授業 1 科目から始まりました。今では、アラビア語のリーディングも追加されています。現在、ヨルダンとレバノンのホストコミュニティと難民の教育ニーズに応えるため、プログラムの拡大とスケールアップを進めています。

CWTL は今回初めて、ウガンダの南スーダン難民のために英語でゲームを開発しました。ウガンダでは、CWTL は英語による数学の授業の提供からサービスを開始し、2018 年後半には英語のリーディングの提供も始める予定です。War Child とそのパートナーは、最も手の届きにくい場所や状況にも、ゲームを使えば学びをもたらすことができると信じています。

『Can't Wait to Learn』の詳細についてはこちらをご覧ください。『Can't Wait to Learn』は、Dutch National Postcode Lottery、IKEA Foundation、Google.org、Humanitarian Education Accelerator、UNICEF、UNHCR、CISCO Foundation から支援を受けています。

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教育関係者の方へ:Unity の教育機関向けライセンスは、認定された非営利の学術機関および教育プログラムが教室で行う指導を支援するために無償で提供されます。応募方法については上記のリンク先をご確認ください。アプリ開発者の方へ:Unity で作られた他の学習・トレーニングアプリケーションをご覧ください。

2018年6月13日 カテゴリ: コミュニティ | 5 分 で読めます

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